【B747-400】(びーななよんななだっしゅよんひゃく)
Boeing 747-400.
ボーイング社の超大型旅客機・B747の近代化アップデート版として1980年代に開発された機体。
B747はその巨大さと市場の独占ゆえ競合機の登場を許さなかったが、その運用には多少の無理も存在した。
このため、B757やB767などの中型旅客機で得られたノウハウをフィードバックして若返りを企図したのが本機である。
胴体は-300型とほぼ同様だが、左右の主翼をそれぞれ1.8m延長したうえ、さらに1.8mのウイングレットを追加して空力特性を向上した。
またエンジンには新規設計のPW4000などを採用し、燃費や推力重量比を大幅に改善した。
さらに水平尾翼内に燃料タンクを取り付けることによって燃料トリムが可能となり、トリム使用時の抗力を減少させることができるようになった。
(ただし尾翼タンクを装着した場合ペイロードが減少するため、これを装着しないオプションも存在する)
これらの改善を施した結果、地球上の大半の地域へ到達することのできる航続距離13,330kmを達成することができた。
これは単純な巡航燃費の向上のみならず、長距離路線における途中着陸(テクニカルランディング)の必要性がなくなったことにより、離着陸飛行による燃料消費や空港着陸料の節減、さらに離着陸回数の低減による機体の長寿命化といった意義まで持つ。
また、B757/B767で得られたグラスコックピットやフライバイワイヤーなどの自動化技術に基づき、超大型機でありながら航空機関士を乗せない2マンクルーでの運航が可能となり、乗員や整備員の人件費も削減した。
更に、こうした操縦の自動化は人的ミスを防止する役割も果たし、事故予防の効果もあると考えられている。
これらの自動化を果たしたことから、本機はテクノジャンボという愛称で呼ばれたこともあった。
1989年にノースウェスト航空へ就航したのを皮切りに、その優れた経済性が評価されて各国に広く販売され、2009年9月の生産終了までに633機の販売を記録した。
なお、これは747ファミリー全モデルを通じて最多の販売記録ともなっている。
現在では、より燃費がよく運航コストの低いB777やエアバスA340への置き換えが進められ、初期に導入された航空会社では順次退役が進んでいる。
しかし、これらの機体の多くは貨物専門会社やチャーター便専門会社へ転売されたりしているため、当面の間は運航が続けられると見られる。
スペックデータ
乗員 | 2名(機長・副操縦士) |
基本乗客数 | 3クラス416名/2クラス524名 |
全長 | 70.6m |
全高 | 19.4m |
全幅 | 64.4m |
胴体幅 | 縦:7.85m 横:6.49m |
内部キャビン幅 | 6.1m |
主翼面積 | 541㎡ |
空虚重量 | 180.8t |
最大離陸重量 | 412.8t |
貨物容量 | 158.6m³または137m³ |
エンジン | P&W PW4062ターボファン×4基 GE CF6-80C2B5Fターボファン×4基 ロールス・ロイス RB211-524ターボファン×4基 |
推力 | 281.57kN(PW4062) 276.23kN(CF6-80C2B5F) |
巡航速度 | M0.855 |
航続距離 | 14,205km |
派生型
- B747-400
初期生産型。 - B747-400M
747-400 Combiとも呼ばれる貨客混在型。
胴体後部側面に貨物用のドア(SCD)が付く。
KLMオランダ航空のみで使用。 - B747-400D
B747SRの後継として登場した日本国内線専用機。(19機生産)
ウイングレットは装着されていない。 - B747-400ER
航続距離延長型。カンタス航空のみで使用。 - B747-400F
貨物機型。2階客室の延長は意味がないので行われていない。 - B747-400ERF
400ERの貨物機型。 - B747-BCF/BDSF
貨物機改修型。 - B747-47C
日本国政府が、皇族・内閣総理大臣などの首脳や賓客の公務旅行に用いるため導入した「政府専用機」。
機体の運用は航空自衛隊に委任されている。 - B747LCF
B787のコンポーネント輸送用に改造された大容積貨物専用機。 - AL-1
アメリカ軍の保有する、機首にレーザー発振器を搭載した弾道ミサイル迎撃機。
747-400Fがベース。 - C-33
軍用輸送機型。採用には至らなかった。
ボーイング747-400
(B-747-400 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/17 14:06 UTC 版)
ブリティッシュ・エアウェイズのボーイング747-400
注釈
- ^ 伊丹空港発着路線は、運航規制により2006年3月31日をもってエンジン四発機の営業運航は禁止となった。その当日に成田 - 伊丹線NH2176/2179において四発機としての「ラストフライト」に運用された機体でもある
- ^ 「一度取り付けたウィングレットを取り外すと、もう二度と取り付けることはできない」といわれていたが、実際はウィングレットを外して運用されていたJA402Aが中華人民共和国の揚子江快運航空に売却後B-2432となり、ウィングレットを装着して貨物機として使用されているので、それは事実ではなかった
- ^ 純正型は窓が一定間隔の後に独立して2か所あるが、改修型は国際線用のクルーバンク(乗務員の休憩スペース)などとして窓がなく、国内線転用後もそのままであった
- ^ 747-400Dに導入されるプレミアムクラスは、座席こそはCMに使用された新素材と形状は類似しているが、パソコン電源・パーソナルライトの設定はない。またシートピッチは38インチから45インチになる(他の機種は50インチ)
- ^ それまでの記録は1995年にJALのボーイング747-300SR「SUPER RESORT EXPRESS OKINAWA」で記録した全普通席584席であった
- ^ 2011年現在、世界最多座席の旅客機はフランスのコルセールフライの747-400で、全エコノミークラス587席である。ちなみに、2014年にエール・オーストラルがエアバスA380によるモノクラス仕様840席として有償提供を予定していたが、2016年に発注が取り消された。運用されていたならば世界最多有償座席数として記録更新となり、こちらが世界最多となるはずだった
- ^ 2クラス仕様においてはエミレーツ航空が2015年11月より同じくエアバスA380による中距離2クラス仕様615席で有償提供を開始したため、2クラスでは記録更新となり、こちらが世界最多となった
- ^ ANA発行の紙の時刻表(2014.3.30 - 5.31運航分)の上では、「773」による運用となっており、この日のみの運用である。紙の時刻表に則った定期便運用は、同年3月29日の那覇-羽田線のNH136便が最後となった。
- ^ ANAからの公式な発表はなされておらず、真相は不明。また、同機が炎上により全損した写真は一枚も出ていない。参考URL:http://aviation-safety.net/database/record.php?id=20080803-0
- ^ エアバスA380の貨物型は受注が全てキャンセルされたため、開発中断となっている
- ^ ただし、納入後に日本貨物航空での営業路線に投入されずにベルギーのCargo B Airlines(登録記号 OO-CBD)にリースされた。しかし、2009年7月にCargo B Airlinesは営業不振により運航停止となり、その後砂漠にストアされたのち、ロシアのエアブリッジカーゴへ引き渡されている。日本貨物航空での営業運航歴はない
- ^ 2013年11月現在は、カリッタエアに移籍して運航中
出典
- ^ Norris, Guy; Wagner, Mark (1999). "767: Stretching and Growing". Modern Boeing Jetliners. Osceola, Wisconsin: Zenith Imprint. ISBN 0-7603-0717-2 pp16–17.
- ^ a b 世界航空機年鑑2007-2008 酣燈社 2007年 ISBN 978-4873572703
- ^ Planespotters.com Airline Fleet Lists
- ^ カンタス航空、5発エンジンで747-400を運航 【動画】 - FlyTeam ニュース
- ^ デルタ航空のボーイング747-400型1号機が引退、来年本社の博物館に展示予定 - デルタ航空日本支社ニュースリリース 2015年9月10日
- ^ さらば英BA「ジャンボ」B747 ラスト2機の最終フライトは珍しい「デュアル離陸」予定も… - 乗り物ニュース 2020年10月8日
- ^ 『旅客機年鑑 2010-2011』、イカロス出版、p43
- ^ a b The Boeing 747 Family -- The Right Choice for the Large Airplane Market
- ^ http://www.airbusjapan.com/press-release-details/?tx_ttnews%5Btt_news%5D=135&tx_ttnews%5BbackPid%5D=101&cHash=c070cae7fa
- ^ 欧州エアバス、840人乗り「空飛ぶいわしの缶詰」の受注失う - Bloomberg 2016年4月12日
- ^ Boeing, 747-400 Airplane Characteristics for Airport Planning Revision D, 2002年10月,p.34.
- ^ フライトスケジュール(国内線)
- ^ 惜別ジャンボ 国内線専用機-400D 退役フライト 2日間
- ^ 『月刊エアライン』(2010年3月号)、p106「ANAグループ」、イカロス出版
- ^ FINAL 747 THANKS JUMBO!(2013年9月2日付)
- ^ JA8963登録情報
- ^ 『旅客機年鑑 2010-2011』、イカロス出版、p243
- ^ a b Boeing, News Release.(2000年11月28日)
- ^ 『旅客機年鑑 2010-2011』、イカロス出版、p244
- ^ Tirpak, John A. "Airlift Moves Up and Out". Air Force Magazine, February 1996.
- ^ ボーイング社ニュースリリース(2003年10月14日)
- ^ ボーイング社ニュースリリース(2005年10月18日)
- 1 ボーイング747-400とは
- 2 ボーイング747-400の概要
- 3 概要
- 4 機体の特徴
- 5 現在のカスタマー
- 6 事故・インシデント
- B-747-400のページへのリンク