病原体の発見とは? わかりやすく解説

病原体の発見

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 08:19 UTC 版)

感染症の歴史」の記事における「病原体の発見」の解説

詳細は「コッホの原則」および「予防接種#ヒトに対する予防接種」を参照 感染症伝染性発見したのは、イスラーム世界代表する医学者サーマーン朝出身イブン・スィーナーであった。「医学典範(āb al-Qānūn fī al-ṭibb、The Canon of Medicine)」(1020年)において隔離感染症拡大止めること、体液何らかの天然物によって汚染されることで感染性獲得することを記述している。ただし、その物質が病気直接原因になるとは考えていなかった。 14世紀ナスル朝活躍したイブン・アル=ハティーブイベリア半島アンダルス地方における黒死病ペスト)の流行において、衣類食器イヤリングへの接触発症有無左右していることを発見した。これを受けて、イブン・ハーティマ(Ibn Khatima、1369年 - ?)は「感染症微生物ヒト体内侵入することによって発症する」との仮説打ち立てた。この考えは、16世紀イタリア修道士科学者ジローラモ・フラカストロ著作梅毒あるいはフランス病』(1530年)や『伝染病について』(1546年)により、ルネサンス期ヨーロッパにも広く受け入れられた。フラカストロ伝染病のコンタギオン説(接触伝染説)を唱え梅毒Syphilis)やチフスtyphus)という病名命名者となった病原体病原微生物)について、それを人類初め見たのは、形態的には1684年オランダアントニ・ファン・レーウェンフック光学顕微鏡による細菌観察といわれるレーウェンフックの顕微鏡改良により、細菌肉眼容易に観察できるようになった1838年細菌意味するラテン語 "bacterium" が出現しており、病原体現在のように判明してきたのは19世紀以降のことであってフランスルイ・パスツールドイツロベルト・コッホに負うところが大きい。パスツールは、病気中には病原体によって生じるものがあることを証明し狂犬病ワクチン開発した。そしてコッホは、1875年感染力のある病原体としての細菌である炭疽菌を、光学顕微鏡用いた観察よるものとして初め発見しまた、感染症病原体特定する際の指針として「コッホの原則」を提唱して近代感染症学基礎となる科学的な考え方打ち出した日本でも北里柴三郎1894年ペスト菌を、志賀潔1898年赤痢菌発見している。なお、主な疫病発見以下の通りであり、19世紀後葉から20世紀初頭にかけての時期集中している。 病名病原体発見病原体発見者ハンセン病 らい菌真正細菌1875年 アルマウェル・ハンセンノルウェーマラリア マラリア原虫原虫1880年 シャルル・ルイ・アルフォンス・ラヴランフランス腸チフス サルモネラ属菌真正細菌1880年 カール・エーベルトドイツ結核 結核菌真正細菌1882年 ロベルト・コッホドイツコレラ コレラ菌真正細菌1883年 ロベルト・コッホドイツジフテリア ジフテリア菌真正細菌1883年 エミール・アドルフ・フォン・ベーリングドイツ)、北里柴三郎日本破傷風 破傷風菌真正細菌1884年 アルトゥール・ニコライエルドイツ語版)(ドイツブルセラ症 ブルセラ属真正細菌1887年 デビッド・ブルースイギリスペスト ペスト菌真正細菌1894年 アレクサンドル・イェルサン(フランス語版)(フランス)、北里柴三郎日本赤痢 赤痢菌真正細菌1898年 志賀潔日本梅毒 梅毒トレポネーマ真正細菌1905年 フリッツ・シャウディン(ドイツ語版)(ドイツ百日咳 百日咳菌真正細菌1906年 ジュール・ボルデフランスチフスパラチフスサルモネラ属菌真正細菌1909年 シャルル・ジュール・アンリ・ニコルフランス光学顕微鏡では観察できない極小ウイルス(virus)の発見は、細菌よりも遅れ、1892年ロシア植物学者ドミトリー・イワノフスキーによるタバコモザイクウイルス発見最初であったウイルスによる感染症には、インフルエンザ後天性免疫不全症候群 (AIDS)、エボラ出血熱黄熱狂犬病重症急性呼吸器症候群 (SARS) 、中東呼吸器症候群 (MERS) 、デング熱ジカ熱天然痘風疹急性灰白髄炎ポリオ)、麻疹咽頭結膜熱プール熱)、マールブルグ出血熱ラッサ熱ウエストナイル熱日本脳炎水痘帯状疱疹新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) などがある。 ウイルスは、代謝系持たず細菌のように栄養摂取してエネルギー生産するような生命活動はおこなわない自己増殖できず、他生物の細胞寄生することによって増殖しエネルギー宿主細胞作るそれを利用し大きさ細菌よりもはるかに小さい。ウイルスの観察には電子顕微鏡が必要である。

※この「病原体の発見」の解説は、「感染症の歴史」の解説の一部です。
「病原体の発見」を含む「感染症の歴史」の記事については、「感染症の歴史」の概要を参照ください。

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