遊走から細菌への接触
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 04:22 UTC 版)
細菌や真菌類が侵入した組織では、組織内のマクロファージや肥満細胞がただちに反応し、インターロイキン1(IL-1)などのサイトカインを放出し、それらのサイトカインにより、組織内の細胞は炎症性変化を起こす。また。それ以外の過程を含め、炎症性変化を起こした組織やマクロファージ・肥満細胞はインターロイキン8(IL-8)あるいはNAP-2、MIP-2を代表とする多種類のケモカイン(サイトカイン)や肥満細胞が放出するロイコトリエンB4、その他の多種類の好中球遊走刺激因子を放出する。また、細菌自身の産出物質(FMLP.formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine)や細菌と抗体との反応で活性化した補体成分も好中球を遊走させる走化因子として働いている。それらの遊走刺激因子を表面のレセプターで感じ取った好中球は遊走運動を活発化させる。好中球は表面に多数あるレセプターで刺激因子の濃度の濃い薄いを感じ取り、因子の濃度の濃い方向に遊走し、感染巣に集結する。多くの場合、感染巣は血管外であり、好中球は血管壁を通過しなければならない。炎症箇所に近い末梢血管壁で好中球は血管上皮に粘着し、血管上皮細胞と好中球それぞれが各種因子によって変化を起こし、好中球は偽足を伸ばし、血管上皮細胞の間をすり抜ける。さらに酵素を用いて基底膜を破り、血管外に這い出る。血管外に出た好中球は組織内を遊走し、感染巣に到達する。感染巣に到達した好中球は、最終的には細菌自身の産出物質(FMLP)や細菌と抗体との反応で活性化した補体成分をレセプターで感じ取り、細菌へ接触する。 炎症組織からの遊走刺激因子により、骨髄内の貯留プールなどに存在する好中球も刺激を受け遊走運動を開始し、また骨髄では好中球の生産が亢進される。それらによって細菌類の感染には大量の好中球が動員されることになる。
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