G20諸国の反応
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「2014年クリミア危機での国際社会の対応」の記事における「G20諸国の反応」の解説
カナダ - 2月28日、外務大臣のジョン・ベアードはウクライナ新政府を祝福するとともに、この危機的状況において、1994年ブダペスト宣言が公約するウクライナの領土主権と国の一体性を尊重することの必要性を強調した。3月1日のオバマ大統領との電話会談で、首相スティーヴン・ハーパーは「国際法やウクライナとその民主主義の未来を支える国際社会の結束の重要性」を確認した。同日、ハーパーはウクライナにおけるロシアの軍事介入を非難した。カナダは駐ロシア大使の召還とロシアが議長国を務める第40回G8サミットの準備からの離脱を発表した。3月3日、カナダ下院はクリミアにおけるロシアの介入を非難する動議を満場一致で可決した。これに続いてハーパー首相はロシアの行動を「侵略と占領」と呼び、ベアード外相は本事案と1938年のナチス・ドイツによるズデーテン併合と比較した。その後カナダはロシアとのあらゆる軍事協力を中断した。3月4日にウクライナ国旗がオタワの国会議事堂前に掲揚された。3月7日、カナダはロシア軍人(少なくとも9人)に24時間以内にカナダ領土から出国するよう要求した。 ドイツ - アンゲラ・メルケル首相はロシアの行動を「受け入れられない」として、彼らの行動は国際法違反になると語った。メルケルは、ロシアが1994年にウクライナ独立を受け入れながら、現在は安全保障に関するブダペスト覚書を尊重していないことを指摘した。ドイツ連邦議会に提出した政策声明で、彼女は「ウクライナの領土一体性には交渉の余地がない」と主張した。彼女はバラク・オバマとの電話会談の中で、プーチンは「別の世界に住んでいる」と発言したと報じられた。メルケル首相はまた、「いわゆる住民投票、独立宣言、ロシアへの吸収併合という流れは、国際法に反しているというのが我々の確固たる意見である」と主張し、ロシアがクリミアのロシア併合に関する住民投票とコソボの独立を比較したことは「恥ずべき」ことだと述べた。2015年3月、ウクライナ大統領ペトロ・ポロシェンコとの会談後、メルケルはこの併合は国際法に違反しており、したがってクリミア半島をウクライナ領として回復することはドイツにとっての目標であると語った。 インド - インド政府はウクライナ情勢に比較的バランスの取れた行動を取っている。インドは公式声明の中で、ウクライナの内部問題の平和的な解決を望んでいるが、ロシアだけでなく他の利害関係も関係していると述べている。インド政府はクリミアの併合を認めた最初の主要国であり、ウクライナの領土一体性に関する決議を棄却し、それがクリミア市民の選択であると発言してその決定を正当化した。外務省は、激しい衝突が頻繁に目撃されるとして5月29日からウクライナ東部のドネツィクとルハーンシク地域を離れるよう自国民(特に学生)に要請しており、また、ウクライナ東部および南部の他の地域の自国民に対しても、個人の安全およびセキュリティについて警戒を続けるよう勧告し、インド人旅行者に対しては、ウクライナへの不要不急の渡航を避けるよう警告している。同省によると、影響を受けた地域には約1000人の在外インド人が住んでいる。 12月11日、クリミア共和国首相のセルゲイ・アクショーノフは、初の外国訪問中にクリミア共和国と「インドの事業者」間の協力に関する覚書に署名した。これに応じてウクライナ大統領のペトロ・ポロシェンコは、(この訪問を許可することで)インドは「他の文明国」とは立場を異にしており、アクショノフ訪問の「価値」よりも「金銭面に着目」していたと語った。 インドネシア - インドネシアの外務大臣マルティ・ナタレガワは、ウクライナ情勢に深い懸念を示す声明を発表した。彼はウクライナ情勢を「ウクライナの主権および領土一体性を脅かすだけでなく、影響を受ける国同士の関係における緊張を高めるリスクもある国際的な危機」だと説明した。インドネシアはウクライナの主権を尊重し、全ての当事者に平和的手段を通じてこの問題を解決するよう呼び掛けた。常任理事国を含む国連安保理に対しても「ウクライナ危機への対応にあたって国際平和と安全を維持するという国連憲章に従ってその責任を負うこと」を求めた。声明はさらに、国連が影響を受けた地域に事務総長の特別使節を送ることを提案した。 イタリア - イタリアの首相マッテオ・レンツィは、プーチン大統領が「容認しがたい違反」を犯したと非難した。3月19日、レンツィは下院での演説中に、クリミアの住民投票は違法でありG8諸国はこの危機を解決して冷戦が復活しないよう協力を始める必要があると述べた。外務省の声明では「イタリアとヨーロッパの同盟国は、ウクライナの主権および領土一体性への侵害を強く非難し、ロシアに直ちに軍隊を引き揚げるよう要求する。彼らは政治外交の交渉窓口を危機を解決する唯一の方法だと見なしている」と述べられた。 日本 - 3月2日、外務省は声明を発表し、「ウクライナにおけるロシア連邦軍の使用権限に関する3月1日のロシア連邦院による決定は,地域の緊張を高め,国際社会の平和と安定を損ないかねないものであり,深刻な懸念と憂慮」を表明した。また、「ウクライナ情勢が平和的手段によって解決されることを強く期待し,全ての当事者が自制と責任をもって慎重に行動し,ウクライナ領域内におけるロシア連邦黒海艦隊駐留の地位及び条件に関する協定を含む国際法の完全な遵守及びウクライナの主権と領土の一体性を尊重すること」を強く要請した。3月19日、日本の安倍晋三内閣総理大臣は、ロシアがクリミア自治共和国の独立を承認してロシア編入の条約に署名したことについて、「ウクライナの主権および領土の一体性を侵害するものであり、これを非難する」と語り、引き続きG7を含む各国と連携しながら、ロシアへの追加措置を検討するとの考えを表明した。8月より、経済産業省は主要国と足並みをそろえて、クリミア自治共和国およびセヴァストーポリ特別市に対して貨物の輸入規制措置および関与者の資産凍結措置を行った。 メキシコ - 3月4日、外務省事務局はプレスリリースを発表し、ウクライナ情勢の悪化に対するメキシコの深い懸念と、国連憲章と国際法に則ったウクライナの国家統一と領土一体性の尊重の要請の支持を表明した。 南アフリカ - 3月2日、報道官のネルソン・クグェトは、「南アフリカ政府はウクライナの政治情勢の展開に深い懸念を表明したい」と語り、「我々は状況を監視し続け、永続的な平和的解決策をもたらすための国際的な外交努力に取り組んでいく」と述べた。 トルコ - 2月28日、外務大臣のアフメト・ダウトオールは、「トルコはウクライナの将来における民主主義と民主主義に基づく政治的安定を重視している」と述べ、「クリミアはトルコにとってウクライナへ向かう扉であり、トルコにとって重要であるとともに、タタール人の同胞にとっても重要である」と述べた。3月5日、トルコ大統領のアブドゥラー・ギュルは、この問題は国際法の範囲内でウクライナの政治的一体性と国境を尊重しながら解決されなければならないと述べた。後任のトルコ大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンはクリミアの政治指導者との会談後に「不幸にも、歴史を通じて、クリミア・タタール人が自分たちの故郷で尊厳を持って生きる権利は集団追放と抑圧によって損なわれ続けてきた。そして今日も、我々はクリミアの違法な編入や他の残念な出来事を目撃している」と語った。
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