魚類の類結節症菌 [Pasteurella piscicida]
この魚病はブリのほかにカンパチ、マサバ、マアジ、カワハギ、ウマズラハギ、イシダイ、クロダイ、マダイにも発生し、欧米ではスズキ科のホワイトパーチ、ストライプドバスのほかに大西洋メンハーデン、ボラ、サケ科魚類など広く淡水・海水魚に発生している。とくに日本では梅雨期に水温が20℃を超える頃や大雨で海水の塩分濃度が下がった場合に、ブリやカンパチの幼魚に多く発生する。
その症状はきわめて急速に進み、体表にはほとんど病状がみられないが、脾臓と腎臓には例外なく多数の小白点(約1mm、繊維組織)がでて死亡する。予防対策としてワクチンが有効であるがまだ検討すべき点が多い。治療には抗生物質(クロラムフェニコール、テトラサイクリン、アンピシリン)が有効であるが、サルファ剤は無効である。
類結節症菌は日本で初めて分離された魚病細菌で、現在はパスツレラ属に分類されているが異論もあり、まだ国際的な細菌鑑別・分類書には記載されていない。この細菌は偏性病原菌とされ、グラム陰性、通性嫌気性の運動しない短桿菌(0.6-1.2×0.8-2.6μm)であるが、条件によっては球状や長桿菌になる多形性である。また、色素もなく芽胞もつくらない。その発育は25-30℃、pH7.5-8.0、塩分2-3%が最適である。一般にこの細菌はホワイトパーチ由来株以外は魚種が違っても血清型に差はない。また、タンパク質、デンプンを分解せず、赤血球を溶かす溶血性は条件によって差があるが、リン脂質を分解する溶血毒素が報告されている。そのほかに強い細胞毒性もあり、これらが病原性に関係すると考えられている。
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