世界における東アジア伝統医学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:19 UTC 版)
「漢方医学」の記事における「世界における東アジア伝統医学」の解説
中国医学を源とする医学は、中国(中医学)、日本(漢方)以外にも、朝鮮半島(古くは東医、現在の韓国では韓医学、北朝鮮では高麗医学と呼ばれる)、ベトナム(南医学)などアジアの広い範囲で行われている。東南アジアの伝統医学も、その多くがアーユルヴェーダと共に中国医学の影響を受けている。 中国医学系の伝統医学は、代替医療・統合医療の分野で世界的に活用され、グローバル化が進んでおり、標準化が課題となっている。アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなどでも中国医学系の伝統医学(Traditional Chinese medicine (TCM))は注目され、広く実施されている。オーストラリアは西洋文化圏で最も中医学が発展しており、2012年には全国で中医の登録制度が実施された。アメリカでは50州の内44州で鍼灸が合法化され、カナダやイギリスでも中医診療所は増加傾向にある。アメリカ国立衛生研究所(NIH)では、中医学中心に伝統医学の研究が行われ、アジアの生薬療法の研究に大きな予算が割かれている。アジアの伝統医学の研究は2003年の段階で、NIHの中のアメリカ国立補完代替医療センター(NCCAM)と国立がんセンター(NCI)を合わせて250億円ほどの規模で行われており、その成果はアメリカに独占されている。中心地である日中韓の伝統医学は、共有する部分も大きいが理論・用語・処方に様々な違いがあり、政治的な影響もあり足並みはそろっていない。これは、アジアのハーバルメディスン(漢方薬)の標準化を目指すアメリカに対し、アジアの伝統医学にとって大きな不安材料となっている。日本は政府・医学会共に、中国医学の国際化・アメリカ主導の標準化の流れに関心が薄く、中国、韓国、香港、台湾などと異なり伝統医学を扱う政府のセクションは存在しない。国際的にも漢方への理解は低く、外交面で大きく立ち遅れているのが現状である。2019年にTCMが初めて盛り込まれた疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)を世界保健機関(WHO)が承認した際は物議を醸した。
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