魚病とは? わかりやすく解説

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ぎょ‐びょう〔‐ビヤウ〕【魚病】

読み方:ぎょびょう

魚介類のかかる病気多く養殖病気についていう。「—学」


魚病 [Fish diseases]

 一般に魚類疾病を魚病といい、その原因化学的原因生物学的原因分けられる化学的原因としては生育環境水の化学的変化よるもので、おもに水中酸素欠乏過剰な溶存窒素または酸素による血流異常(ガス病)がある。また、環境汚染原因となる溶存有毒物質による代謝障害奇形および栄養分過不足による栄養障害などがある。生物学的原因として種々の病原微生物による感染症寄生虫病がある。魚病の中でも細菌真菌(多くはかび)、原虫およびウイルスによる感染症世界水産業、とくに増養殖業甚大な被害をもたらすので、最も重要視され多く研究なされてきた。
これらの魚病が発生する環境的原因(間接的原因)としては
   (1)自然または人為的な海況水質物理・化学変化
   (2)環境水の循環流動悪化
   (3)過密な養殖による負傷摂餌不足による栄養障害
   (4)過剰な投餌による環境水の富栄養化(過剰な有機物の溶存)や栄養過多
   (5)各種薬剤過剰投与による薬害耐性菌の出現
   (6)保菌卵や保菌魚の導入(防疫体制不備)などが挙げられる
このような種々の環境変化魚類に異常をきたし、魚類体表(えら)、口、肛門あるいは傷口などから病原体感染して発病するまた、保菌あるいは保菌卵などによる感染(垂直感染)や保菌幼魚成魚による感染(水平感染)もある。感染した魚類病原体によって種々の組織・器官障害受けてついには死亡する。そこで適切な処置なされないと魚病はさらに他の魚伝染して被害拡大する
現在、魚病対策として上記のような環境悪化防止する種々の方法防疫処置がとられているが、一部の魚病を除いてワクチンなどによる予防法開発今後の課題として残されている。ほとんどの場合抗生物質合成化学療法剤あるいは殺菌剤消毒剤による処置なされている。しかし、今のところ、とくにウイルス感染症対す的確な薬剤はなく、細菌感染症の場合薬剤耐性菌出現などが予防・治療対策困難にしている。また、水産養殖では技術的に多量環境多数魚類対象であるから、その対策容易ではない。したがって、魚病を防止するには魚類飼育環境よくすることが先決である。

魚病

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/08 21:19 UTC 版)

粘液胞子虫」の記事における「魚病」の解説

粘液胞子虫には魚類病原体多く養殖始めとする水産業重大な経済的影響を及ぼすものも数多く知られている。以下に粘液胞子虫による魚病の例をいくつか挙げる。なお和名は特記なき場合2014年の和名目録による。 Myxobolus(シズクムシ) 多系統的な属であるが中でも M. cerebralis が最も有名であり、研究もよく進んでいる。これはサケ科魚類旋回病の病原体で、軟骨組織胞子形成するため骨格曲がりまっすぐ泳ぐことができなくなる。サケ科様々な感染するが、とくに養殖ニジマスにおいて深刻である。元々ヨーロッパ分布していたが、養殖用に輸出されニジマスによって北アメリカ分布広げ猛威ふるっている。釣り人分布拡大一役買っていると考えられている。他にコイ筋肉ミクソボルス症を引き起こすダエンシズクムシ(コイ筋肉ミクソボルス) M. artusなどが重要な病原体である。 Ceratomyxa(ミカヅキムシ) C. shasta は北アメリカ太平洋岸でよく見られるサケ科魚類寄生虫症状魚種により様々であるが、消化管内臓筋肉などに影響及ぼし体重減や皮膚などの黒化加えて致死的な場合もある。 Kudoaクドア粘液胞子虫始めとする原虫の研究者でありアメリカ帰化した工藤六三郎 (Richard R. Kudo) に献名された属。分子系統解析に基づき胞子4つ上の極嚢があるもの全てKudoa 属に所属させることになった筋肉組織シスト多数形成する場合と、死後ジェリーミート呼ばれる筋肉融解引き起こす場合とがある。世界的にジェリーミート引き起こすホシガタクドア K. thyrsites が有名である。日本では特に奄美クドア症病原体 アマミクドア(奄美クドアK. amamiensis が深刻で、奄美・沖縄水域一部ブリ養殖をすると高い確率感染し商品価値失われる2010年ヒラメマグロ寄生するナナホシクドア K. septempunctataを摂食したことによる食中毒事例報告され水産業上のみならず公衆衛生観点からも注目されるようになっている

※この「魚病」の解説は、「粘液胞子虫」の解説の一部です。
「魚病」を含む「粘液胞子虫」の記事については、「粘液胞子虫」の概要を参照ください。

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