最近の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 03:20 UTC 版)
P2P通信がもたらされる以前は、公開FTPなどでアップロードされたものや、Warez行為を目的として公開されたホームページからダウンロードされるものであった。この際には、ダウンロード用ツール(古くはGetRightやIriaなど)を駆使することが多く、またダウンロードに成功しても偽装と呼ばれる暗号化(どんな方式かは分からない)が施されていることが殆どで、仮にこのようなサイトを見かけても、基本的にはマニア以外が目当てのものをダウンロードするのは難しい方式であった。 この方式はクライアントサーバ型であり、日本国内外のフリーサーバの管理が厳しくなるにつれ、 Warezサイトが公開され、そのサイトから違法にファイルがダウンロードされるようになる ホームページが削除される URLを変え再アップロード・再び公開 のプロセスが繰り返されるという、まさにいたちごっこの状態であった。しかしWarezサーバが存在し、そこからデータをダウンロードさせる方式であれば、配布する人間は基本的に限られており、またその人物の特定も比較的簡単であったため、その中で日本国内においても著作権法違反でWarezサイトの公開者に対する取り締まりも行われていた。 しかし、現在でも日本以外の国では、ソフトウェアのクラックをしたり、リッピングを行ったチームが、“リリース”と称し配下のFTPサーバーへ“ダンプ”し、それが他のチームの同様のダンプサーバーにコピーされていくことが、Warez配布のスタートである。これらチームの規模、数等の統計情報はないが、全世界で数千人〜数万人が何らかのチームに属していると考えられ、彼らが利用するこれらのFTPサーバーは暗号化された通信を行い、完全にクローズドなチームメンバー同士のファイルの交換という昔からの形態を保っている。大半の者はP2Pを忌み嫌っているが、中にはP2Pに流出させてしまう者もおり、これが一般へと流れてしまう元となる。また、チームメンバー同士の連絡に利用されるIRCのチャンネルもやはり非公開であるが、クラックされたソフトウェアやメディアファイルと同時に配布されるNFOファイル(「information」(説明)の略と思われる)にアスキーアートなどを用いてサインをすることが暗黙のルールとなっており、注意深く長期間にわたり観察をしていれば、彼らとコンタクトを取ることも不可能ではない。主に西ヨーロッパにおいて、数年に一度程度の割合で捜査当局により摘発されるチームが存在するが、それはこういった脇の甘いチームが摘発されているに過ぎない。この点において、ほぼFTPやIRCといった通信手段を使わず、また自身の“リリース”のファイルネームやNFOファイルにこだわりを見せない日本のクラッカーの特殊性は、国際的に見れば際立っている。(逆に日本のネットワークユーザーから見れば狭い範囲とはいえ複数の人と協力してクラック、それをチームの成果として配布するといった事は異常に見える。) やがて"Napster"の開発によって、不特定多数と大量のデータをやり取りするP2Pが可能になり、これにより取締りが厳しい国をまず中心に公開FTPでのダウンロードは衰退し、その後Napster,Gnutella,WinMX,Winny,Shareなど利用されるネットワークの遍歴はあるものの、現在一般にはP2Pネットワークを悪用した行為を中心として蔓延している。またこの中でも、現在でも規制の緩い国を中心に、旧来の特殊なソフトウェアを利用しないFTPなどを悪用したものが大々的に行われている国もあり、当然それらはインターネット上に公開されているため、外国などからもアクセスがあり、以前に比べて取り締まりが難しくなりつつある状況である。 ごく最近は国内の事情が変わってきており、従来の「アンダーグラウンド」な文化といった認識が低くなっている。原因には高速回線の普及、インターネットユーザの低年齢化、P2Pや海外FTPなどの情報を載せた多種の雑誌の販売、ユーザー同士での情報共有を手軽に行える無料レンタルwikiの登場(所謂「まとめサイト」「まとめwiki」)、ネット通販の普及など様々で、いずれにせよ誰でも簡単にWarezができる環境が整ったということが上げられる。高速回線の普及でソフトウェア、ネット通販の普及でハードウェア(マジコン等)、まとめサイトの登場で情報、これら全て簡単に入手できてしまう。またブログやmixiといった場所でWarezをしていることを記載し2ちゃんねるなどで所謂"炎上"といった状態に陥る人も出てきている。 これに対し、コピー防止技術については、 特定のエラーパターンで隠蔽したパターンを埋め込むなどしたメディアコストが比較的安いことなどから主にカジュアルコピーを防止することを目的としたコピー防止技術としてはよく使われる。しかし、元々が規格上にないデータ方式であるため互換性問題は常について回り、さらに方式の多くはエラーなどによく似ていることから、市販ソフトのエラー防止技術、補正によりデータが壊れることを回避するための機能などによって、意図せずともプロテクトを回避されてしまうこともある。 コピー防止のために物理的な装置の装着を要求するハードウェアプロテクト(ドングル)コピーを行うならば、コピーが難しいものを付属することによって、防止するというものである。しかし、これもソフトウエアそのものに手を加えたり、特殊なソフトウエアで仮想的に装置がつながっていることを装うことで回避するなどの手段がとられるなどし、ソフトウエアでは処理の難しい暗号を生成するなどといった機能を持たせるなどした結果、非常にコストが増加する結果につながる。現在ではドングル方式は、3DCGソフト、特にCAD,CAM,CAEなどといった、業務で使用する非常に高価なソフトウェアにしか採用されなくなってきている。 ネットワークや電話を利用したアクティベーション(ライセンス認証)マイクロソフトのOS、WindowsやシマンテックのNorton Internet Securityなどに採用されているのが、インターネットを用いた認証システムである。これらはいずれも、インストールの際に使用したプロダクトキーやCDキーなどを基に、それぞれの会社に置かれている認証サーバにユーザーがインターネット経由でアクセスし、そのキーが有効であるかを認証するシステムである。しかしマイクロソフトのWindows は、世界中のクラッカー達が発売後わずか数時間で、その認証システムを回避するプログラムを作ってしまうなど問題点があり、その後新たにWGAと言う認証システムを導入するも、こちらもリリース後たった数時間で、システムを回避するコードがインターネット上に出回ってしまった。 いずれもインターネットを利用して認証を行なうシステムであり、インフラ整備が遅れている地域やネットに接続できないような環境では、個別に電話対応するなどして認証を行なっている。このように、様々な認証システム及びコピー防止技術が新たに発表されては回避されてしまう、といういたちごっこが、現在まで延々と続いている。
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