コンポジットのみ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:55 UTC 版)
「3DCGソフトウェア」の記事における「コンポジットのみ」の解説
コンポジットでは、レンダー済み素材や実写や生成エフェクトの調整及び合成、視覚(網膜、虹彩、脳など)やカメラ(レンズ、レンズフィルタ、フィルム、受光素子、転送回路、現像など)の再現、演出のための加工などを行う。カメラの再現は、レンダリング時にフィジカルカメラを使って行うこともある。 コンポジットはリニアなカラースペースの32bpc浮動小数点カラーが使われることが多い(リニアワークフロー)が、速度やサイズの関係からより低い色深度や非リニアな色空間が使われることもある。現実の光の強さを元にHDRレンダリングをした場合は、LDRに変換する際に、フィルムや眼球を模したトーンマッピングを行う必要がある。カラー調整はカラーコレクションやカラーグレーディングと呼ばれているが、色を補正する場合にカラーコレクション、色合いを加工する場合にカラーグレーディングと使い分けて呼ぶことも多い。独自のトーンマッピングが施されたデジカメ写真の場合は、カラーチャートなどを参考にトーンマッピングを逆変換してリニアカラースペースに戻す必要がある。また、写真フィルムをスキャンして使う場合は、フィルムの分光色素濃度曲線 (CMYカラースペース、補色波長のRGBとのズレ、吸収スペクトルの重複)や特性曲線 (露光量における濃度)、潜像退行・色褪せ、スキャナの特性などを参考にリニアカラースペースに戻す必要がある。 レンダーパスにおけるRGBA画像、ベロシティ(スピードベクトル)、Z深度、法線、UVなどの情報を劣化少なくコンポジットソフトウェアに渡すために、ロスレスの16bpc画像や16bpc/32bpc浮動小数階調画像が用いられる。また、オブジェクトIDやマテリアルIDも画像化されて渡される。なお、Z深度やIDなどの特殊なパスはアンチエイリアスすることができなく(又は出来たとしても品質が落ちる)、画像にアンチエイリアスをかけるとこれらのパスとのズレが生じる。この問題を避けるため、2倍もしくは4倍でレンダリングしておき、コンポジット後に縮小するという方法が使われている。より良い手法として、レンダリング時にアンチエイリアスにおける全てのサンプルを保存しておき、コンポジット処理した後にフィルタ合成するという Full Sample Anti-aliasing (FSA) に対応しているソフトウェアも存在する (Blenderなど)。 カメラデータの受け渡しには、汎用のFBX形式 (NUKEのCameraノードなどが読み込みに対応)、固有フォーマットのカメラベイク済みMayaプロジェクト(*.ma)や3ds MaxのRLA/RPF形式 (AEが読み込みに対応)の他、OpenEXRのメタデータ (NFXPluginsのEXRCameraや、vfxpipeのCamera Data from EXR (Vray)などが読み込みに対応)等が用いられる。コンポジットソフトウェアとの連携に標準で対応する統合ソフトウェアも存在する (3ds MaxのCompositor Link、Maya 2016 Extension 2以降のSend to AE、LightWaveのGoAEなど)。また、その逆に、統合ソフトウェアとの連携に対応するコンポジットソフトウェアも存在する (After EffectsのCINEWAREなど)。 3Dと実写合成のためには、クロマキー合成やロトスコープの機能が使われる。ロトスコープのために、ベクトルマスク作成に対応しているソフトが多い。また、トラッキング機能を搭載するものも増えており、トラッキングによってベクトルマスクを変形させることもできるようになっている。 近年ローリングシャッターを持つスチルカメラによる動画撮影も増えており、ローリングシャッターを修復できるソフトウェアも存在している(After Effects、FoundryのROLLINGSHUTTERプラグイン(ディスコン)など)が、修復には限界があるためVFXには不向きである。どうしてもローリングシャッターを持つ映像を素材として使う場合は、ローリングシャッター除去してトラッキングした後、合成する3DCG素材のレンダリングでローリングシャッターの再現を行うのが良いとされる。 コンポジットソフトウェアディープコンポジティングCryptomatteトラッキング合成広域作業色空間2D入力3D入力2D3Dステレオ3DVR動画ACEScgRec.2020 リニアOpenEXRCinemaDNGDAEFBXAlembicFlameNo 2020以降 Yes Yes Yes 2018.3以降 Yes Yes Yes MediaReactor No Yes Yes NUKEYes 13以降 Yes Yes (OCULA) 12以降 Yes ? Yes No ReadGeo HitFilmNo ? Yes 13以降 No 単眼のみ ? ? Yes ? No Yes Yes DaVinci ResolveNo 本家 15以降 15以降 15以降 Yes ? 15以降 15以降 After EffectsNo Yes Yes Yes (QuickS3D) Yes Yes Yes Yes Yes Cinema 4D Lite経由 MotionNo No Yes No No Yes No Yes Yes ? No BlenderNo 2.8以降 Yes Yes 部分的 No 部分的 No Yes No Yes Yes Yes Houdini (COP)No Yes No No ? ? ? ? Yes ? Yes Yes Yes ^ 以前は外部プラグインが必要だった ^ a b 基本的な操作のみであり、高度な操作に未対応。 ^ 一部のみ。なお、9.0v5b17より前は外部プラグインのJ_Opsを使用する必要があった。 ^ FoundryのCameraTrackerベース ^ Studio版のみ。旧eyeon Dimension。 ^ ステレオVRはStudio版のみ。Fusion 8以前はKartaVR (旧Domemaster Fusion Macros、Andrew Hazelden製)を使用する必要があった。 ^ 17.0より前はProEXR 2.0が必要であった ^ a b 過去にはStereo3D Toolboxプラグインも存在した ^ October 2017以降。SkyBox Studioプラグイン (元Mettle製) ベース ^ 付属のCinema 4D Liteでc4d形式に変換する必要あり ^ 5.4以降に360VR Toolbox (元Dashwood Cinema Solutions製)が統合された ^ Motion 5.4.6以降はUSDZ形式に対応 ^ OpenColorIO提供のACES設定ファイルが必要 NUKE (The Foundry Visionmongers←D2ソフトウェア) ノードベース。3Dソフトとの連携に優れており、映画製作に良く使われている。OpenFXプラグイン、シーケンス再生、アセット管理連携にも対応している。3Dパーティクルやカメラトラッカー、プレーナートラッカー、ノイズ除去、グレインマッチング用のReGrain、ワイヤー除去などに対応した上位版のNUKEXがある。また、最上位版として、HIEROを統合してエディトリアルに対応したNUKE STUDIOもある。スクリプトに制限があり、かつFull HD出力までの非商用版が無料頒布されている。 10.0で、クリーンアップ等の自動化を目的として、動画に追従し自動で歪むスマートペイントが搭載された。 After Effects (Adobe←アルダス←the Company of Science and Arts) レイヤベース。Adobe Creative Cloudの一部。Linux未対応。Cinema4Dで使われるc4d形式の読み込みにも対応している。マスク抜きを簡単にするロトブラシ機能、フィルムグレインマッチ、ローリングシャッター修復などの機能もある。 マスクトラッキング、2Dフェイストラッキングにも対応しているほか、プレーナートラッキングのmocha for After Effects (mocha AE)が付属している。また、統合型3DCGソフトウェアのCinema 4D Lite及びC4D連携プラグインであるCINEWARE (旧CINERENDER)が付属している。 8bpc/16bpc整数が標準であり、32bpc floatに未対応のエフェクトが残っており、あまり映画には使われてこなかったが、高速であるためテレビ番組の製作には良く使われている。 Adobe Premiere Pro (動画ノンリニア編集)とシームレスに連携可能なほか、Adobe Media Encoder (エンコーダ)とも統合されている。 Motion(Apple) レイヤベース。Mac専用。レンダリングエンジンが、動画ノンリニア編集のFinal Cut ProやエンコーダのCompressorと共通化されている。 Shake (Apple←Nothing Real)の実質的後継だが、VFX向けではなくモーショングラフィクス向けとなっている。 Mamba FX (SGO) ノードベースのコンポジットソフトウェア。 Toon Boom Harmony (Toon Boom Animation) 2Dアニメーション及びコンポジットソフトウェア。14で3DモデルのアニメーションやDeep画像のコンポジットに対応した。 Natron ノードベース。オープンソース。OpenFXプラグインに対応している。Shadertoyシェーダーに対応するプラグインも付属している。 Silhouette (Boris FX←SilhouetteFX) 旧Silhouette FX。ステレオ3Dワークフローに強いコンポジットソフトウェア。2021以降、プラグイン版もある。 VFX Supercomp (MAXON Computer←Red Giant) 2Dコンポジットに特化したAfter Effects用プラグイン。Primatte KeyerなどをセットにしたVFX Suiteもある。VFX SuiteはEffects Suite、Keying Suite (Primatte Keyer/Key Correct/Warp) 及びComposite Wizardの後継となっている。
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