世界における検察官倫理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 02:46 UTC 版)
検察官倫理とは「法の支配と人権を尊重する基本的な義務と責任」と表現される。すなわち、単に有罪判決を獲得するだけではなく、「公益の代表者」として真実発見に向けて努力し、正義の執行が正しくなされるようにしなければならないとされる。検察官はとりわけ真実を尊重する義務を負うのであり、この点において依頼者の利益に奉仕する弁護人との差があるとされる。 このような考え方に基づき、国連、国際検察官協会、EU、英国、カナダ、オーストラリア、米国などでは、厳重な証拠開示義務や適正手続の保持などを定めた明文の検察官倫理規範が制定されている。特に、日本法が当事者主義を継受した母法国であるアメリカにおいては、アメリカ法曹協会(ABA)の刑事司法基準において、検察官の役割は「正義がなされることを希求することで、有罪を求めることではない」と明確に定められている。 違反に対する制裁は厳しく、米国で2006年に発生した「デューク大学ラクロス・チーム事件」または「ナイフォン事件」として知られる事案においては、無罪証拠を隠蔽し開示を怠ったナイフォン検事は、懲戒手続(The North Carolina state Bar v. Michael B. Nifong)を経て法曹資格を剥奪された。
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