アメリカの環境と環境政策の傾向
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「アメリカの環境と環境政策」の記事における「アメリカの環境と環境政策の傾向」の解説
アメリカが第二次世界大戦で使用した核兵器は放射線による病気の発症や遺伝子の変異の原因になり、ベトナム戦争で山林・森林・原野・田畑に対して使用した枯葉剤により、植物を大量死させ、生物の遺伝子に変異を与えた可能性・危険性が指摘された。また、湾岸戦争、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、スーダン空爆、アフガニスタン空爆、イラク空爆、コソボ紛争、アフガニスタン侵攻、イラク戦争で使用した劣化ウラン弾は、重金属による土壌・地下水・湖沼・河川の汚染や、病気や遺伝子の変異の原因になる可能性・危険性が指摘されている。 アメリカは地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減に関しては、1963年、1970年、1990年、1990年の気候変動枠組み条約、温室効果ガスの浄化と排出の基準を厳格化し、2005年のエネルギー政策法で石油に依存した経済から生物資源燃料、自然資源燃料への転換をめざして政府と民間が包括的な取り組みを開始している。 アメリカは地球温暖化と温室効果ガスの問題が顕在化して以後、特に気候変動枠組み条約に加盟して以後、アメリカは政府・議会・法人・国民が連携して、地球温暖化の予防と温室効果ガスの排出削減に包括的に取り組んでいる。その結果の一つとして、アメリカのバイオエタノールの生産高は、1980年は17,500万ガロン、1990年は84,800万ガロン、、2000年は162,200万ガロン、2010年は1,329,800万ガロン、2019年は1,577,800万ガロンに増加し、2019年の世界の生産高に占める割合は、ブラジル(生産量:802,000万ガロン 割合:30%)を抜いて、世界最大(生産量:1,580,000万ガロン 割合:54%)である。バイオエタノールの生産プラントは、1999年は50か所であり、2010年の204か所まで増加したが、それ以降は、200前後の増減を繰り返しながら、横ばいを推移し、2019年は190か所である。建設中のプラントは1999年は5か所であり、ピークの2006年の76か所まで増加したが、それ以降は減少し、2010年以降は1桁台となり、2018年現在は4か所である。 アメリカ政府は2007年1月に連邦議会で表明した年頭教書で、2017年までの10年間で、ガソリン消費量を20%削減し、代替燃料として生物資源燃料の生産量を2006年度の54億ガロンから350億ガロンに増大し、自動車の燃料の15%を生物資源燃料に転換し、自動車の燃料消費を85億ガロン削減する数値目標を設定し、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出削減と地球温暖化予防、石油に依存しない産業・経済・生活への転換を重要政策の一つとして設定した。 アルバート・ゴア元副大統領の著書および映画『不都合な真実』で地球温暖化による環境激変の危機が直前まで迫っている、人類や生態系が存続可能な環境を維持するためには、今すぐ温室効果ガスの削減に着手しなければならないという主張がアメリカ国内および世界で浸透し、イギリス政府の報告書『気候変動の経済影響』が公表され、アメリカの温暖化防止に対する取り組みも積極化しつつある2007年現在、開発途上国も含めて全ての諸国と諸国民は、個々の国の個別の利害・政策を超越して、包括的な環境保護対策に協力して取り組むことが求められている。 温暖化の原因になる温室効果ガスの排出量削減対策の手段として、2018年現在で実用化されていて、他の手段と比較して短期的な成果を上げることが容易なバイオ燃料生産の急激な増大により、2018年現在でバイオ燃料の主要な原料であるトウモロコシ、サトウキビの生産高のうち、人・家畜の食料に配分されず、バイオ燃料の原料に配分される比率が増大した結果、トウモロコシ、サトウキビの卸売価格・小売価格が高騰し、経済的に貧しい国・地域・人々にとって、所得に対する食料費の比率が増大し生活を困窮化させる、および、バイオ燃料の原料の生産のために森林を伐採して農地化することにより、二酸化炭素を吸収する資源であり、野生動植物の生活環境であり生物多様性を保持する環境でもある森林面積が減少する、などの自然環境と人々の生活に対する負の側面の現象が発生し、それらの問題の解決も温暖化対策とともに求められている。 温室効果ガスの排出量削減対策のバイオ燃料以外の自然資源による手段としては、燃料電池、太陽光発電、風力発電、水力発電、潮力発電、地熱発電、核融合発電、電気自動車、植林活動などがあり、核融合発電は技術的に未実用化であり2018年現在の技術による予測では実用化の見込みが不明であるが、他の方法は技術的には実用化済みであり、費用対効果の向上、インフラの整備、一般市民が利用可能な能力・価格の実現により、前期の各種方法を組み合わせて採用することにより、化石資源を燃焼させることによる二酸化炭素の排出を減少・廃絶し、温暖化抑止対策を推進することが求められている。
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