第九章
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 08:42 UTC 版)
「とっぴんぱらりの風太郎」の記事における「第九章」の解説
風太郎と黒弓は奈良から河内に入り、八尾で藤堂軍を見つける。戦死した兵の具足を手に入れ、城に着く直前で藤堂軍に紛れ込むが蝉に見つかる。義左衛門の頼みでここに紛れ込んだと誤魔化すと、蝉から自分と組むよう持ちかけられる。蝉は采女から常世を探すよう命じられていた。黒弓はひさごの側に常世がいるはずだから同じ場所を目指すものだと組む事に賛成する。 城に近づくと既に本丸から火の手が上がっていた。因心居士に正門から突破するよう指示され、因心居士の術によってできた煙の中の風の道を駆け抜け、石垣に突き刺した槍の柄を踏み台にして跳び、城壁の屋根に降り立つ。蝉に義左衛門からの指示でない事を見破られ詰問されるが、自分についてきたお陰で仲間を出し抜いて本丸に侵入できた事を指摘するとそれ以上詰問するのを止める。因心居士の指示に従い、御殿の千畳敷にたどり着くと果心居士が入ったひょうたんである豊臣家の馬印を見つける。因心居士にこのまま天守に運ぶよう指示され、天守の中に入ると炎にくべるよう指示される。火にくべた馬印が割れる音がした時、目の前に南蛮の服を来て因心居士のひょうたんを手にした異国の男が現れる。果心居士と名乗るその男に風太郎と蝉は次々と術をかけられるが、何故か黒弓だけには術が効かない。因心居士のひょうたんも火にくべると、因心居士は果心居士にひさごの場所を尋ねる。ねねに頼まれてある物を届けに行くことを話すと、果心居士はひさごのいる櫓の場所を教え三人に気を消す術をかける。ただし、黒弓だけは言葉が違うから術がその内自然に解けてしまうこと、三人とも生きているものに触れたら術が解けること、そして姿を見せたいものの前で唱える天竺の呪文を教える。因心居士、果心居士と別れひさごのいる櫓を探すため天守の屋根に登ると、ひさごがいる櫓の曲輪には残菊たち月次組がたむろしているのが見え、果心居士が自分たちに術をかけた理由が分かる。 櫓までどうやって行くか話し合う中で、黒弓に今までの因心居士や果心居士との関わりを告白する。すると黒弓も切支丹である事を告白し、「言葉が違う」という意味を理解する。果心居士の術を未だ信じられないため遠回りして櫓に向かう事を提案するが、遠回りしている間に月次組にひさごたちを殺される事を危惧した蝉によって半ば強制的に月次組の前を通る近道を行く事になる。ひさごのいる櫓にたどり着き、どうやって櫓に入るか思案していると天守が不自然に爆発して中から侍が飛び出してくる。その隙に三人は櫓に入りひさごと常世に呪文を唱える。三人に気づいたひさごは全員にねぎらいの言葉をかけ、蝉は自分のような得体の知れない忍びまでねぎらってくれた事に感激する。風太郎はひさごにねねから頼まれた物が入った袋を渡す。中身について自分の口から説明することができなかったが、ひさごは中身について承知しているようで、その対応を見た時、ひさごの人の好さとそれ故に戦で負けてしまう事を感じる。ひさごは常世に櫓を出て風太郎達と一緒に帰るように言うが、常世は最後までひさごに仕えたいと訴える。常世の心が既に伊賀にはない事を悟った時、蝉が常世はひさごの身を守るために、采女が大坂城に入れていた他の忍びを全て殺した事、そのため采女から常世を始末する命を受けてここまでついてきた事を話す。黒弓は常世に一緒に伊賀から逃げようと誘うが、常世は自分の意志でひさごに最後まで仕える事を選んだと黒弓の提案を断る。 ひさごにねねへの伝言を頼まれ、無力感を感じながら櫓から立ち去ろうとした時、突然隣の仕切りで赤子が泣き出す。常世に赤子とその母である侍女が連れてこられ、ひさごはあやしながら自分の子である事、落ち延びさせてあげたかったが叶わなかった事を語る。泣き止んだ赤子と目が合った時、不意に天王寺での焼き討ちの光景と芥下の言葉が甦り、無意識の内にひさごから赤子を受け取る。蝉もひさごが自分を人間として扱ってくれた事の恩返しとして、後で采女に処刑される事を承知で伊賀を裏切る事を決める。常世もひさごの命で赤子を背負う風太郎を助け城から脱出する事になる。黒弓は悩むがある理由から一緒に行けないと断る。黒弓は百と偶然大坂の町中で会い、伊賀を抜けた事を聞いて一緒に海外に逃げる約束をした事、戦が終わった後に祠のある槐で待ち合わせしている事、槐の下に貯えを隠した事を話し、風太郎たちもそこを目指し落ち合う約束をする。風太郎はもし百に再会できたら、まだ言えてなかった看病のお礼を言おうと思う。ひさごに別れを告げ黒弓が一足先に櫓を出るが、その時扉を開けた真田大助が術を破っていないはずの黒弓の動きに目を合わせたように見え不安になる。その後風太郎、蝉、常世が一気に櫓から飛び出し、赤子を救うための決死行が始まる。 櫓から飛び出した三人は二の丸に繋がる極楽橋を目指して走るが、櫓にいた間に月次組が周囲の松林を燃やしていたため極楽橋に近づく事ができない。仕方なく危険を承知で堀に飛び込み逃げる覚悟を決めるが、その時常世を激しく憎んでいる柳竹を始め五人の月次組が現れる。常世の決めた筋書きに従い時間稼ぎをして逃げる隙を伺うが、怪しまれた柳竹達に取り囲まれてしまう。もう誤魔化せないと踏んだ蝉の指示によって、常世が柳竹に顔を晒したのを合図に常世と蝉が一気に斬りかかり、その間に風太郎は逃げる。柳竹以外の四人は常世の毒を仕込んだ刀や針によって瞬殺される。左手の指がほとんどなく刀の握れない柳竹は、火のついた分銅と鎖で繋がれた鎌で常世に襲いかかる。常世は帷子を着ていないため風太郎は心配するが、刀で分銅を弾くと柳竹の右手を斬り体を貫く。風太郎と蝉は常世の勝利を確信するが、柳竹は貫かれながらも何故か嬉しそうに分銅を握り自分の体に押し付ける。その瞬間轟音が鳴り響き、柳竹は常世を巻き込み自爆する。 常世の死を振り切り蝉と風太郎は赤子を守るために必死で逃げる。残菊達が気づく前に少しでも遠くに逃げようとするが、月次組の集団に囲まれてしまう。蝉は先ほどの常世の筋書きを続け残菊達が作り話を信じ刀を収めたため、蝉は風太郎に逃げる指示を出す。風太郎が一気に走り出し、蝉は集団相手に大立ち回りを演じ風太郎を逃がすための時間稼ぎをする。月次組は風太郎を追いかけようにも蝉に翻弄されてなかなか動く事ができないが、風太郎が一気に城壁を飛び越えようとした瞬間、隠れていた月次組の人間に地面に叩き落とされてしまう。とっさに体をひねって赤子を下敷きにしないようにうつ伏せで落ちるが、そのため胸の傷を強打してしまい痛みで動けなくなる。蝉も予想外の事態に一瞬隙ができ、その瞬間大量の毒針を打ち込まれてしまう。蝉は何とか持ちこたえるが、ふらついたところを琵琶に捕らえられ、顔の形が変わるほど殴られ両方の太ももを刺される。瀕死の蝉は琵琶に羽交い締めにされるが、琵琶が油断したところで毒を染みこませたらっきょうを口に放り込み棒手裏剣を喉に打ち込む。琵琶の腕から逃れた蝉は槍と刀で残菊に捨て身の攻撃を仕掛けるが、右腕を斬られ倒れこんだところで斬首される。 月次組に取り囲まれ残菊に刀を首に突きつけられ死ぬ覚悟を決めた時、術の完全に解けた黒弓が城壁の屋根に現れる。月次組が三人、黒弓を捕らえようと走りながら棒手裏剣を投げるが、黒弓はそれをかわすと三人に目がけて火薬玉を投げる。黒弓は風太郎を逃がそうとするが三人の内一人は動けなくなったものの死んでおらず、とっさに投げた刀が黒弓の脇に刺さる。予想外の事に呆然とする黒弓の喉に残菊の投げた刀が刺さり、動けなくなった黒弓は屋根から落ちてしまう。 残菊に「どうでもいい人間と引換にまた(月次組の人間が)死んだ」と言われ、怒りの余り我を忘れて残菊に飛びかかろうとするが、左の太ももを刺されてしまう。しかしそれによって忘れかけていた忍びの誇りを思い出し、残菊が刀を振り下ろし最も隙ができる瞬間に刺し違える事で赤子を守る事を決意する。残菊が高々と刀を振り上げ残菊を刺すタイミングを計っていた時、因心居士の声が聞こえ激しく燃え盛った天守閣が一気に崩れ落ちる。因心居士は餞別として煙幕の中に細い風の道を作り、そこから一気に走って逃げ堀に飛び込むよう風太郎に指示する。とっさに風太郎は道を走るが、その後ろから煙幕の中を月次組が複数追っかけてくる。因心居士は風太郎が無事に堀に飛び込んだら全て煙幕で覆うと言うが、もし追撃されたら赤子を守りながら戦う術がない事、月次組が生き残って徳川方に赤子の事を話す可能性を危惧した風太郎は、黒弓の火薬玉によってできた洞に赤子を隠すと因心居士に赤子が煙を吸わないように風を回してほしいと頼む。そしてめいいっぱい息を吸うと、残りの月次組を全て殺すために煙幕の中に飛び込む。 柘植屋敷の最後のような一寸先も見えぬ分厚い煙に覆われた中、全身の痛みによって異常な程感覚が研ぎ澄まされた風太郎は、月次組が自分に気づくより早く相手を見つけ次々に始末していく。残り四人になった時、左右から挟まれて毒針を打ち込まれ意識が遠のくが、自ら胸の傷を開き激痛に耐える事で意識を引き戻す。死んだ仲間の顔を思い浮かべ体勢を立て直している内に、毒針を打ち込んだ二人の肺が限界に達し煙を吸い込んで倒れる。残菊が風太郎を呼ぶ声が聞こえ、背後から襲おうとじりじりと迫っていると蝉の首につまづく。その時、残菊の声はもう一人の月次組が真似ている罠だと気づき、罠にかかったふりをして逆に残菊を罠にかけて襲いかかる。奇襲をかわされすかさず追撃するが、返り討ちにあい右腕を斬られてしまう。しかし煙の中に残菊の影を見つけ、口に小刀を咥えて体ごと突っ込む。残菊の振り上げた刀は左手に下げてるだけの刀に偶然当たって弾かれ、その瞬間口の小刀で残菊の首を切り裂く。残菊は自分がやられた事を信じられない表情で風太郎を見つめるが、程なくして倒れる。残菊の声を真似ていた男はお金で雇われた若い放下師で、忍びではない事を理由に命乞いをする。しかし赤子の秘密を知っている以上生かしておくわけにはいかず、一言謝ってから首を切り裂く。
※この「第九章」の解説は、「とっぴんぱらりの風太郎」の解説の一部です。
「第九章」を含む「とっぴんぱらりの風太郎」の記事については、「とっぴんぱらりの風太郎」の概要を参照ください。
第九章
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/28 10:06 UTC 版)
第九章では「四季」のことを解説する。「日輪」(太陽)も丸い形をした火の玉であることを述べて、地球の公転を独楽が行燈の廻りを廻ることに喩えて解説する。公転により「三百六十五日と二時半余」で一周して一年になることを述べる。そして、四季の起る原因として、地球の太陽に向う面が垂直の時は夏で、斜めになるときは冬になることを述べる。
※この「第九章」の解説は、「窮理図解」の解説の一部です。
「第九章」を含む「窮理図解」の記事については、「窮理図解」の概要を参照ください。
- 第九章のページへのリンク