ゲーム開始後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 08:04 UTC 版)
「Spec Ops: The Line」の記事における「ゲーム開始後」の解説
ゲームは空中戦のシーンから始まる。ウォーカーとルーゴはアダムスの操縦するUH-60ヘリコプターに搭乗しており、ウォーカーはドアガンを使って追跡してくる別のヘリコプターを迎撃していくが、やがて彼らの乗ったUH-60は砂嵐の中で墜落してしまう。 続いて回想が始まる。砂嵐吹き荒れる中、ウォーカー、アダムス、ルーゴのチームは砂漠を歩きドバイを目指していた。避難民の亡骸や放置車両に埋め尽くされた幹線道路の先で、チームは武装した避難民の生き残りによる襲撃を受ける。さらに33部隊のパトロールチームからの救援を求める通信を傍受し、難民を駆逐しつつ救助に向かうが、彼らが到着した頃にはほとんどの兵士が殺されていた。最後の1人も、仲間が武装難民らの拠点まで連れ去られたと話して息絶えてしまう。ウォーカーは当初の命令に反して連れ去られた兵士の救助、そして33部隊およびコンラッドの救助を決断する。武装難民の拠点に到達して以降、チームは"DJ"ことロバート・ダーデンがドバイ内に流しているラジオ放送をしばしば聞くことになる。ダーデンはかつて従軍記者として33部隊と共にアフガニスタンに派遣されていた元ジャーナリストである。 やがてチームはこの数ヶ月間に起こった凄惨な出来事の痕跡を辿っていく。それらの痕跡は、脱出に失敗してドバイに留まった33部隊が秩序の維持するべく粛清と虐殺を繰り返し、今や避難民を恐怖で支配していることを示唆していた。この体制に反発した33部隊の将兵もいたが、多くはコンラッドにより処刑された。さらに中央情報局(CIA)が何らかの理由から介入しており、ドバイに潜入したエージェントらは避難民の一部を武装化して33部隊に対する「反乱軍」を組織していた。一方でウォーカーはカブールでの作戦中にコンラッドに命を救われた経験がある為、数々の蛮行へのコンラッドの関与を信じ切れないでいた。 チームは避難民を借り集めようとしている33部隊の一団に遭遇し、彼らを仲裁しようと試みた。しかし33部隊員らがチームをCIAのエージェントだと思い込んで銃撃した事から、結果としてアメリカ兵同士での銃撃戦となってしまった。チームは生き残ったものの、多くの「同胞」を殺した事から3人の間で徐々に動揺が広がり始める。生き残った33部隊の一団は一部の避難民を連れて撤退していった。ウォーカーは連れ去られた避難民の救助とコンラッド捜索の為に追跡を決意する。 その後、チームは"DJ"のラジオからCIAのエージェント、ダニエルズ捜査官が33部隊に囚われ拷問されている事を知り、救助に向かう。しかし、チームが到着した時点でダニエルズは殺されており、33部隊が待ち伏せていた。その放送は別のCIAエージェントであるグールド捜査官をおびき出す為の罠だったのである。チームはグールドと彼の率いる反乱軍の援護もあり包囲からの脱出に成功する。直後にグールドは囚われ殺害されてしまうものの、「ゲート」と呼ばれる場所でグールドが何らかの作戦を計画していたことを知ったウォーカーは、チームを率いて「ゲート」に向かう。 到着した「ゲート」は大勢の33部隊員により厳重に守備されていた。ウォーカーはルーゴの異議を無視し、付近にあった迫撃砲と白燐弾を用いて守備隊の撃滅を試みる。ウォーカーは守備隊からの銃撃が無くなるまで、「ゲート」前の陣地に白燐弾を打ち込み続けた。悲鳴と白煙に満たされた陣地を進むチームは、瀕死の33部隊員を見つける。やがて白煙が晴れはじめると共に、その33部隊員の言葉からウォーカーは恐るべき真実を知った。彼らが追っていた33部隊の一団は純粋に避難民の避難誘導を行なっていたのであり、陣地の奥では47人の避難民がウォーカーの撃った白燐弾に焼かれて死んでいた。アダムスとルーゴからの非難を受け、自らがこの47人を殺したという事実を受け入れられなかったウォーカーは心を病み、47人の死は白燐弾を撃たざるを得ない状況に持ち込んだ33部隊の責任であると主張しはじめた。ウォーカーとチームは33部隊に対する「復讐」に乗り出す。 33部隊を駆逐しながらコンラッドを捜索していたチームは、拘束されたまま白燐弾で焼き殺された33部隊のコマンド隊員らの死体を見つける。ウォーカーはその近くで小型の無線機を発見し、それを使ってコンラッドとの会話を試みるが、コンラッドはウォーカーの行動の倫理性を問いはじめる。コンラッドの誘導に従い辿り着いた先では、2人の人間が生きたまま吊るされていた。1人は水泥棒の避難民で、もう1人はその水泥棒を捕まえる際に罪のない家族5人を殺害した兵士だとコンラッドは説明し、どちらか片方を殺さねばならないとウォーカーに告げる。アダムスとルーゴは無視して進むべきだと主張し、ウォーカーの行動に対する疑念を一層と深めていく。その後、彼らはドバイ最後の水の供給源であるアンダーウォーター・アクアティック・コロシアムへの攻撃を率いているCIAエージェントのリグス捜査官と出会う。リグスはチームに対し、33部隊の水の供給を断つ事で作戦行動を制限する事がドバイに平和をもたらす第一歩になると語り協力を求める。チームとリグスは厳重な警備を突破して飲料水を満載したタンクローリーを33部隊から奪いとりコロシアムから脱出するが、直後にリグスは意図的にタンクローリーを横転させた。車体の下敷きになりながらもリグスはウォーカーに語る。33部隊の暴走が周辺諸国に察知されると米政府が国際的非難を浴びる可能性が高く、リグスの使命は33部隊だけではなく避難民を含む全ての生存者を抹殺する事であった。こうしてドバイにおける水の供給は完全に絶たれ、街の死は確実なものとなる。 チームは生き残っている避難民に警告を与え、また避難の誘導を行うべく"DJ"が放送を行なっているラジオ塔に向かうことになる。その最中にもチーム内での衝突が増え始め、ウォーカーも徐々に幻覚に苦しめられるようになる。チームが放送室に踏み込むと"DJ"はすぐに降伏し、自らが製作したPAシステムの操作法を説明する。それが終わった瞬間、ルーゴはアダムスの静止を無視して"DJ"を射殺した。ウォーカーは放送用マイクを使い、避難民に対して自分たちが救助の為に派遣されてきた事を宣言するが、すぐに放送を聞いていた33部隊の兵士がチームを駆逐するべくラジオ塔に集まり始める。チームは屋上に降りたUH-60ヘリコプターを乗っ取り、ラジオ塔から脱出する。ドアガンに付いたウォーカーはコンラッドに33部隊に対する復讐心を知らしめようとラジオ塔のアンテナを破壊する。やがて別の追跡ヘリコプターが現れ、ゲーム冒頭のシーンに繋がる。 墜落後、チームは散り散りとなってしまう。ウォーカーはアダムスとの合流に成功するが、ルーゴは避難民キャンプの中で吊るされリンチに晒されていた。避難民を追い払いルーゴの蘇生を試みるウォーカーだったが、すぐにルーゴは息を引き取ってしまった。この段階でウォーカーの幻覚は酷く悪化しており、アダムスも公然とウォーカーに逆らうようになる。やがてウォーカーはコンラッドの司令部がある「タワー」に向かう事を決断し、無線機を使いコンラッド本人に殺意を伝える。2人は「タワー」に接近したものの、その寸前で33部隊に包囲されてしまう。降伏する事で司令部に入ろうと提案するウォーカーに対し、アダムスは徹底抗戦と死を主張してウォーカーを止める。しかしウォーカーは最後の瞬間に逃亡し、アダムスの絶叫と銃声を聞きながら意識を失った。 気がつくと、ウォーカーは「タワー」のエントランスにいた。先へ進むとほんの数人の33部隊員らが降伏を申し出、ウォーカーを敬礼で迎える。彼らに尋ねるとコンラッドは上階のペントハウスに居るという。ウォーカーはエレベーターで上階へ向かい、ついにコンラッドと相見える。ウォーカーはドバイで起きている悲劇は、精神を病みながらもカリスマ性を失わなかったコンラッドにより引き起こされたものだと信じていた。しかしペントハウスのデッキで腐乱したコンラッドの死体を発見した事で目を背けてきた真実に気付かされることになる。ウォーカーはある段階から、自らの行動と凄惨な出来事の全てを正当化しようと一種の解離性同一性障害を発症していたのである。本物のコンラッドはゲーム開始以前、ドバイからの脱出失敗の責任の重さに耐え切れず自決しており、ゲーム中に接触してきたコンラッドは全てウォーカーだけが見て、聞いていた幻覚であった。コンラッドの幻影はまた、チームがドバイを離れる機会が何度もあったにも関わらず、ウォーカー自身の英雄願望を正当化する為に生まれたのだと語る。さらに白燐弾の使用後、正気を保とうとしたウォーカーの心は、すべての責任を押し付けたコンラッドを「悪役」に定め、多くの出来事を歪めていたことも明かされる。これらの真実を語った後、コンラッドの幻影はウォーカーに拳銃を突きつける。
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