投票の方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 09:33 UTC 版)
電話投票開始時は利用者が電話投票窓口に直接電話をかけ、オペレータとの対話によって購入対象を伝える「CRT方式」と呼ばれる方式がとられていた。この方式では、投票窓口に多くのオペレータが必要となり、競走直前には電話回線が輻輳になり、つながりにくくなる、対話方式のため投票の確認に時間がかかる、通話を録音する必要があるなど、投票会員を多く集めるには制約が多かった。また人件費などのランニングコストが多額になるため、会員は入会の際に保証金(10万円程度)を預金口座に収める必要があった。 現在もCRT方式による投票は存在するが、他の方式への移行が順次進められており新規の会員募集は実施していない。後に、次に紹介する3種類の形態が提供されたが、2020年現在はARS/i-PATの2方式での対応となっている。 ARS方式 家庭や公衆電話などのプッシュホン(プッシュ回線、またはダイヤル回線でもトーンボタン信号が出せる電話機が必要)を使って音声ガイドの指示に従って投票する。中央競馬の場合は全国12箇所の電話投票所があり、利用者は任意(自分の住んでいる地域など)の投票所に電話をかけて投票できる。なお、中央競馬はIP電話回線への移行により各地の電話投票所を2007年12月末をもって廃止した。ARSは 英: Audio Response System(音声応答システム)の略である。 PAT方式 専用端末もしくは専用ソフトを購入して利用する。特に中央競馬で使用される場合が多いが、データ放送については競艇でも実施されている。また中央競馬では利用開始の際、スタッフの抽選で東京、大阪のいずれかの利用する投票所を決定する。PATは 英: Personal Access Terminal(個人用アクセス端末)の略である。対応機器・ソフトは全て発売を終了しているほか、2015年7月末をもってサービス自体も終了した。 I-PAT方式 「iPad」とは異なります。 近年開始されたシステムながら、利用者が急増して、現在では主流となりつつあるシステムで、旧来はパソコン通信で、今ではインターネット(パーソナルコンピュータ・スマートフォン・タブレット端末・携帯電話通信)を利用して、どこからでも投票することが可能なシステム(実施については、主催者によって異なるので、利用の際問い合わせること)。 PAT方式が本格的に導入された当初は、PAT会員とARS会員を別々で募集していた。一時はJRAの「即PAT」や「JRAダイレクト」を除き、I-PAT・ARSの両方が利用できるようになっている。 かつては、以下のPAT方式対応機器・ソフトが発売され投票可能であったが、現在は発売・サービス共に終了となっている。なお投票が可能な端末であっても、既に機器自体の保守・修理受付は全て終了していたため、故障した場合には他方式への乗り換えが必要になった。また投票可能な機種でも、ソフトのバージョンによっては、中央競馬において開催9日目以降の情報が取得できないなど利用制限があった。 ファミリーコンピュータ (JRA PAT) ・スーパーファミコン(JRA PAT、JRA PAT ワイド対応版)・ドリームキャスト (JRA PAT for Dreamcast) の専用ソフト - 2015年の廃止時まで対応した賭式の情報取得や投票が可能だった。 ホームマスター - 文字放送の端末でNHKのテレモ日本と専用ソフトを利用。廃止。 モバイルゲット - NTTドコモから発売されていた、電話投票機能付きの携帯電話・PHS端末。実はドコモ初のWireless Application Protocol (WAP) 対応機種でもある。廃止。 テレアシスト - NTTが発売していた液晶ディスプレイ付き多機能電話機。 モバイルメイト - NTTデータから発売されていた、液晶ディスプレイ付の端末。プッシュホン電話・ISDNに接続するか、外付けアダプタでムーバ網に接続して利用する。専用ソフトを装着することが必要。 パソコン - Windows対応のソフトと電話回線を使用。 CSデータ放送 - スカパー!の番組連動データ放送サービス(受信する場合はそれ専用の端末、またはそれ内蔵型のチューナーが必要)を受信して電話回線で投票する。 また競馬場やウインズの最寄の投票券発売所に遠い競馬ファンのためにコンビニエンスストアを利用したSAT方式というのも試験的に導入されたが、I-PAT方式で携帯電話からも投票できるようになったことからこれも廃止された。 希望者には端末(PAT方式)やインターネット(I-PAT方式)、ファクスなどを使って各種情報(競馬の場合は開催条件情報、オッズ、出馬情報=出走取り消しや騎手変更、馬体重情報、成績・払戻金情報など)を利用することも出来る。 購入金額は原則として全賭式100円単位。締切時間は基本的にARS方式・JRAダイレクトは当該レース発走5分前、I-PAT, PAT方式ではそれの1分前まで(2011年7月16日の開催から。それまでは2分前が締切だった)購入可能。ただし、JRAダイレクトの場合は最低購入金額が1000円以上100円単位となっている。 なお、中央競馬では重賞競走の前日発売の他に、I-PAT, PAT方式, JRAダイレクトでは、日曜日開催分の夜間発売(土曜日20時から)にも対応している。ただし、2009年までは1月から3月下旬頃までは、原則として積雪等による開催中止やコース変更を考慮して、前日・夜間発売は実施されなかったが、例外としてフェブラリーステークス (2月20日前後の日曜日に開催されるGI) とJRAが指定した日(2009年1月5日開催分など)のみ発売された。2010年以後は基本通年で前日・夜間発売を実施するようになったが、台風や積雪などが予想され、開催に支障をきたす場合には、前日・夜間発売をしない場合もある(詳しくはJRAの発表を参照)。 また2016年10月の凱旋門賞 (仏G1) を皮切りに、日本の各競馬団体に所属する競走馬が日本国外の重賞競走に出走する場合、及び日本馬の出走の有無に関係なく世界的に知られる主要重賞競走について「海外馬券」として発売する競走があり、これも基本的に即PAT(全開催日)、A-PAT(中央競馬開催日のみ) に会員登録・審査に合格することで購入することができるようになった。ただし、オッズ・払戻金(枠連複、WIN5は発売なし)については独自プールでの発売となるため、JRA独自の集計とする。即PAT・A-PATであっても、JRAダイレクト、及びフィーチャーフォン用アプリでは購入することができない。なお、出走頭数があまりに多すぎる競走(グランドナショナルなど)は発売対象とならない。 なお2018年9月22日の東京競馬場を皮切りとして、キャッシュレス投票カードの「JRA-UMACA」が順次導入されることになり、これまでネット投票に限定していたWIN5は同9月23日から、海外馬券も同10月7日の凱旋門賞から、中央競馬開催日に限り競馬場やWINSで購入できるようになった。JRA-UMACAは電話・ネット投票会員でなくても会員登録可能。
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