国際環境の変化と韓国外交
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 07:47 UTC 版)
「大韓民国の国際関係」の記事における「国際環境の変化と韓国外交」の解説
国際環境と国家間の関係において、韓国の様な大国に包囲されている国の場合、影響を与えるより受ける傾向が強く、外交政策を決めるにあたって、選択の範囲が極めて限定されてしまいがちになる。韓国の外交政策は、理念的要因や地政学的要因、国家の建設過程で受容せざるを得なかった外勢の介入、そこから派生した国家の性格と行為範囲の制約など、国際環境から投入される様々な制約を受けている。しかし、国際環境の変動過程で国家の安全保障及び威信、国民の経済福祉、民族統一など国益を極大化する為の外交政策の決定者達による一連の努力を注視すると、韓国の外交政策は次のような特徴を見せている。 韓国の外交政策で理念の重要性があからさまに弱化した。すなわち, 建国後から6 •23宣言まで韓国の外交政策は反共理念によって強力に支配されてきた。しかし、韓国経済の高度成長と国力伸張によって南北朝鮮間の力学関係が逆転し、国際環境の脱理念化動向によって、1970年代から経済実利に比重を大きく置きながら、外交政策で脱理念化が明らかな特徴として現われている。特に、最近の変化は国際社会の構造的変化も大きく作用したが、韓国国民の民主化運動による政治体制全般の民主化の影響も大きいと見られる。従って、外交政策の決定過程と内容も合理的モデルに収斂されるであろう。 内容の多様化がなされた。即ち、生存に直接的に関わる安保問題だけでなく、国民福祉に関わる経済・通商問題、国家の威信に係る文化・体育、産業化の進展と国際社会での活動領域拡大による資源・環境問題など、建国初期より外交政策の内容が豊かになった。 国交を持つ国の多様化がなされた。アメリカ一辺倒から、日本・ヨーロッパ・中東・アフリカ・東南アジア・旧社会主義圏国家など、多くの国と国交を持つようになり、その国々との外交関係がより緊密になった。 外交の主体が一方では専門化されながら、同時に非政府単位の機関の役目が重要視される、多元化現象が見受けられるようになった。即ち、外交事案が複雑になり、外交活動領域の拡大化に伴い、専門職としての外交官の役割も重視されるが、該当の領域の民間外交活動の活性化もはっきりと確認される。近年の権力と機能の分散化により、この様な傾向は更に進むことが予想されている。 外交政策において、世論及び市民団体の声が反映されるようになった。即ち、外交政策の内容が国民の日常生活と利益に直接関わる事案にまで拡大し、民主化による政治体制の投入機能が伸長されたことにより、特定外交事案に直接的・間接的に関わる国民の立場が政策決定に反映されるようになった。 韓国が国連に加入して平和維持軍を派遣するなど、国際舞台において主体的な役割を果たすことにより、徐々にではあるが国際社会での存在感を増すようになった。そして、対日・対米外交でも過去より主体的力量が大きく伸長されるようになった。 しかし、韓国の外交政策はこのような肯定的変化とともに、次のような課題も抱いている。 朝鮮半島における平和定着と、民族統一という最終的な目標を果たす為に、北朝鮮との平和共存の制度的装置を確保しなければならないことである。この様な観点で、南北基本合意書が実践性を確保することが出来るように、対北朝鮮及び対外政策を展開することが課題とされている。そしてその間、米韓同盟が朝鮮半島での戦争防止に寄与した部分があったのかは定かではないが、冷戦体制の崩壊やソ連・中国との修交など、安保環境が僅かな年数の間に大きく変化し、南北朝鮮関係が真正な平和共存を追い求めるほど、米韓同盟は限界点を現わすしかないと考えられる。従って、北東アジア多者間安保協力の為の制度的装置の準備にも、外交的努力を傾注しなければならないであろう。 また、経済・通商部門で国際競争力を強化させる為には、官民合同で総合計画を樹立し、合作投資・技術・資本進出などを推進するのに必要な全方向外交を展開しなければならない。現在、韓国の対外政策で一番微弱だった部門として、文化外交が挙げられている。そのことから、韓国が国際社会で占めている地位や国際市場シェア、商品の等級を考慮すると、日本などに打ち勝つ為にも革新的な努力が求められている。 2015年5月3日のソウル大学統一平和研究院のソ・ボヒョク教授によれば、韓国政府は「対北・対日外交では“創造外交”が不足している」と指摘している。
※この「国際環境の変化と韓国外交」の解説は、「大韓民国の国際関係」の解説の一部です。
「国際環境の変化と韓国外交」を含む「大韓民国の国際関係」の記事については、「大韓民国の国際関係」の概要を参照ください。
- 国際環境の変化と韓国外交のページへのリンク