木造弁才天坐像とは? わかりやすく解説

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木造弁才天坐像(西園寺妙音堂旧本尊)

主名称: 木造弁才天坐像(西園寺妙音堂旧本尊
指定番号 3499
枝番 0
指定年月日 2002.06.26(平成14.06.26)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 彫刻
ト書
員数 1躯
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  現在、京都白雲神社内に安置される二臂の琵琶弾奏形の弁才天坐像である。当社西園寺家邸内建立され妙音堂後身で、本像は、元仁元年一二二四)、藤原西園寺)公経(一一七一-一四四)によって北山造営され西園寺妙音堂本尊であったという。創立期西園寺は、妙音堂の他に本堂、善積院、功徳蔵院、五大堂などがあった壮大な寺院であったが、その後足利義満応永十四年(一三九七)に北山土地譲り受け北山別業となした。西園寺荒廃後の伝来については不明な点もあるが、本像が鎌倉時代にまで遡る作品で、しかも西園寺家伝えられてきたことからすれば西園寺妙音堂本尊像伝来誤りないとみて差し支えなかろう
 本像は、髻を結い上半身裸形のうえ、条帛、裙、腰布上端一段折返)、腰帯上端一段折返、正面中央蝶結び)を各著ける。二臂の弁才天像は多く大阪高貴寺像(重文)のように女神形がほとんどで、上半身裸形菩薩形像醍醐寺五重塔初層連子窓裏板絵や胎蔵曼荼羅外院西北部)中のもの以外先例がない。これは大日経説かれるいわゆる現図曼荼羅系の弁才天像で、別称として妙音天妙音楽天などと称される琵琶名手として知られ藤原師長(?-一一九二)はこの妙音天感得信仰して西園寺もたらしたという。のちに出家して理覚と称した師長密教系の弁才天像を音楽神として信仰したことは想像に難くない
 本像は、堅実な作風構造技法などから一三世紀前半の作と推定され的確な写実表現切れ長な鋭い目からくる森厳な面貌表現から当時慶派仏師の作になることが考えられる保存状態がよく銅製胸飾や着衣部の切金彩色による文様、彫眼の彩色当初のものが残る。丸くやや広い面相部の表現は、京都妙法院蓮華王院本堂中尊像(国宝)や西園寺本尊像重文)に近く慶派風の写実の上繊細な感覚加えた表現仏師湛慶作風通じるといえようまた、頭躰幹部ヒノキ思われる一材から彫出、前後に割矧ぎ頸部一端割り離したのち左斜めに角度付けて傾【かし】げさせて矧ぐような技法慶派仏師の作にみることができる。なお、持物琵琶当初のものかどうか即断できないが、古い形式伝えていると考えられる
 わが国弁才天遺例はすでに奈良時代遡るが、平安鎌倉時代遡る古例の数は少なく、とくに二臂琵琶弾奏形の彫像は、文永三年一二六六)の鶴岡八幡宮裸形像(重文)や高貴寺像、奈良西大寺大黒天像納入品の懸仏重文)などが鎌倉時代作品として知られるのみである。西園寺創建期に遡る本像は、したがって二臂像の最古例となり、本像の信仰の広がりによってその後の二臂の弁才天像の流行生まれたとの推測も可能であろう以後弁才天像の製作に与えた影響見逃せず、美術史上のみならず、音楽史文化史上の貴重な作品としてその価値は高い。

木造弁才天坐像


木造弁才天坐像

主名称: 木造弁才天坐像
指定番号 3418
枝番 00
指定年月日 1990.06.29(平成2.06.29)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 彫刻
ト書 像内に良金、円信房兵衛尉正氏の銘がある
員数 1躯
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  当寺講堂本尊として祀られる材・寄木造り玉眼嵌入技法になる二臂【ひ】弁才天坐像である。本寺延宝七年一六七九)の『河内國石川郡神下山高貴寺縁起』に本像とみられる弁才天像が描かれているが、それ以前伝来については詳らかでない。
 わが国における弁才天信仰早く奈良時代遡り東大寺法華堂所在塑造八臂像はその最古遺例として知られている。しかし、八臂あるいは二臂像を問わず、その古例きわめて稀であり、特にこの種二臂像は胎蔵界曼荼羅図像等に描かれるほかに平安時代遺例がなく、鎌倉時代下っても、文永三年一二六六)の鶴岡八幡宮特殊な裸形像(重文)が知られるに過ぎない
 本像はその堅実な作風構造技法から、十三世紀末頃の作と推定され通途の二臂琵琶弾奏像の稀有遺例としてその存在価値大なるものがある。〓襠【かいとう】衣の緑青彩やの上衣に施された麻切金文様もよく残っており、手にする琵琶も鹿頸【しとくい】をのぞいて大方造像時のものとみられ、概して保存状態良好である。
 丁寧に内刳された像内には僧俗多数結縁者名と願文しきもの記されている。のちに施され墨塗によってその全文判読し難いが、「良金」「良善」は他の記録などから高野山金剛峯寺僧、円信房弘安九年(一二八六)の西大寺騎師文珠菩薩像(重文)像内に願文納めた西大寺僧尊恵円信房かと考えられる
 また、内内刳は像底に貫通しているが、ここには板を当てていた形跡があって、何らかの奉籠品があったとみられる頭部内の釋迦舎利三粒」「金光明最勝王経」などの墨書はおそらく納入品々記したものであろう
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彫刻:  木造広目天立像  木造弁才天坐像  木造弁才天坐像  木造弁才天坐像  木造弁才天立像  木造弘文天皇坐像  木造弘法大師坐像



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