遊走とは? わかりやすく解説

ゆう‐そう〔イウ‐〕【遊走】

読み方:ゆうそう

移動すること。走性を示すこと。


遊走

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/01 08:56 UTC 版)

遊走(ゆうそう、: migration)または細胞遊走(さいぼうゆうそう、: cell migration)は、細胞などが個体内のある位置から別の位置に移動することを指し[1]多細胞生物の発生と維持における中心的過程である。胚発生創傷治癒および免疫応答時の組織形成には全て、細胞が特定の方向や場所へ協調的に移動することが必要である。細胞は化学的シグナル機械的シグナル英語版など、特定の外部シグナルに応答して移動することが多い[2]。この過程中でのエラーは知的障害血管疾患、腫瘍形成、転移などの深刻な結果をもたらす。細胞が移動するメカニズムの理解は、浸潤性腫瘍細胞の制御など、新しい治療戦略の開発につながる可能性がある。

細胞外環境は非常に粘性が高い(レイノルズ数が小さい)ため、細胞が移動するためには継続的に力を生み出す必要がある。細胞は、こうした活発な運動を非常に多様な機構で行っている。より複雑性の低い原核生物細胞の多く(や精子)は、推進力を生み出すために鞭毛繊毛を利用する。真核生物細胞の遊走ははるかに複雑であることが一般的であり、異なる遊走機構が組み合わされている場合もある。一般的に真核生物細胞の遊走は、細胞骨格によって駆動される細胞の形状の劇的な変化を伴う。非常に異なる2つの遊走機構の例として、crawling motion(最も広く研究されている)とブレブ英語版駆動型機構が挙げられる[3][4]。Crawling motionを行う典型例は魚類表皮ケラチノサイトであり、研究や教育目的で広く利用されている[5]

関連項目

脚注

  1. ^ 株式会社インテリム (2018年2月1日). “遊走”. がん情報サイト「オンコロ」. 3Hクリニカルトライアル株式会社. 2019年12月23日閲覧。
  2. ^ Mak, M.; Spill, F.; Roger, K.; Zaman, M. (2016). “Single-Cell Migration in Complex Microenvironments: Mechanics and Signaling Dynamics”. Journal of Biomechanical Engineering 138 (2): 021004. doi:10.1115/1.4032188. PMC 4844084. PMID 26639083. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4844084/. 
  3. ^ Huber, F.; Schnauß, J.; Rönicke, S.; Rauch, P.; Müller, K.; Fütterer, C.; Käs, J. (2013-02). “Emergent complexity of the cytoskeleton: from single filaments to tissue” (英語). Advances in Physics 62 (1): 1–112. doi:10.1080/00018732.2013.771509. ISSN 0001-8732. PMC PMC3985726. PMID 24748680. http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/00018732.2013.771509. 
  4. ^ Pebworth, Mark-Phillip; Cismas, Sabrina A.; Asuri, Prashanth (2014). “A novel 2.5D culture platform to investigate the role of stiffness gradients on adhesion-independent cell migration”. PLOS ONE 9 (10): e110453. Bibcode2014PLoSO...9k0453P. doi:10.1371/journal.pone.0110453. ISSN 1932-6203. PMC 4195729. PMID 25310593. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4195729/. 
  5. ^ Prieto, Daniel; Aparicio, Gonzalo; Sotelo-Silveira, Jose R. (19 June 2017). “Cell migration analysis: A low-cost laboratory experiment for cell and developmental biology courses using keratocytes from fish scales”. Biochemistry and Molecular Biology Education 45 (6): 475–482. doi:10.1002/bmb.21071. PMID 28627731. 

遊走

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 07:10 UTC 版)

白血球」の記事における「遊走」の解説

細菌真菌類侵入した組織では、組織内マクロファージ肥満細胞がただちに反応しインターロイキン-1IL-1)などのサイトカイン放出し、それらのサイトカインにより、組織内細胞炎症性変化起こすまた、それ以外過程含め炎症性変化起こした組織インターロイキン-8IL-8)を代表とする多種類のケモカインサイトカイン)や、その他の多種類の好中球遊走刺激因子放出する。それらの刺激因子細菌自身産出する物質活性化され補体表面レセプター感じ取った好中球は遊走運動活発化させる。速度最大40µm/minになる。好中球表面多数あるレセプター刺激因子濃度の濃い薄いを感じ取り因子濃度の濃い方向に遊走し、感染巣集結する。多く場合感染巣血管外であり、好中球血管壁通過しなければならない炎症箇所に近い毛細血管壁で好中球血管上皮粘着し血管上皮細胞好中球それぞれ各種因子によって変化起こし好中球血管上皮細胞の間をすり抜ける血管外に出た好中球組織内を遊走し、感染巣到達する炎症組織からの遊走刺激因子により、骨髄内の貯留プールなどに存在する好中球刺激を受け、遊走運動を開始し、また骨髄では好中球生産亢進される。それらによって、細菌類感染には大量好中球動員されることになる。 このように炎症によって生じ白血球遊走刺激因子(ロイコエグレシン、ロイコカイン、リンフォカイン細菌毒素補体分解産物)によって移動する性質化学走性(chemotaxis)という。

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遊走

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/09 08:17 UTC 版)

神経堤」の記事における「遊走」の解説

神経堤細胞が遊走するには、細胞外マトリックスであるインテグリンフィブロネクチンラミニン相互作用が必要である。エフリン後方部に発現し腹側経路にある体幹部神経堤細胞対す抑制性のリガンドであり、細胞内のチロシンキナーゼ活性化させて細胞移動にかかわる重要な細胞骨格であるアクチン阻害タンパクリン酸化する。その結果これらの細胞板前方に遊走するようになるトロンボスポンジン板前方部への遊走を促進する。これらが間違った場所で発現してしまうと、色素細胞その場所に遊走、増殖する

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