B747
内閣総理大臣などの要人輸送を行う大型輸送機です
特別輸送機B-747-400は、昭和62年に導入が決定され、「政府専用機検討委員会」において機種などの検討が行われ、購入が決定された大型輸送機です。主に内閣総理大臣などの要人輸送の際に運用されるほか、必要に応じて緊急時の在外邦人などの輸送に使用されます。平成16年度予算では通信航法装置改善として2機分の予算が付けられました。
分類 | 特別輸送機 |
乗員 | 17~19人(操縦室×2~4、通信室×3+12=客室最大) |
全幅 | 64.9m(213.0ft) |
全長 | 70.7m(231.8ht) |
全高 | 19.06m(62.5ft) |
自重 | 178,352kg(393,000lbs) |
エンジン | 4基 |
名称 | CF6-80C2 |
出力 | 105,272kg/(231,600lbs=離陸時) |
型式 | ターボファン・エンジン |
輸送能力 | 要人輸送・約150人、邦人輸送・約350人 |
性能 | |
最大離陸重量 | 362,873kg(800,000lbs) |
巡航速度 | マッハ0.85(約950km/h) |
航続距離 | 約7,000nm(約13,000km) |
【B747】(びーななよんなな)
Boeing 747.
1960年代後半にボーイング社が開発した、四発の超大型ジェット旅客機。
「ジャンボジェット」という愛称を持つ。
本機は当初、アメリカ空軍の次期大型戦略輸送機として開発され、ロッキード社と争ったが敗れたため、そのノウハウをもとに民間機として再計画された経緯をもつ。
当時、民間旅客機分野で遅れを取っていたボーイング社は、(アメリカ合衆国のフラッグキャリアにして世界最大の路線網を持っていた)パン・アメリカン航空(パンナム)の支援を得て、C-5との競争で敗れた機体の開発データを基に、超大型旅客機の開発に取り掛かった。
当時、旅客機にも高速大量輸送に対するニーズが高まっており、また、パンナムでも「太平洋無着陸横断」を望んでいたため、かつてない超大型旅客機となった。
当初は太平洋の無着陸横断は不可能とさえ言われ、当然開発は困難を極めたが、ボーイング社も倒産の危機に陥りながらもパンナムの支援を得て社運を賭けて取り組んだ。
開発当初は完全な新造設計が試みられたこともあったが、最終的には既に実績のあるB707の設計を基に拡大したスタイルになった。
従来には無い二階建てのワイドボディであり、貨物室を含めて内部が非常に広く、太平洋を無着陸横断できる初めての旅客機としてその後の地位を確立した。
しかし、デビューと同時期に石油危機(第四次中東戦争を原因とするもの)が勃発して燃料価格が急上昇。また、提供可能な座席数がそれまでの数倍に膨れ上がったため空席を埋めきれず、団体旅行運賃を作ってツアー旅行客にばら撒く羽目となってしまった。
これによって、それまで富裕層だけのものだった航空旅行は一般庶民にも身近なものになったが、その反面、ローンチカスタマーとなったパンナムは経営破綻への下り坂を一気に転げ落ちる羽目となった。
基本的に旅客型には350~450名前後の乗客が搭乗可能だが、日本の航空会社が発注した客席増加仕様のB747SRやB747-400Dも存在する。
また民間の特別塗装の火付け役もこの機体で、全日本空輸の「マリンジャンボ」はその代表例である。
最新の派生型として、2005年11月14日にB747-400の後継としてB747-8のローンチを発表した。
これはB747-400をベースに胴体を延長し、座席数を約30席増加し、B747-400とエアバスA380の中間的な座席数を確保できる機体となる。
その他に、E-4、VC-25、B747-47C、AL-1など、軍向けの派生型が少数存在する。
スペックデータ
乗員 | 3名(機長・副操縦士・航空機関士) 2名(機長・副操縦士)(B747-8) |
基本乗客数 | 3クラス366名/2クラス452名(B747-100初期型) 3クラス467名(B747-8) |
全長 | 70.6m(B747-100(初期型) 76.4m(B747-8) |
全高 | 19.3m(B747-100(初期型)) 19.5m(B747-8) |
全幅 | 59.6m(B747-100(初期型)) 68.5m(B747-8) |
胴体幅 | 縦:7.85m 横:6.49m |
内部キャビン幅 | 6.1m |
主翼面積 | 511㎡(B747-100(初期型)) |
空虚重量 | 162.4t(B747-100(初期型)) |
最大離陸重量 | 333.4t(B747-100(初期型)) 440t(B747-8) |
エンジン | ターボファンエンジン×4基 P&W JT9D-7Aまたはロールス・ロイス RB211-524B2(B747-100(初期型)) P&W JT9D-7R4G2またはロールス・ロイス RB211-524D4またはGE CF6-50E2(B747-200/300) P&W PW4062またはロールス・ロイス RB211-524HまたはGE CF6-80C2B5F(B747-400) GE GEnx-2B67(B747-8) |
推力 | 209kN(B747-100(初期型)) 66,500lb(B747-8) |
巡航速度 | M0.85(B747-100(初期型)) M0.855(旅客)/M0.845(貨物)(B747-8) |
貨物容量 | 170.6㎡(5パレット+14LD1コンテナ)(B747-100(初期型)) 161.5㎡(旅客)/854.3㎡(貨物)(B747-8) |
航続距離 | 9,800km(B747-100(初期型)) 14,815km(旅客)/8,275km(貨物)(B747-8) |
派生型のラインナップ
- B747-100
基本型。- B747-100B
短距離型。 - B747-100B/SUD
B747-300型のボディに-100型のエンジンを搭載したモデル。日本航空が発注した2機のみ生産。 - B747SR
日本国内線専用機。-100型をベースとする。 - SCA(Shuttle Carrier Aircraft)
NASAが中古の-100型(N9668、もとアメリカン航空所属機)及びSR(JA8117、もと日本航空所属機)を買い取ってスペースシャトルの輸送機に改装したもの。
スペースシャトル計画の終了に伴って用途を失い、2012年2月8日に退役。
今後は、NASAが運用する天体観測機「SOFIA(遠赤外線天文学成層圏天文台・後述)」への部品取り用の機体として使用される。
- B747-100B
- B747-200
機体構造強化型で、いわゆる「747クラシック」の標準型。 - B747-300
従来型の2階席を延長したタイプ。 - B747SP
胴体を大幅に短縮し、航続距離を延長したタイプ。少数のみ生産。- SOFIA
NASAが運用する天体観測機。-SP型をベースに開発された。
SOFIAとはThe Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy(遠赤外線天文学成層圏天文台)の略である。
- SOFIA
- B747-8
B747-400の胴体を延長して座席数を増やすと共に、B787のテクノロジーを多く流用した最新の派生型。2010年2月に初号機が初飛行した。
インターコンチネンタル(旅客機型)とフレイター(貨物機型)の 2機種が発表されたが、生産は貨物機型が先になる予定という。
テトラヒドロ‐2‐[N‐(2‐クロロ‐1‐メチルプロピル)‐N‐(2‐クロロエチル)アミノ]‐2H‐1,3,2‐オキサ…
ボーイング747
(B747 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/27 01:36 UTC 版)
ボーイング747
Boeing 747
注釈
- ^ ただし、エアバスA380が実機としてロールアウトしたのは2005年であるため、航空史上、20世紀における最大の民間航空機となっている。
- ^ C-5Aの計画時期に該当する。
- ^ 結果として超音速旅客機の就役はなかったものの、ボーイング777の登場により旅客型の主力の座を譲ることとなった際には、この設計が役立ち、貨物型の受注が好調となっている。
- ^ 1990年代後半に入ってからは、各航空会社の燃費に対する意識がさらに強くなり、A340でさえ燃費が悪い(4発機であるため)としてボーイング777に切り替える航空会社もある。例:エア・カナダ、オーストリア航空、全日本空輸など
- ^ 旅客型は2016年10月1日を以て完全退役。
- ^ 元TNT航空。
- ^ ボーイング747-400LCF型。アトラス航空が運航。
- ^ a b 747-400D型も含む。
- ^ 1999年、-400D型がハイジャックされ、機長が死亡した。(JA8966)(全日空61便ハイジャック事件)
- ^ 2017年10月退役。
- ^ 2000年に、台北で特別塗装機(トロピカル・メガトップ)が離陸に失敗、B744で初の乗客が死亡する事故が起きた。(9V-SPK)(シンガポール航空006便墜落事故)
- ^ 1997年グアムで墜落。これはB747-300の唯一の事故である。(HL7468)(大韓航空801便墜落事故)
- ^ 1990年、イラクのクウェート侵攻中にクウェート国際空港に着陸してしまい、乗員が拉致された。その後機体は爆破された。(G-AWND)(ブリティッシュエアウェイズ149便乗員拉致事件)
- ^ 1985年にサンフランシスコ沖の太平洋で急降下事故を起こしている。(N4522V)(中華航空006便急降下事故)
- ^ 1985年8月12日、-100SR型が飛行中に尾翼が脱落し油圧全損、操縦不能になり、群馬県の御巣鷹の尾根に墜落した。これは単独機の事故として世界最悪の事故である。(JA8119)(日本航空123便墜落事故)
- ^ 1974年にナイロビで墜落。これはB747初の事故である。(D-ABYB)(ルフトハンザドイツ航空540便墜落事故)
- ^ 1977年にKLM機と衝突事故(N736PA)(テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故)、1988年にはリビアによる爆破テロで空中分解している。(N739PA)(パンアメリカン航空103便爆破事件)
- ^ 1996年にニューデリー上空でカザフスタン航空機と空中衝突事故を起こした。(HZ-AIH)(ニューデリー空中衝突事故)
- ^ 1996年に、ニューヨークで空中分解事故を起こした。(N93119)(トランス・ワールド航空800便墜落事故)
- ^ 自社発注の-200Cを放出後長らくはDC-10とMD-11が主力だった。
出典
- ^ a b 「ジャンボジェット」ボーイング747型機が生産終了へ
- ^ ボーイング、B747ファミリーの累計生産が1500機を達成…ワイドボディ機で過去最多 レスポンス 2014年06月30日(月) 13時30分
- ^ a b c 阿施光南 (2019-04-01). “ジャンボジェットの半世紀”. 月刊エアライン. 39. イカロス出版. pp. 48-57
- ^ 帆足孝治 (2019-04-01). “「747の父」、Joe Sutter”. 月刊エアライン. 39. イカロス出版. p. 59
- ^ 航空用語辞典 非常口ドア - 日本航空(更新日不明/2018年3月21日閲覧)
- ^ 佐貫亦男 (1980). ジャンボジェットはどう飛ぶか. ブルーバックス. 講談社. ISBN 978-4061180291
- ^ a b c “B747 「落選作」がドル箱に:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2019年2月27日閲覧。
- ^ “B747 当初は中途半端な性能:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2019年2月19日閲覧。
- ^ 「最後のボーイング747」完成。アトラス航空へと出発(PC Watch2022年12月7日掲載記事
- ^ a b c “ボーイング747型機製造終了 最後の機体は米貨物航空会社へ”. 日本放送協会(NHK NEWS WEB). (2023年1月31日) 2023年2月1日閲覧。
- ^ “Boeing Japan - ついに、ラスト! 最後のボーイング747型機が12月6日、エバレット工場からロールアウトしました。”. Twitter. 2022年12月10日閲覧。
- ^ a b c “Boeing says farewell to 'Queen of the Skies' with last 747 delivery”. edition.cnn.com. CNN. 2023年2月1日閲覧。
- ^ スカイスリーパーサービス - JAL(facebook)・2015年10月4日
- ^ Time Flies: GE’s Original Flying Testbed Jets Off Into History
- ^ https://www.planespotters.net/production-list/Boeing/747/747-100
- ^ https://airlinegeeks.com/2018/05/25/last-commercially-operating-boeing-747sp-flown-to-retirement-in-iran/
- ^ 日本の旅客機全履歴データ 日本の旅客機2004-2005 159頁 イカロス出版 2004年5月31日発行
- ^ a b Boeing 747 - MSN 60411 - HL7644
- ^ a b 旅客機用の747、最後の1機製造か 米ボーイング
- ^ a b 「ジャンボ機」が生産終了に追い込まれたワケ
- ^ a b 90초만에 보는 보잉747 이야기
- ^ Rzjets.net
- ^ [1]
- ^ Mahan Air | Mahan Fleet
- ^ 航空機の案内|ASIANA AIRLINES
- ^ 2020年に退役
- ^ 2020年8月~9月に退役
- ^ a b 写真特集:ユニークな塗装で魅了、世界の飛行機15選
- ^ Historic 747 reaches grim end in South Korea - ロサンゼルス・タイムズ(2010年12月13日)
- ^ デルタ航空のボーイング747-400型1号機が引退、来年本社の博物館に展示予定 - デルタ航空日本支社ニュースリリース 2015年9月10日
- ^ 「横着巨人機許さず 係官の我慢に限度 文書で定時発着求める」『朝日新聞』昭和45年(1970年)3月27日朝刊、12版、15面
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