漢民族 漢民族の形成

漢民族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 00:48 UTC 版)

漢民族の形成

漢民族の由来は中国のの時代に遡る。漢人の起源は劉邦が項羽によって、中国の西部にある漢中に左遷され漢王になった後、漢朝を建国したことが起源である。 シンガポール日本文化協会会長 顔尚強によれば、「漢民族はその昔、漢民族とは称されておらず、華夏族と称されていた。漢民族という名称は漢王朝(BC 206~AD 220)の時代から今日まで使われてきてはいるが、今でも本土の中国人は中国のことを華夏、中華文明を華夏文明と呼ぶことがある。しかし、漢民族は鮮卑やモンゴルなどの異民族侵略を長い時間受けて、漢民族は異民族と混血されて形成された。学者によると、王朝(紀元前1066年 - 256年)の創立者である武王(商)王朝(紀元前16世紀 - 紀元前1066年)の末代の帝辛(紂王)を討ち取った後、中原に定住し、その一族を中国の伝説上の先聖王である神農黄帝に因んで「華族」と称した。また王朝(紀元前21世紀 - 紀元前16世紀)の創立者の大禹の末裔が「夏族」と称されていたことから、中原に居住していた族群を「華夏族」と称するようになったと言われている。当時の彼らの文化は華夏文化あるいは華夏文明として近隣の東夷族や北狄族、西戎族、南蛮族に賞され、模倣され、ついに中国大陸の東西南北へと拡大していった。このように数千年間に渡るプロセスにより、華夏系は他の民族系を吸収したり影響されたりしながら今日の漢民族を形成してきたのである[7]

紀元前221年、始皇帝が中国を統一した。秦の支配から楚が独立し、その後、劉邦が紀元前206年西部、漢中に左遷され、漢王になった。 その後、左遷された漢中という単語を起源とし、漢を建国した。これは漢族の由来である。[8] 林惠祥は著書『中国民族史』で漢民族は華夏族を中心として東夷系、荊呉系、百越系及び東胡系、匈奴系などの民族を吸収し形成した民族であると論じている。黄河の上・中流を中心に居住していた華夏系は黄河の下流の東夷系、長江の中流の荊呉系及び珠江を中心とした百越系と融合及び統合のプロセスを通して漢民族に生まれ変わったわけである[9]

漢族は周辺の異民族の中国征服王朝の支配を受け、混血され形成された民族概念である[10]。ゆえに、異民族の出身であっても漢族の文化伝統を受け入れれば、漢族とみなされる。[要出典] 4世紀頃から北方の鮮卑などの北方遊牧民族華北平原を支配され(→五胡十六国時代)、この結果、中原に居住していた漢民族部は南方に移動(→客家)した。また、のちのや或いは後金やその後身のなどといった征服王朝期によって漢民族は被支配層に転落した。 辛亥革命以前の中国(清)で、中国人口の80%は苗字も持たず、支配者である満洲族と被支配民族である漢族のいずれの族にも含まれなかった平民だった。辛亥革命以後、孫文は日本を訪問し、日本の近代化による発展を見て中国を近代化しようとした。 辛亥革命以後、苗字がなかった大多数の中国人が苗字を持てるようにし、皆漢族に編入された。 それで現在、漢族が人口の大部分を成している[11]


注釈

  1. ^ ウィクショナリーには、炎黄子孙の項目があります。

出典

  1. ^ Travel China Guide - Han Chinese
  2. ^ Windows on Asia - Chinese Religions
  3. ^ China - Travel China Guide - Religions and Beliefs
  4. ^ Every Culture - Han people: Religion and Expressive Culture
  5. ^ Every Culture - Han Chinese in the People's Republic of China
  6. ^ 中国の近代化と社会学史、張琢 著
  7. ^ 「華人社会について」シンガポール日本文化協会 会長 顔 尚強[リンク切れ]
  8. ^ 中国の人口移動と民工 by 厳善平
  9. ^ 『中国民族史』 1930年商務印書館出版
  10. ^ 中央日報(日本語WEB版)『中国に純粋血統の‘漢族’は存在しない』2007年2月15日
  11. ^ 世界史とつなげて学ぶ 中国全史 岡本 隆司
  12. ^ 東アジア 民族の興亡―漢民族と異民族の4千年、大林 太良 (著)
  13. ^ Jinam, Timothy; Nishida, Nao; Hirai, Momoki; Kawamura, Shoji; Oota, Hiroki; Umetsu, Kazuo; Kimura, Ryosuke; Ohashi, Jun et al. (2012-12). “The history of human populations in the Japanese Archipelago inferred from genome-wide SNP data with a special reference to the Ainu and the Ryukyuan populations” (英語). Journal of Human Genetics 57 (12): 787–795. doi:10.1038/jhg.2012.114. ISSN 1435-232X. https://www.nature.com/articles/jhg2012114. 
  14. ^ 記者会見「日本列島3人類集団の遺伝的近縁性」”. 東京大学. 2021年11月8日閲覧。
  15. ^ Yali Xue et al 2006, Male demography in East Asia: a north-south contrast in human population expansion times
  16. ^ Shi Yan, Chuan-Chao Wang, Hui Li, et al., "An updated tree of Y-chromosome Haplogroup O and revised phylogenetic positions of mutations P164 and PK4." European Journal of Human Genetics (2011) 19, 1013–1015; doi:10.1038/ejhg.2011.64.
  17. ^ Zhang, X.; Tang, Z.; Wang, B.; Zhou, X.; Zhou, L.; Zhang, G.; Tian, J.; Zhao, Y.; Yao, Z.; Tian, L.; et al., "Forensic Analysis and Genetic Structure Construction of Chinese Chongming Island Han Based on Y Chromosome STRs and SNPs. Genes 2022, 13, 1363. https://doi.org/10.3390/genes13081363
  18. ^ Hammer MF, Karafet TM, Park H et al. (2006). "Dual origins of the Japanese: common ground for hunter-gatherer and farmer Y chromosomes". J. Hum. Genet. 51 (1): 47–58. doi:10.1007/s10038-005-0322-0. PMID 16328082.
  19. ^ Rui-Jing Gan, Shang-Ling Pan, Laura F. Mustavich, et al., "Pinghua population as an exception of Han Chinese’s coherent genetic structure." Journal of Human Genetics (2008) 53:303–313. DOI 10.1007/s10038-008-0250-x
  20. ^ Hua Zhong, Hong Shi, Xue-Bin Qi, et al., "Global distribution of Y-chromosome haplogroup C reveals the prehistoric migration routes of African exodus and early settlement in East Asia." Journal of Human Genetics (2010) 55, 428–435; doi:10.1038/jhg.2010.40
  21. ^ Yuan, Dejian; Lei, Xiaoyun; Gui, Yuanyuan; Wang, Mingrui; Zhang, Ye; Zhu, Zuobin; Wang, Dapeng; Yu, Jun et al. (2019-06-09). “Modern human origins: multiregional evolution of autosomes and East Asia origin of Y and mtDNA” (英語). bioRxiv: 101410. doi:10.1101/101410. https://www.biorxiv.org/content/10.1101/101410v6. 
  22. ^ Chen, Hongyao; Zhang, Ye; Huang, Shi (2020-03-11). “Ancient Y chromosomes confirm origin of modern human paternal lineages in Asia rather than Africa” (英語). bioRxiv: 2020.03.10.986042. doi:10.1101/2020.03.10.986042. https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.03.10.986042v1. 


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