鶏ロイコチトゾーン症とは? わかりやすく解説

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ロイコチトゾーン症

(鶏ロイコチトゾーン症 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/08 05:46 UTC 版)

ロイコチトゾーン病(ろいこちとぞーんびょう、英:leucocytozoonosis)とは住血胞子虫ロイコチトゾーンLeucocytozoon)の寄生を原因とする感染症

日本では家畜伝染病予防法においてニワトリを対象に届出伝染病に指定されている。なお、日本獣医学会の提言で法令上の名称が「ロイコチトゾーン病」から「ロイコチトゾーン症」に変更された[1]

鶏ロイコチトゾーン症

養鶏業において重視される感染症である。病原体は鶏ロイコチトゾーンLeucocytozoon caulleryi)で、日本からマレーシアにかけての東南アジアに分布している。日本では主にニワトリヌカカ(Culicoides arakawae)により媒介され、6月頃より発生し、7~9月にピークを迎え、10月頃に終息する。

ニワトリヌカカが吸血時に唾液とともにスポロゾイトを注入することにより感染が成立する。スポロゾイトは様々な臓器の血管内皮細胞に侵入してメガロシゾントに発育し、第1代メロゾイトを放出する。これが再び血管内皮細胞に侵入し第2代シゾントとなり、第2代メロゾイトを放出する。第2代メロゾイトは赤血球白血球に侵入してガメトサイトとなり、これが吸血時にニワトリヌカカに移行して消化管内で有性生殖を行う。生じた接合子が分裂を繰り返してスポロゾイトとなり、これが唾液腺に集合し次の感染に備える。

鶏感染原虫数が多いほど症状は悪化し、喀血貧血、鶏冠の蒼白、緑色便、発育遅延、産卵率低下などを示す。病理学的には全身諸臓器に点状出血が認められる。重症化すると死亡に至る場合もあり、特にに対しては高い致死性を示す[2]

寒天ゲル内沈降反応が特異性が高いため診断に使用される。血液塗抹標本のギムザ染色より赤血球内の第2代メロゾイトあるいは赤血球外のガメトサイトを検出することにより診断する。

予防は原虫対策としてアンブロリウム、エトパベート、スルファキノキサリン、ハロフジノンスルホン酸カルシウムなどの飼料添加、ニワトリヌカカ対策として鶏舎への侵入、吸血活動の防止を行う。日本では産卵中のニワトリへのサルファ薬使用は禁止されている。日本ではロイコチトゾーン・カウレリー第2代シゾント由来R7遺伝子の発現タンパク質を有効成分とする組換え型ワクチンが市販されている。

脚注

  1. ^ 家畜の伝染病疾病の名称変更について”. 農林水産省消費安全局. 2021年12月26日閲覧。
  2. ^ 動物衛生研究部門:家畜の監視伝染病:ロイコチトゾーン症 | 農研機構”. www.naro.affrc.go.jp. 2025年6月8日閲覧。

参考文献


鶏ロイコチトゾーン症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/26 02:14 UTC 版)

ロイコチトゾーン症」の記事における「鶏ロイコチトゾーン症」の解説

養鶏業において重視される感染症である。病原体ロイコチトゾーンLeucocytozoon caulleryi)で、日本からマレーシアにかけての東南アジア分布している。日本では主にニワトリヌカカ(Culicoides arakawae)により媒介され6月頃より発生し7~9月ピーク迎え10月頃に終息する。 ニワトリヌカカ吸血時に唾液とともにスポロゾイト注入することにより感染成立するスポロゾイト様々な臓器血管内皮細胞侵入してメガロシゾントに発育し、第1代メロゾイト放出する。これが再び血管内皮細胞侵入し第2代シゾントとなり、第2代メロゾイト放出する第2代メロゾイト赤血球白血球侵入してガメトサイトとなり、これが吸血時にニワトリヌカカ移行して消化管内で有性生殖を行う。生じた接合子分裂繰り返してスポロゾイトとなり、これが唾液腺集合し次の感染備える。 感染原虫数が多いほど症状悪化し喀血貧血鶏冠蒼白緑色便発育遅延産卵低下などなどを示す。病理学的に全身臓器点状出血認められる寒天ゲル内沈降反応特異性が高いため診断使用される血液塗抹標本ギムザ染色より赤血球内の第2代メロゾイトあるいは赤血球外のガメトサイト検出することにより診断する予防原虫対策としてアンブロリウム、エトパベート、スルファキノキサリン、ハロフジノンスルホン酸カルシウムなどの飼料添加ニワトリヌカカ対策として鶏舎への侵入吸血活動防止を行う。日本では産卵中のニワトリへのサルファ薬使用禁止されている。日本ではロイコチトゾーン・カウレリー第2代シゾント由来R7遺伝子の発現タンパク質有効成分とする組換え型ワクチン市販されている。

※この「鶏ロイコチトゾーン症」の解説は、「ロイコチトゾーン症」の解説の一部です。
「鶏ロイコチトゾーン症」を含む「ロイコチトゾーン症」の記事については、「ロイコチトゾーン症」の概要を参照ください。

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