病原体への抵抗性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/25 07:58 UTC 版)
イネ科植物の細胞壁には細胞壁分解酵素グルカナーゼが結合している。イネ科には5種類のグルカナーゼが細胞壁に存在し、このうち2種類は植物に普通存在しない1,3-β-グルカンを分解する。これら非植物細胞壁の分解酵素は、病原菌の細胞壁を分解してその分解産物で病原菌の侵入を報せるためにある。分解産物はシグナル分子の働きをし、植物の抵抗性や毒素産生を導く。 病原菌への抵抗の初期段階では、酸化バースト(oxidative burst)と呼ばれる、アポプラストでの活性酸素種の生成を植物は行う。病原菌の攻撃を受けるとまず植物細胞膜でNADPH酸化酵素によって超酸化物アニオンが生成される。超酸化物はスーパーオキシドジスムターゼによって過酸化水素に変換される。アポプラストでは過酸化水素の供給源には過酸化酵素、アミン酸化酵素、シュウ酸酸化酵素がある。インゲン豆Phaseolus vulgarisでは過酸化水素は細胞壁の過酸化酵素によって供給され、アポプラストのアルカリ化と還元剤の放出を引き起こす。酸化バーストの過程ではアポプラストは、Ca2+とH+の流入とK+の流出によってアルカリ化される。
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