フィンエアー・カーゴとは? わかりやすく解説

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フィンエアー

(フィンエアー・カーゴ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/14 13:45 UTC 版)

フィンエアー
Finnair Oyj
IATA
AY
ICAO
FIN
コールサイン
FINNAIR
法人番号 8700150002882
設立 1923年11月1日
ハブ空港 ヘルシンキ・ヴァンター国際空港
ブリュッセル空港(貨物)[1]
マイレージサービス Finnair Plus
会員ラウンジ Finnair Lounge
航空連合 ワンワールド
親会社 Finnair Group
子会社 Nordic Regional Airlines
保有機材数 82機
就航地 94都市
本拠地  フィンランドウーシマー県ヴァンター
代表者 トピ・マンネルCEO[2]
外部リンク https://www.finnair.com/jp-ja
備考
テンプレートを表示
フィンエアーのエアバスA350-900型機

フィンエアー英語: Finnairフィンランド語: Finnair Oyj フィンナイル・オーウーイィー)は、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港拠点にしているフィンランド航空会社で、同国のフラッグ・キャリアである。

航空連合ワンワールドに加盟している。航空券の座席予約システム(CRS)は、アマデウスITグループが運営するアマデウスを利用している[3][4]

フィンエアーの本社, House of Travel and Transportation (HOTT)
フィンエアーの旧本社

歴史

  • 1923年11月1日、領事ブルーノ・ルカンデルが、フィンエアーの前身の民間航空会社『アエロ・オイ(Aero O/Y)[注釈 1]』を設立した。
  • 1923年、ドイツユンカース F.13を導入し、運航を開始。なお、機材購入、技術支援の見返りとして、ドイツユンカース社に自社株式の50%を譲渡した。
  • 1936年、水上航空機の運用を終了。
  • 1946年、第2次世界大戦後、路線網を再拡大するため、フィンランド政府が過半数の株式を取得し、事実上の国営となった。
  • 1947年11月、ダグラスDC-3を使用し、ヨーロッパへのサービスを再開した。
  • 1953年、フィンエアーブランドの使用を開始。
  • 1953年1月、コンベア440を導入し、ロンドン線に投入。
  • 1961年、初のジェット機として、ロールスロイス・エイボンエンジンを搭載した、シュド・カラベルを導入した。
  • 1962年、フィンランドの民間航空会社であるKar-Airの株式27%を取得した。
  • 1969年、米国初のジェット機であるダグラスDC-8を導入。
  • 1969年5月15日、初の大西洋横断路線として、ニューヨークに就航。
  • 1975年、2機のDC-10-30機を受領した。
  • 1979年10月、国内線運航を開始。
  • 1981年、米国西海岸の、シアトルロサンゼルスに就航。
  • 1983年4月、マクドネルダグラスDC-10-30ERでヘルシンキ-東京/成田便の運航を開始した。西ヨーロッパから日本への初の直行便となった。
  • 1988年、ヘルシンキ-北京路線を就航し、ヨーロッパと中国間の初の直行便となった。
  • 1989年、マクドネル・ダグラスMD-11ローンチカスタマーとなり、1990年12月7日に初号機が納入された。
  • 1997年、路線の全席禁煙化を進め、3月30日の段階で、喫煙席が残されたのは日本路線のみとなった。ヘルシンキ・ヴァンター国際空港の貨物ターミナルで、カーゴセンターを拡張。北欧最大規模となる広さ16万7千m2(約5万1,000坪)という規模で、近年の貨物取扱量の増大に対応した。
  • 1999年、航空連合ワンワールドに正式加盟する。
  • 2003年、スウェーデンの格安航空会社FlyNordicの所有権を取得した。
  • 2007年、FlyNordicの全株式をノルウェー・エア・シャトルに売却した。
  • 2010年4月、アイスランドエイヤフィヤトラヨークトルでの火山活動における火山灰の影響で、ヨーロッパの空域の大部分が封鎖され、フィンエアーの定期便も欠航を余儀なくされた。ヨーロッパの空域内での航空便だけでなく、地域外からヨーロッパへ、またはヨーロッパから地域外への、多くの航空便が欠航に追い込まれ、ヨーロッパ各地の鉄道やフェリーも大混乱した。
  • 2010年、イギリスに拠点を置く航空サービス調査会社スカイトラックス(Skytrax)による「2010ワールド・エアライン・アワード(2010 World Airline Awards)」において、「北欧のベストエアライン」に選出される。
  • 2011年、機体塗装、機内内装、企業ロゴユニフォーム、サービスエリアなど、約1,000万ユーロの費用を投じ、コーポレートアイデンティティリニューアルを実施。
  • 2011年3月11日、東日本大震災が発生し、一時、全ての日本路線の運航を見合わせた。数日間は名古屋経由で運航していたが、徐々に日本路線の運航を正常化し、3月26日から東京線の直行便を再開した。
  • 2011年7月19日、ヘルシンキ=アムステルダム間で、バイオ燃料を使用した長距離フライトを実施。距離は約1,600km(994マイル)で、商業運航としては世界最長となる。
  • 2013年1月、航空会社の安全性を調査・発表するドイツJACDEC英語版(Jet Airliner Crash Data Evaluation Centre)による、2012年の世界の航空会社の安全度ランキングが発表され、フィンエアーは「JACDEC SAFETY RANKING 2012」で『Index 0,005』の評価を得て、世界で最も安全な航空会社と評価された[6]
  • 2013年3月7日、アメリカン航空ブリティッシュ・エアウェイズイベリア航空が2010年10月からスタートした、大西洋路線の共同事業(ジョイントベンチャー)に参画する意向を発表。フィンエアーが運航するヘルシンキ=ニューヨーク線の他に、3社の便名をつけるほか、フィンエアーは、3社が運航する大西洋路線に「AY」便名を付け、運航を行う[7]
  • 2014年10月23日、フィンランド共和国の有名デザインブランド「マリメッコ」と連携した新たな特別塗装機「ウニッコ」を発表。A330型機に塗装される。マリメッコとのコラボレーションは機内で使用されるブランケットなどにも取り入れられている。
  • 2015年10月7日、欧州の航空会社として初めてA350 XWBを受領[8]
  • 2023年3月、需要が低く、距離が短いため、タンペレ、トゥルク発着のヘルシンキへの国内線を廃止し、バスサービスに置き換えると発表した。

運航形態

フィンエアー・ラウンジ

2009年より始まったヘルシンキ・ヴァンター国際空港のリニューアルにより、さらにトランジット効率を主眼とした国際空港になり、旅客の利便性も向上した。国際線ラウンジもリニューアルされ、フィンエアー・ラウンジ(Finnair Lounge)や、ターミナル全体で無料Wi-Fi接続サービスも始まった。2009年12月にオープンしたフィンエアー・スパ&サウナ(Finnair Spa & Saunas)[9]は、ビジネスクラス利用者や、フィンエアープラスプラチナおよびゴールド会員、ワンワールドエメラルド、サファイア会員は無料で利用できるが、その他の乗客も有料で利用可能である[10]

新しいヘルシンキ・ヴァンター国際空港の旅客ターミナルでは、ヨーロッパの主要空港と比較して乗り継ぎ時間が短くなり[11]、国際線の出発ゲートも、ターミナル1がヨーロッパ各都市への出発便に集約され、ターミナル2が、シェンゲン協定非加盟国のアジアアメリカ合衆国イギリスアイルランドロシア等の路線専用出発ゲートとなっている[12][13]

機内サービス

MD-11のエコノミークラス(2008年)

機内クラス編成は、ビジネスクラス(Business Class)・コンフォートクラス(Comfort Class)[14]エコノミークラス(Economy Class)の3クラス制[15]。ビジネスクラスはフィンランドを代表するブランド「イッタラ」や「アラビア」、「マリメッコ」の食器を使用している。また、日本人客室乗務員も在籍しており、基本的に各便2・3名乗務している。コンフォートクラスは、ヨーロッパ域内発着の長距離レジャー便(AY1000便番台となるフライト)のみの設定となる。

長距離国際線、および長距離レジャー路線[16]では、機体年齢の新しいエアバスA330-300より、人間工学に基づいたゾディアック(Zodiac Seats UK)製の、次世代ライフラットおよびフルフラットシート座席が順次装備され、2014年秋までに全て完了する予定である[17]。ゾディアックは、エアバスの次世代機のエアバスA350 XWBの座席も開発している[18]

長距離レジャー便では、クオリティー・エコノミークラスとデラックス・コンフォートクラスから、座席が選択可能となっている。コンフォートクラスの場合は、座席と足元にスペースが確保されている[14]。レジャー便では付加サービスがあり、特定の座席の予約や、プレミアムミール(有料)等が注文可能となっている[16]スキーなどのスポーツ器具や、超過手荷物の輸送料を事前に支払いを行えるサービスを出発便の30日前から受け付けている[16]

ヨーロッパ便では、フィンランド語と外国語の新聞と雑誌を、ビジネスクラスのすべての乗客に提供している。 エコノミークラスとビジネスクラスがある長距離便では、エコノミークラスの乗客は、International Herald Tribune紙、またはIlta-Sanomat英語版紙を、3ユーロで購入出来る。国際線では、エコノミークラスとビジネスクラスの両方の乗客に、新聞と雑誌を無料で提供している[19]

機内エンターテイメント

A350 XWBのエコノミークラス(2016年)

すべてのエアバスA330-300エアバスA340-300では、エコノミークラスやビジネスクラスを問わず、各座席にパーソナルエンターテインメントシステムとスクリーンが装備されており、パーソナルエンターテインメントシステムで、衛星電話、映画、ゲーム、テレビ番組、音楽チャンネル、音楽アルバムが利用出来る[19]。ただし、他社と同じくアナウンス中は使用できない。

音楽サービスでは、オリジナルのプレイリストを作成することも可能で、ラップトップコンピューターやミュージックプレーヤー用の電源も利用出来る。ただし、一部のレジャー便(AY1000便番台)では5〜8ユーロのエンターテインメント料金が必要となる。

機内では、座席にある衛星電話を使って地上のネットワークにテキストメッセージやショートEメールを送信する事も可能。地上から送られた返信メッセージを機内で受け取る事も可能で、この場合、1メッセージにつき1USドルの料金がかかる[19]

機内食

長距離国際線のビジネスクラスでは、前菜、スープ、メインコース(3種類から選択)、チーズ、デザートとフルーツによるコースメニューが提供される。また、手短に食事を済ませることのできるエキスプレスミールサービスも用意されている。エアバスA340-300およびエアバスA330-300では、ビジネスクラスのメインエントランスに専用のスナックバーも設けてあり、ビジネスクラスの乗客は、ここで軽食や飲み物を自由に選ぶ事が出来る。また、「Wellness and Energy」(ヘルシーな食材を使ったメニュー。アジアの香味料や食材が比較的多く使われている)、「Food Lover's Treat」(ブラットヴルストやシチュー)、「Chef's Gourmet」(トナカイのテンダーロインなどの料理が中心)の、3種から1つを選び、事前に予約する事が出来る[20]

エコノミークラスの乗客は、サラダ、メインコース、チーズ、デザートなどが基本となっている。また、ほぼすべての長距離路線で、着陸前に温かい軽食も提供される。ヘルシンキ―日本(成田・中部・関西)路線では夕食メニューに「メバルの煮付け」登場するなど北欧の航空会社らしからぬ趣向を凝らした献立が存在する為、日本人旅客のフィンエアー機内食に対する評価は高い。その他にも、軽食を機内でいつでも購入する事が出来る。日本中国韓国インドシンガポール便などのエコノミークラスでは、さまざまな種類の飲み物が用意され、ソフトドリンク、ジュース、ミネラルウォーター、ビール、白ワイン、赤ワインは無料で提供され、その他のアルコール類は有料となっている[21]

機内誌

機内誌は『Blue Wings』 である。インターネット上でデジタル形式でも閲覧が可能となっている[22]

就航路線

保有機材

フィンエアーは、ヨーロッパの航空会社として初めてエアバスA350 XWBを運航した航空会社となった[23][24][17]

当初の機体塗装は白地に青色のラインと『FINNAIR』の文字、尾翼にフィンランドの国旗というパターンだったが、2000年代頃からラインが廃止され尾翼には『F』を図案化した会社のロゴマークに変更されている。

2023年5月、同年10月からA330-300型機2機を4年カンタス航空へリースすることを発表。1機目が23年10月からシンガポール/シドニー線で、2機目が2024年夏季からバンコク/シドニー線で運用要員込みでウェットリースされ、2025年後半からは機体のみドライリースへ移行する予定[25]でカンタスは747退役とコロナ収束による供給量不足、フィンエアはロシア迂回によるコスト削減のための機体、人員リソース活用で同じアライアンス内で合意したとみられる。

リスト

フィンエアー 保有機材一覧(2025年10月現在)[26][27]
機種 保有数 発注数 座席数 備考
J W Y 合計
エアバスA319-100 5 - - - 144 144
エアバスA320-200 10 - - - 174 174
エアバスA321-200 15 - - - 209 209
エアバスA330-300 8 - 28 21 230 279 内2機2023年からカンタス航空リース中
エアバスA350-900 9 1[28] 43 24 211 278
9 30 26 265 321
ATR 72-500 12 - - - 68/70 68/70 ノルディック・リージョナル・エアラインズによる運航
エンブラエル E190 12 - - - 100 100 ノルディック・リージョナル・エアラインズによる運航
合計 80 1

ギャラリー

退役機材

フィンエアーから、子会社のノルディック・リージョナル・エアラインズ(NORRA)、ノルディック・グローバル航空に移管された機材も含まれる[29][30]

退役機材リスト

退役機材画像

マイレージサービス

フィンエアーではマイレージプログラムとしてFinnair Plus(フィンエアー・プラス)英語版を運営している。フィンエアーの公式サイト上で入会手続きが出来る。

2歳以上であれば誰でも加入することができ、フィンエアーおよびワンワールド加盟航空会社での利用距離に応じて4種類のカードが用意されている(その他に18歳未満のホルダー対象のカードが1種類ある)。2歳から17歳までの乗客は、フィンエアー・プラス・ジュニアプログラムに入会出来る。フィンエアー・プラス・ジュニアの会員資格は、会員が18歳になるまで有効となっており、その後、 ベーシック会員カードに自動的に切り替わる[33]

ワンワールド加盟航空会社、およびその他の航空会社への搭乗や提携しているホテルレンタカーなどの利用でポイントをためることができる。なおフィンエアー・プラスでは、航空会社利用でのポイント加算は他社のマイレージサービスで一般的に利用されているマイルによるものではなく、飛行距離1キロメートルにつき1ポイントとして積算する。レベルポイントを貯めることで、フィンエアープラスプログラムの会員レベルがベーシック、シルバー、ゴールド、プラチナと上がる[34]。なお、ポイントの失効期間が設けられており、獲得から3年たったポイントは順次失効する。

2013年にリニューアルされたフィンエアーの航空券のタイプは、『BASIC(50%獲得)』『VALUE(100%獲得)』『PRO(150%獲得)』『BUSINESS SAVER(200%獲得)』『BUSINESS(200%獲得)』の5種類[35][36]

2012年5月15日より、フィンエアープラスライフタイムゴールド、またはプラチナレベルの会員資格に達した会員は、フィンエアープラスのレベルに応じた特典について、特典利用期間を廃止し、永久的に特典が利用可能となった[37]。フィンエアープラスライフタイムゴールドレベルには、通算3,000,000レベルポイント、フィンエアープラスライフタイムプラチナレベルには、通算5,000,000レベルポイントを獲得する必要がある[38]

2012年10月1日より、フィンランド国内線のフライトで、Flybe(フライビー)のフライトを利用すると、特典ポイントに加えて、レベル別ポイントが付与される。航空券に、FlybeのIATAコードである『BE』コードに加えて、フィンエアーの『AY』コード(便名:AY8100〜AY8700)が記載されている、すべてのフライビーのフライトが対象となる。フィンエアー・プラスのすべての通常会員特典も、これらのフライビーのフライトで有効となる。航空券にAYコードが記載されていないフライビーのフライトについても、今後特典ポイントが付与されるようになるが、イギリス発着のフライビーのフライトについては、ポイントは付与されない[39]

航空券の『航空会社(CARRIER)』欄に提携航空会社の航空会社コードが記載されており、使用される航空機が、「提携航空会社の航空機である場合」に限り、提携航空会社のフライトもポイント付与の対象になる。提携航空会社のフライトで付与されたポイントは、特に指定のない限り、フィンエアー・プラス会員レベル別ポイントには加算されない[40]

フィンエアー提携航空会社

ワンワールド加盟航空会社

独自提携航空会社

フィンエアー提携鉄道会社

2002年11月18日より、フィンエアーとSBB・スイス連邦鉄道は、コードシェア便を開始した。フィンエアーが運航する、ヘルシンキチューリッヒ線と接続する形で、スイス連邦鉄道の列車が走る、チューリッヒ中央駅チューリッヒ)、バーゼルSBB駅バーゼル)、ベルン中央駅ベルン)、ルツェルン駅英語版ルツェルン)、ローザンヌ駅英語版ローザンヌ)間でコードシェアが行われ、フィンエアーのフィンエアー・プラスのマイレージが加算される。利用者は航空券と鉄道の予約のみならず、目的地までのチェックインが一度に可能となった[41]

日本との関係

フィンエアーはヨーロッパの航空会社としては最多の日本への運行本数を設定している。

運航便

2025年夏ダイヤでは、4路線週22往復を運航する。すべての便がブリティッシュエアウェイズ、日本航空とコードシェアを実施している。

フィンエアーの運航する日本路線 2025年3月時点
便名 路線 機材 備考
AY061/062 ヘルシンキ 東京/羽田 エアバスA350-900 2020年3月就航予定も、遅れて2022年10月に就航[42]

新客室仕様のエアバスA350-900型機を投入。

AY073/074 東京/成田
AY067/068 大阪/関西
AY079/080 名古屋 2024年5月30日から名古屋/中部~ヘルシンキ線の運航を再開。
過去の路線
ヘルシンキ 札幌/新千歳 エアバスA330 北海道からの唯一の欧州直行便で、2019年12月に就航。

コロナとロシアの領空封鎖により運休中[43]

福岡 2019年夏ダイヤまで運行。

コロナとロシアの領空封鎖により運休中。

特徴

日本便には日本人客室乗務員が乗務している。東京と大阪に客室乗務員の拠点を置いている。

地理的にフィンランドの首都ヘルシンキ東アジアとヨーロッパ主要都市間の最短ルート上から近い好位置にあるため、日本への飛行時間は約9時間30分と短い[44]。その為、ヨーロッパの都市で日本から直行便が無い都市へは、ヘルシンキ経由の方が同一国間で国内線に乗り継ぐよりも時間のロスが少ない場合がある[44]。ヨーロッパで、ある程度の人口を抱える都市規模でありながら、その都市からのアジアへの直行便としては就航・運航しにくい都市(例として、マンチェスターハンブルク、また、ニースフィレンツェなど)から移動する際、一度は乗り換えなければならない旅客を、コンパクトで利便性の高いヘルシンキ・ヴァンター国際空港で乗り換え客の需要を取り込み、また、旅客の移動時間を数時間短縮するという点を広くアピールしており、アジアとヨーロッパの、それぞれに存在する一定規模の都市間の移動需要を、ハブ空港のあるヘルシンキで一度束ねて運航するという戦略を取っている[45]。日本の三大都市圏に就航しているため欧州各都市への乗り継ぎのために滞在する日本人旅行者も多い。

歴史

  • 1983年4月、週1便で成田線に就航して、日本路線を開設。日本とヨーロッパを史上初めて直行便で結んだ[46]
  • 2006年6月4日 ヘルシンキ-名古屋線をMD-11で開設。週3便で運航開始。欧州の航空会社ではルフトハンザ航空に続く日本の三大都市圏への直行便開設となった。
  • 2013年10月16日 ブリティッシュ・エアウェイズ日本航空が2012年10月1日に開始した日本 - 欧州路線における共同事業に加わることについて、国土交通省より独占禁止法適用除外の認可を取得[47]
  • 2016年5月8日 ヘルシンキ-福岡線を運航開始。2016年夏ダイヤ期間の季節便として運航[48]
  • 2019年12月15日 ヘルシンキ-札幌線を運航開始。2019年冬ダイヤ期間の季節便として運航[49]
  • 2022年2月、ロシア連邦軍ウクライナ紛争に介入したことを受け、欧州連合とロシアは相互に領空の飛行を禁止する措置を採った。フィンエアーは同年2月27日から3月6日まで、ロシア上空を通過していた日本路線を欠航させ、3月9日からロシアを迂回するルートで運航を再開した[50]。30年ぶりに北極上空を飛行する北回りが復活したことで、「北極航路通過証明書」も発行している[51]

広告・イメージキャラクター

  • 日本で人気の高いムーミンのキャラクターを正規割引航空券の広告[52]や日本路線に投入する機体の特別塗装に起用していた。
  • サンタクロース 諸説はあるが、フィンランドを発祥の地としているサンタクロースも存在する。イラストとして機体に特別塗装をされていた時期もあり、フィンランド・サンタクロース・ファンデーション公認のサンタクロースのオフィシャルエアラインとして、公認サンタクロースをサポートしている[53]
  • Angry Birds (2011年 - 2012年)ロングフライトとなるシンガポール便より導入された、フィンランド生まれのモバイルゲームである。ロビオ・エンターテインメントが開発し、世界中でヒットしている。ゲームに登場するキャラクターを特別塗装したエアバス A340-300機体記号:OH-LQD)が一時期、世界中を飛んでいた[54][55]
  • マリメッコ (2012年 - )フィンランドを代表するファッションブランドで、人気の『UNIKKO(ウニッコ)』柄[注釈 2]を特別塗装したエアバスA340-300機体記号:OH-LQD)[56][57]と、フィンランドの森の壮大さと、おとぎ話の世界観を融合させたデザインの、『Metsänväki (メトサンヴァキ)』デザインの、エアバスA330-300(機体記号:OH-LTM)が就航した[35][36]。2013年春からフィンエアーのすべての旅客機には、マリメッコの典型的パターンが描かれたテキスタイル、テーブルウエアからなるフィンエアーのためのコレクションが取り入れられる[58]。さらに他の旅客機も、2013年春にはマリメッコのデザインをまとう[59]。両社によるコラボレーションの期間中、マリメッコの特別製品がフィンエアーの機内販売、フィンエアー・プラスショップ(Finnair PlusShop)で購入できる[60]

事件・事故

フィンエアーの前身となっていたアエロ時代には、死亡事故が起きている。

  • アエロ311便墜落事故英語版
    1961年1月3日、フィンランドのヴァーサ空港英語版から飛び立った国内線のアエロ311便(DC-3型機)が、フィンランドのケヴェヴラックス英語版に墜落。乗客乗員25名全員が死亡。これはフィンランドで最悪の航空事故となり、フィンエアー史上においても最悪のものとなった。
  • 1963年11月8日、ヘルシンキからトゥルクを経由し、マリエハムンに向かっていたアエロ217便(DC-3型機)が墜落、機体は大破した。この事故で乗員乗客25名のうち22名が死亡した。

しかし、フィンエアーは、217便の事故以降、2019年3月現在まで一度も死者を出す航空事故は起こしていない。このためカンタス航空キャセイパシフィック航空などと並び、「世界的にも最も安全な航空会社」と言われる希有な航空会社である。[要出典][誰によって?]

事故以外には、ミサイルでの撃墜未遂事件が発生している。

フィンエアー・カーゴ

フィンエアー・カーゴ本社ビル(ヘルシンキ・ヴァンター国際空港)
ボーイング737-200F
ダグラス DC-9-15F

フィンエアー・カーゴ(Finnair Cargo)は、フィンランド航空の貨物部門で、貨物専用機の運航はフィンエアー・グループのノルディック・グローバル航空が行っている。カーゴキャパシティーは月間平均1,000トン以上[61]。フィンエアー・カーゴ(Finnair Cargo)は世界各地への航空貨物輸送を担っており、毎週150便を超えるフレイターと、RFS(ロードフィーダーサービス)で、委託された貨物はフィンランド航空が各路線で使用している旅客機の貨物室及び、マクドネル・ダグラス(ボーイング)MD-11Fなどの貨物機で、フィンエアー・カーゴ本社があるヘルシンキ・ヴァンター国際空港へ貨物運搬される。

ヘルシンキ経由でヨーロッパとアジアを最短最速で結ぶことにより、飛行距離を短縮し、航空燃料費を削減している[61]。フィンランド国内のフィンエアー機の着陸の内、60〜80%は連続降下進入方式によるもので、不要な旋回や誘導路は使用せず、これにより二酸化炭素排出量の削減を実現している[62][62]。貨物はヘルシンキ到着当日には、空路、陸路、海路にて各地へ配送される。

2013年4月7日から、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港に次ぐ、ヨーロッパにおける貨物のハブ空港として、ベルギーブリュッセル国際空港を新たに貨物ハブ空港[37]として機能させ、ブリュッセルからは貨物船も使用して貨物を運搬する[1][63][64]。2013年6月6日より、マクドネル・ダグラス(ボーイング)MD-11F貨物専用機の運航に加え、ヘルシンキ=ブリュッセル線で使用しているエアバスA320-200などの旅客機の一部を、エアバスA340-300に大型化し、旅客機の貨物室もさらに活用する事で、アジアとの貨物輸送量増加に対応する[38]

貨物便就航都市

貨物便提携会社

脚注

注釈

  1. ^ フィンランド語でオイは0/Yと書き、株式会社の(株)の意味。
  2. ^ Patterns marimekko

出典

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  7. ^ Finnair to enter joint business with American Airlines, British Airways and Iberia - Finnair Plc Press release 2013年3月7日
  8. ^ フィンエアー、A350初号機を受領 欧州初、9日就航(2015年10月7日 Aviation Wire)
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  31. ^ 世界初の欧州〜極東アジア直行便はこの機種が担当。当時はソビエト連邦によってシベリア上空が解放されていなかったが、北極海を回り込んでヘルシンキ〜成田間ノンストップ飛行を可能にした。
  32. ^ MD-11として、日本路線(関西発ヘルシンキ行)最後の旅客便を担当した機体である。
  33. ^ [16]
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関連項目

外部リンク


フィンエアー・カーゴ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 02:25 UTC 版)

フィンエアー」の記事における「フィンエアー・カーゴ」の解説

フィンエアー・カーゴ(Finnair Cargo)は、フィンランド航空貨物部門で、貨物専用機運航はフィンエアー・グループのノルディック・グローバル航空が行っている。カーゴキャパシティーは月間平均1,000トン以上。フィンエアー・カーゴ(Finnair Cargo)は世界各地への航空貨物輸送担っており、毎週150便を超えるフレイターと、RFS(ロードフィーダーサービス)で、委託され貨物フィンランド航空が各路線使用している旅客機貨物室及び、マクドネル・ダグラスボーイングMD-11Fなどの貨物機で、フィンエアー・カーゴ本社があるヘルシンキ・ヴァンター国際空港貨物運搬されるヘルシンキ経由ヨーロッパとアジア最短最速で結ぶことにより、飛行距離短縮し航空燃料費を削減している。フィンランド国内フィンエアー機の着陸の内、6080%は連続降下進入方式よるもので、不要な旋回誘導路使用せず、これにより二酸化炭素排出量削減実現している。貨物ヘルシンキ到着当日には、空路陸路海路にて各地配送される2013年4月7日から、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港に次ぐ、ヨーロッパにおける貨物ハブ空港として、ベルギーブリュッセル国際空港新たに貨物ハブ空港として機能させ、ブリュッセルからは貨物船使用して貨物運搬する2013年6月6日より、マクドネル・ダグラスボーイングMD-11F貨物専用機運航加えヘルシンキブリュッセル線で使用しているエアバスA320-200などの旅客機一部を、エアバスA340-300大型化し、旅客機貨物室もさらに活用する事で、アジアとの貨物輸送増加対応する

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