書誌的情報及びタイトルの記載例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 06:31 UTC 版)
「IMRAD」の記事における「書誌的情報及びタイトルの記載例」の解説
以下に、架空の設定に基づく書誌的情報の記載例(タイトルを含む)を示す。主な構成要素は#1タイトル、#2著者一覧、#3所属機関#4コレスポンディングオーサとの連絡方法、#5キーワード、必要に応じ#6貢献度に関する補足が書かれ、それ以外にも論文を識別するための情報(doiやISBNコード)等様々なもの(今回は除外)が記載される。(但し所属機関についてはフットノートに書かれている場合もある。)このパートの具体的な記載法については、分野や論文誌に大きく依存するため自身の投稿しようとする論文誌の投稿規定を詳細に確認することが望まれる。尚、今回は初心者向けのために対訳と注釈を詳細につけるため表形式で記載し、解説上の便宜のため一文一文に番号を振ったが、現実の論文において本文が表形式になっていることはなく、まして一文一文に番号が振られることもないことに注意されたい。 タイトルのつけ方(内容面)についてもいくつかの流儀がある。下記以外にもいろいろある。自身の投稿しようとしている論文誌の傾向を分析したうえで、どのようなタイトルにするか検討する必要がある。 「XXをXXするとXXかである/かもしれない/だった」、「XXはXXを示唆する」のように、ライトノベルのタイトルのようにやたらと文章じみてるもの。生物系の英文誌でよく見られる。和文(論文)タイトルではあまりこの形式はあまりみかけない。 「XXを用いたXXに関する研究 Investigation on XX by measns of XX」、「X細胞用の新しい培地 Novel serum free for X cells」のように、研究手法、研究対象、研究成果を抽象的な一文で書くパタン。 タイトルの形式面については、英語の場合は必ず最初の文字は大文字である。文の最後にピリオドや読点がないことが多いが、そうでないこともある。大文字と小文字の使い分けについては英語の場合以下の3通りのことが多い。詳細は自身の投稿しようとしている論文誌の投稿規定に従うべきである。 (形式1)本例のように文頭と略号のみ大文字の場合や、 (形式2)前置詞、冠詞、接続詞、(関係詞)のみ小文字というケース、 (形式3)全部大文字のケースがある。 著者名(#2)については、英文の場合「第1著者氏名,第2著者氏名,第3著者氏名,...,and 最終著者指名」のように書く点はおおむね共通だが、英文の場合に限っても困ったことに非常に多くの流儀がある。投稿規定を確認のこと。 ミドルネームをどう扱うか(本例の場合、第三著者の「綾瀬 Herminium みさお」氏はミドルネームHerminium を持つという設定になっている。) それぞれの著者名のどこまでをイニシャルにするのか (第三著者を例にすると、Misao A.H, Misao H.A, Misao. H. Ayase ...等) 姓と名どちらを先に書くか。(本例の第一著者を例にするとMadoka Yabusaki","M Yabusaki","M. Yabusaki", "Yabusaki. M" 等) 姓と名の間にピリオドやカンマを打つか。 何を大文字にし、何を小文字にするか。 指名に貴族称(von,de[要曖昧さ回避]等)や学位(Ph.D等)、資格(MD等)等をつけるか? オーサーシップについては、今回の例では、以下のような設定で書かれている。著者の順位については一部の分野では単にABC順の場合もあるが、通常は、記載された位置が研究への貢献度を示す。本例のように「記載された位置が研究への貢献度を示す」ような書き方の場合は、研究倫理の観点から様々な指摘が生じる場合がある 。著者の種類は概ね以下のように分類される。 ファーストオーサー:その論文の中の実験を主に行った人。今回は、薮崎さんと飛騨さんが共に第一著者という設定になっている。 ラストオーサー:研究全般に渡ってアドバイスを与えた人。実質的には研究室の教授等、その研究の予算を取ったり設備を揃えた人であったり、職位の高い人がなる。今回の設定では企業と大学の共同研究であり、壇地さん(企業の部長相当職という設定)、洞爺さんが(大学の教授という設定)の両方がこれにあたるという設定である。 コレスポンディングオーサー:その研究を発案した人。その研究の内容に責任を持つ人であり、論文に関する外部からの連絡のウインドウパーソンであり、論文の著者欄に連絡先のメールアドレスが書いてある人である。准教授クラスの若手教員が担当することが多いが、ファーストオーサーやラストオーサーがなる事もある。本例では、第三著者の「綾瀬 Herminium みさお」氏がコレスポンディングオーサーであり、本例では、“†”で識別されている。コレスポンディングオーサーは、本来的には論文に関する外部からの連絡のウインドウパーソンという意味だが、「この研究の頭脳として動いた人」(責任著者)というふうに受け取る向きもある。 その他の著者:瀬戸内さんと、竹達さんがこれにあたる。研究に相応の貢献をした人(学部、修士、博士学生、他)、研究に重要な知見を与えた人(ポスドク、他)等が著者資格を持つ。貢献度が低いとみなされた場合にはacknowledgementにお礼として描かれる。 表.書誌的情報の記載例(和文)及び英訳 #原文(Original text)英訳(English translation)備考(Notes)1 やはり血清タンパクと、グロスファクターの両方がX細胞の無血清培養には必要かもしれない Both serum proteins and growth factors may be essential for serum free X cell cultivation X細胞は架空の細胞。タイトルのつけ方にはいろいろな流儀がある。左記の和文タイトルはライトノベルのタイトルのようで恐縮だが、特に生物系の論文の英文タイトルとしてありがちなパタン(大雑把な結論を一文で書く)をそのまま和訳するとこんな感じになることが多い。 2 薮崎 まどか*1,*, 飛騨 延珠*2,*, 瀬戸内 政実*1, 竹達 直葉*1,綾瀬 Herminium みさお†*1,3, 壇地 美奈子*1,*2, 洞爺 満*1 Madoka Yabusaki*1, Enjyu Hidaka*2, Masayoshi Setouchi*1, Suguha Taketatsu*1,Misao Ayase Herminium†*1,3, Minako Danchi*1,*2,*, and Michiru Touya*1,* 左記は当然、全員架空の研究者である。著者の一覧。*1,*2のような所属を指示する記号(#3参照)や、コレスポンディングオーサーが誰であるかを指示する記号†(#4参照)のような上付きの記号に注意。詳細は、投稿予定の論文誌の投稿規定に従うこと。 3 *1東京西北大学 理学部,*2(株)星月技研工業,*3独立行政法人 科学技術振興機構 つばさ プロジェクト *1 Facility of Science, Tokyo Seihoku University.*2 Hozuki Giken Co.,Ltd.*3 WING, Japan Science and Technology Agency. 著者の所属機関を書く。併せて住所が書かれることも多い。当然、すべて架空の機関である。「さきがけ」等のグラント上の所属機関がさらに追加されることもある。(*3はそれを模した設定である。)尚、今回はあまり詳しいことを述べないが、特に企業の研究者が共著者に入っている場合には、利益相反に注意のこと。 4 連絡先† misao@xxx.com Contact† misao@xxx.com コレスポンディングオーサーの連絡先。当然だが左記は架空のメールアドレスである。 5 キーワード:X細胞、培地組成、無血清培地、血清成分 Keywords: X Cells, medium composition, serum-free medium, serum components. キーワードを数個書く。 6 *薮崎 まどかと飛騨 延珠は、同程度にこの研究に寄与した。壇地 美奈子と洞爺 満は、同程度にこの研究に寄与した。 *M.Y and E.H contributed equally to this work, M.D and M.T contributed equally to this work. 薮崎さんと飛騨さんはどちらも第一著者(co-first)であることを示している。いろいろな事情があったことが察される。但し最初に名前が来た方が重要視されがちである。 注:本記載は、飽く迄「学術論文における書誌的情報」を例示するために記載されたものである。原文英訳共、架空の設定に基づく架空の結果である。(Abovementioned are solely intended to a illustrate how to write the hedder part of academic paper. All descriptions of both Original text(column 1) and English translation (column 1) are based on hypothetical data.)
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