WHOの対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 11:30 UTC 版)
「新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)」の記事における「WHOの対応」の解説
詳細は「2019年コロナウイルス感染症流行に対する世界保健機関の対応」を参照 WHOは、テドロス・アダノム事務局長が「中国の流行管理に対するアプローチを信頼している」と表明し、一般の人々に対しては「冷静さを保つ」よう呼びかけ、中国当局の流行への対処および封じ込めの取り組みを称賛した。WHOは、2003年のSARS流行時に中国当局が情報を秘密にしたことによって、流行の予防および封じ込めの取り組みが遅れた結果、非難されたことと対照して、現在の危機的状況について、中央政府が「定期的に情報を更新したことによって、旧正月の休日に入る前にパニックを回避した」と述べた。 2020年1月23日、中央当局が武漢の公共交通機関の運行禁止措置の実施を決定したことに反応して、WHOのガウデン・ガレア中国代表はたしかにWHOが推奨していることではないとしつつ、「交通機関が最も集中しているこの地域で流行を封じ込めるために積極的な関与をした非常に重要な指示だった」と話し、この禁止措置について「公衆衛生の歴史上、前例のない試み」と呼んだ。また、中国でのヒトからヒトへの感染は主に家族や患者の治療にあたる医療従事者にとどまっているほか、中国の外ではヒトからヒトへの感染が確認されていないことなどから、このケースが現時点では「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC)」には該当しないとしたが、中国政府に対し、感染源や感染経路の特定をWHOなどと協力して行うよう求めた。 1月24日、WHOは最新の報告書を発表し、ベトナムのケースについてヒトからヒトへの感染が起きたとみられると明らかにした。同じくコロナウイルスで過去に流行したMERSやSARSと同じように、咳やくしゃみなどで飛び散る飛沫や直接的な接触などで感染する可能性があるとして対策を呼びかけている。 1月31日、中国国外でヒトからヒトへの感染が確認され、その他の国々で感染者数が増加したことを受けて、WHOは流行事態に関して「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC)」を宣言した。2009年の豚インフルエンザの世界的流行時に初めて発動されてから6度目となるPHEICの宣言となった。テドロス事務局長はPHEICについて、今回の事例では「中国における不信任決議ではなかった」が、全世界的な、特に強固な医療体制が整っていない低・中所得諸国への感染拡大のリスクがあるため、宣言に至ったことを明らかにした。渡航制限の実施に対しては、「国際的な旅行および通商に不必要に干渉する方法をとる理由はない」とし、「WHOは貿易および移動を制限することは推奨しない」と述べた。一部報道ではWHOはテドロス事務局長の出身地が中国から多額の援助を受けているエチオピアであるため、中国の措置を称賛して出入国制限を勧告しないなど後手に回り、さらに空路による感染防止に関する情報を加盟国に提供している国際機関であるICAOも柳芳(中国語版)事務局長が中国出身ということで、WHOとともに国際機関への中国の影響力によって排除された台湾(中華民国)が「エアポケット」(空白地帯)になっていると報じられた。 2月2日、WHOは世界的に伝染病が流行するパンデミックのように誤った情報が拡散される「インフォデミック」が新型コロナウイルスに便乗して起きているとする注意喚起を行った。 2月3日、WHOの報道官は中国に多国籍の専門家チームが派遣されることを発表した。 2月5日、WHOは、たとえウイルスが現れたとしてもウイルスに感染した人を検出する体制が整っていない低所得諸国の体制整備が喫緊の課題であるとして、それらの国々の戦略的な感染防止のための基金に6億7500万ドルを寄付するよう、国際社会に向けて呼びかけた。さらにテドロス事務局長は、「我々の強さは最も弱い人々との絆によって決まる」と述べ、国際社会に対して「今日投資することです。さもなくば、後々より多く支払うことになるでしょう」との声明を発表した。 2月11日、WHOは記者会見で、疾病の名称をCOVID-19と定めたと発表した。同日発表された別の声明で、テドロス事務局長は国連のアントニオ・グテーレス事務総長と短い話をして「国連の総力を挙げて対応にあたる」との同意を得たことを明らかにした。その結果、国連の危機管理チームが立ち上げられ、国際連合機関全体の対応の調整を図り、WHOはチームが「医療対応に焦点を絞れるようにし、他方で他の機関がその専門的知識をもって、流行が世界の社会、経済および開発にもたらす幅広い影響に立ち向かうことができる」ようにした。 2月14日、WHOの主導で、中国との合同ミッションチームが立ち上げられ、国際的なWHOの専門家が現地に入り、中国国内の流行管理を支援し、ワークショップを開催して「疾病の重症度および伝染性」を評価し、国家級の重要な機関との会合を持ち、野外視察を指導し、「都市部と農村部を含む、省級および県級での流行対応活動の影響」を評価した。 2月24日、WHOは「パンデミックとは呼ばない」事を発表した。 2月25日、WHOは「世界は起こり得る新型コロナウイルスのパンデミックへの備えをますます進めるべきである」と宣言し、現時点の流行状況をパンデミックと呼ぶには時期尚早だが、それでもなお、諸国はそれへの「備えをするべき局面に」あると述べた。イランで新型コロナウイルスの流行が拡大している事例に対しては、同日WHOが合同ミッションチームをイランに派遣し、同国の状況を見極めると発表した。 2月28日、WHOの当局者は全世界規模での新型コロナウイルスの脅威の評価が「高い」から警戒・危険度評価基準のうち最高レベルの「非常に高い」に引き上げられることを発表した。WHOの緊急事態プログラムの統括責任者を務めるマイク・ライアンが声明で、「ここに地球上の全ての政府が行うべき、現実を把握する方法がある。目を覚ますこと、準備をすることだ。(政府の皆様方は)近づいて来ているであろう、このウイルスに備えておく必要がある。(皆様方には)自国民に対する義務があり、世界に対して準備を整えておく義務がある」と警鐘を鳴らし、正しい対応策をとれば世界を救うことができ、「最悪の事態」を回避することができると呼びかけた。さらに、ライアンは現在のデータでは公衆衛生当局者が全世界的なパンデミックを宣言する正当な根拠にはならないと述べ、パンデミック宣言は「我々が本来認めているとおり、地球上のすべての人間がウイルスに曝されている」という意味になるだろうと話した。 3月6日、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの違いについてまとめた報告書を発表した。 3月11日、WHOのテドロス事務局長はこの流行事態についてパンデミック(世界的流行)相当との見解を初めて示した。
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