病原因子とは? わかりやすく解説

病原因子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 09:30 UTC 版)

化膿レンサ球菌」の記事における「病原因子」の解説

化膿レンサ球菌の病原因子として、以下のものが知られている。 細胞局在する病原因子 莢膜 一部菌株見られヒアルロン酸から構成される白血球による貪食逃れる役割(抗食菌作用)を持つ。 リポタイコ酸 細胞壁結合した多糖類粘膜への付着によって感染部位への定着容易にする(定着因子) Mタンパク質 表面タンパク質の一種角質細胞接着し皮膚への定着関与する定着因子。また補体活性化因子フィブリノーゲン結合することで、抗食菌作用も持つ。またヒト心筋タンパク質ミオシントロポミオシン)と共通の抗原性持っており、宿主への分子擬態関与するとともに、これに対す抗体自己反応性抗体として作用することで、リウマチ熱などの自己免疫疾患発症関わると言われている。Mタンパク質菌株ごとの抗原性の違いが、化膿レンサ球菌血清型別関与するC5aペプチダーゼ 表面タンパク質一種で、補体成分C5a分解して補体による排除機構から逃れる役割を持つ。 分泌される毒素酵素 ストレプトリジン(ストレプトリシン) 溶血素、すなわち赤血球などの細胞膜破壊することで細胞組織対す毒性を示す菌体酵素組織破壊による感染巣拡大や、免疫細胞による排除対す抵抗性関与するストレプトリジンOストレプトリジンSの二種類があり、大部分菌株がこの両者産生する前者分子量69,000タンパク質で、抗原性があり、GAS感染症回復期患者では、血中抗ストレプトリジンO抗体価(Anti-streptolysin OASLO)が上昇するため、診断有用である。後者分子量8,000ペプチド抗原性はない。 ストレプトキナーゼ プラスミノーゲン結合し、これを活性化する役割を持つタンパク質侵襲性関与すると言われ壊死性筋膜炎との関連指摘されている。 発熱毒素スーパー抗原としての活性を持つタンパク質群。免疫担当細胞過剰な亢進引き起こし発熱炎症全身性ショック原因になる。猩紅熱見られる全身性の発赤発赤毒素)や毒素性ショック症候群などの毒素疾患主因であり、また壊死性筋膜炎との関連指摘されている。 この他ヒアルロニダーゼDNaseなどの分解酵素菌体外に分泌しており、これらも組織破壊による感染巣拡大関与する考えられている。

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病原因子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 05:22 UTC 版)

黄色ブドウ球菌」の記事における「病原因子」の解説

黄色ブドウ球菌病原性関わる因子には以下のものが知られている。 細胞局在する病原因子プロテインA - 細胞壁に存在するタンパク質で、黄色ブドウ球菌のほとんどが有する特徴的な成分一つ抗体免疫グロブリン)のFc領域結合する性質持ち、これによって抗体の持つ生物活性抑制することで、免疫系によって排除されることを防ぐ働きを持つ。 フィブロネクチン結合因子 - 細胞壁存在するタンパク質で、フィブロネクチン結合して体内定着する働きを持つ(定着因子タイコ酸 - 細胞壁存在する分子宿主細胞との結合高める(定着因子外毒素細胞外に放出される毒素エンテロトキシン群 - 食中毒原因となる黄色ブドウ球菌産生する下痢腹痛などの直接の原因になるほか、嘔吐中枢にも作用して嘔吐原因にもなる。スーパー抗原としての活性を持つ。 TSST-1(毒素性ショック症候群毒素-1) - 毒素性ショック症候群後述)の原因となる毒素。強いスーパー抗原活性持ち発熱悪心ショック症状引き起こす免疫系かく乱する役割を果たす。高吸収性月経用、鼻腔タンポン使用によって、本毒素産生著しく増大することが知られている。 表皮剥脱毒素 - スーパー抗原一種溶血素(ヘモリジン)- 赤血球破壊する溶血活性を持つ毒素群であり、特にα毒素重要な病原因子。免疫細胞破壊することで排除を防ぐ働きを持つ。また組織破壊によって病巣部から周辺組織侵入する際にも働く。 ロイコシジン - 白血球を殺す毒素であり、免疫細胞破壊によって排除対抗している。 酵素病原性関わる酵素群)コアグラーゼクランピング因子 - 血漿凝固させ、フィブリン形成起こす。これによって増殖の場となる凝集塊を作り出し白血球血漿中の抗体による排除を防ぐ働きがあると考えられている。 スタフィロキナーゼ - 析出したフィブリン溶解させる働きを持つ。凝集塊の中で増殖した後、その凝集塊を分解して周囲感染広げる際に働くと考えられている。 プロテアーゼDNaseリパーゼ - タンパク質核酸脂質分解し周辺組織分解して感染の拡大関わる

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病原因子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 11:00 UTC 版)

ヘリコバクター・ピロリ」の記事における「病原因子」の解説

ヘリコバクター・ピロリには多くの病原因子が存在する。特にウレアーゼは本胃内定着必須であるとともに走化性粘膜傷害にも大きく関与する。これ以外にも、本特異的な外毒素菌体外に分泌される毒素)である細胞空胞毒素 (VacA; Vacuolating toxin A) や、ムチナーゼやプロテアーゼなどの分泌酵素群が、粘膜および胃上皮細胞傷害直接関与する考えられている。またグラム陰性菌最外殻存在するリポ多糖などによって起きる、好中球などの遊走によっても炎症引き起こされる。また本線毛類似したIV型分泌装置呼ばれる構造有しており、これによって宿主細胞直接注入されるエフェクター分子(CagAなど)は宿主細胞IL-8産生誘導して炎症反応惹起するほか、アクチン再構築細胞増殖亢進アポトーシス阻害など多様な反応引き起こし、これが癌の発生に繋がるとも考えられている。このほか、鞭毛は本感染部位となる胃粘膜遊泳し到達するために、また外膜タンパク質一種は本上皮細胞接着するために必要であることが知られている。 これらの病原因子はすべて本による感染胃粘膜傷害関与するが、このうち特異的なVacAやCagAについて研究進んでいる。その結果、同じヘリコバクター・ピロリでも、VacAやCagAを持つ菌株持たない菌株存在することが明らかになった。これらを持つ菌株毒性強く、これらの強毒こそが慢性胃炎消化器潰瘍胃がん本当病原体で、弱毒の方はあまり害のない一種常在菌なのでないか、という仮説提唱されている。

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