鰭赤病菌の病原因子

微生物の用語解説

鰭(ひれ)赤病菌の病原因子 [Pathogenic factors of Aeromonas hydrophila]

　エロモナス･ハイドロフィラはヒトに下痢腸炎や創傷感染をおこし、食中毒細菌の一つとされているが、一方、魚類の鰭(ひれ)赤病菌としても重要である。この細菌が菌体外へ産生する病原因子は多種類の酵素や毒素が知られている。種々のタンパク質分解酵素(亜鉛プロテアーゼ、セリンプロテアーゼなど)、リン脂質分解酵素(ホスホリーパーゼ A,C)、アセチルコリンエステラーゼ、グリセロリン脂質-コレステロール アシル転移酵素などの酵素のほかに、溶血毒素(α,β;エロリジン)や腸管毒素などが研究されている。これらの内、腸管毒素はヒトに下痢をおこす病原因子で、エロリジンは赤血球膜に細孔をあける孔形成毒素の一つである。