帝国憲法と教育勅語とは? わかりやすく解説

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帝国憲法と教育勅語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 14:34 UTC 版)

国体」の記事における「帝国憲法と教育勅語」の解説

国体論は帝国憲法と教育勅語により制度精神両面定式化される。帝国憲法立憲主義を採る一方で天皇の大権幅広く定め日本国民臣民位置付ける教育勅語臣民教化をはかり、国体論の経典となる。 1889年明治22年2月11日大日本帝国憲法発布される。その際憲法発布勅語日本国体についてその根本尽くしたといえる憲法発布勅語にいう。 朕、国家隆昌臣民慶福をもって中心の欣栄とし、朕が祖宗に承くるの大権により、現在および将来臣民対し、この不磨の大典宣布す。おもうに我が祖、我が宗は、我が臣民祖先協力輔翼により、我が帝国を肇造し、もって無窮に垂れたり。これ我が神聖な祖宗威徳と、ならびに臣民忠実勇武にして国を愛し公に殉(とな)い、もってその光輝ある国史の成跡を胎(のこ)したるなり。朕、我が臣民は、すなわち祖の忠良な臣民の子孫なるを回想し、その朕が意を奉体し、朕が事を奨順し、あいともに和衷協同し、ますます我が帝国光栄中外宣揚し、祖宗遺業永久に鞏固ならしむるの希望同じくし、この負担分つ堪うることを疑わざるなり。 帝国憲法条文では、大日本帝国万世一系天皇統治し第1条)、皇位は皇男子孫が継承し第2条)、天皇神聖にして侵すべからず第3条)、天皇は国の元首にして統治権総攬し憲法条規によりこれを行う(第4条)と定める。帝国憲法により天皇大権に関することが確定し、これ以後国体論じる者は誰でもこの憲法根拠とする。つまりこの憲法解釈託して国体論じる者が続々と出る。 伊藤博文の私著の形で刊行された半公式注釈書憲法義解』は次のように説く天皇宝祚皇位)は祖宗承け子孫伝える。国家統治権存ずる所である。そして、憲法に天皇大権掲げて条文明示するが、これは天皇大権憲法によって新設されることを意味するではなく我が固有の国体憲法によってますます鞏固なることを示すのである第1条 大日本帝国万世一系天皇統治する神祖神武天皇)が建国して以来時世盛衰治乱もあったが、皇統一系であり皇位天壌無窮である。本条立国大義掲げ日本帝国一系皇統とともに終始し古今永遠に唯一無二恒常不変であることを示し君民の関係を万世明らかにする統治皇位にある。大権統べ国土臣民治めのである古典いわゆるシラスとは、統治の意味にほかならず、おそらくは祖宗歴代天皇)が天職重んじ君主の徳は国土臣民統治することにあって一人一家享受する私事でないことを示したのである。これが憲法の根拠であり基礎である。 国土人民とは国が成立する所の元質であり、一定の領土一定の邦国為し一定の憲法その間行われる一国一個人のようなものであり、一国領土個人体躯のようなのである。これによって統一完全の版図を成す。以上。 第2条 皇位皇室典範定めにより皇男子孫が継承する皇位継承順序については新たに勅定する皇室典範において詳しく定める。これを憲法条文掲げずに皇室家法とするのは、将来臣民干渉させないことを示す。 第3条 天皇神聖にして侵すべからず天皇は、その天性として神聖であって臣民どもの上にあり、つつしんで仰ぐべきであって干犯すべきでない。ゆえに君主法律尊重しなければならず、法律君主問責する力をもたない天皇は、単に不敬をもってその身体侵害してならないだけでなく、さらに批判評論対象外とする。以上。 第4条 天皇は、国の元首にして、統治権総攬し、この憲法条規によりこれを行う。統治大権天皇祖宗承け子孫伝える。立法行政何事も天皇がその綱領総て握る。これは例え人身手足や骨々があって神経回路本源頭脳あるようなものである。よって大政統一は、個人の心が一つであるのと同じである。 統治権総攬するというのは主権の体であり、憲法条規によりこれを行うというのは主権の用である。体があって用がなければ専制失い、用があって体がなければ散漫に失う。以上。 穂積八束留学から帰国して早々に帝国大学総長から委嘱をうけ帝国憲法発布翌々日から帝国大学法科大学にて「帝国憲法法理」を講演する帝国憲法第1条大日本帝国万世一系天皇これを統治す」について「本条主意国体定むるにあり。国体定むるとは統治権主体と客体定むということなり。本条明文によれば統御主体万世一系天皇にあり、しかして統御客体大日本帝国にあり」、「万世一系とは公法いわゆる正統(レヂチメート)たることを決したるなり。我が国体にては初代天皇からの皇統万世一系正統君主であるという意なり。他国憲法においては王朝(ダイナスチノー)すなわち国王血統掲ぐるを通例とすれども、我が邦の憲法に別に朝系を掲ぐるの必要なし。すわなち我が国体の正統万世一系天皇であるという主義表出したまでである」と説く帝国憲法第3条天皇神聖にして侵すべからず」については「君主は即ち国家なり。国家統御主体なり。もしこれに向かって権力適用する者あらば、国家則ち国家ならず。権力をもって侵すべからずとは国家固有の性質なり。神聖にして侵すべからずとは、天皇すなわち国家本体をなす所の国体なるがゆえなり」と説く有賀長雄帝国憲法講義において、万世一系という語はおそらく大日本帝国憲法のみであって他国憲法に存在できないものであり、これこそ日本国体シナ西洋国体異なることろである、と説く憲法発布ころから国粋主義勢いを増す。明治水戸学内藤耻叟1889年明治22年10月に『国体発揮』を著し我が国体面他国真似できないところは、皇室土地所有主・人民の祖先教化の本・衣食の原であることによると述べる。穂積八束1890年明治23年5月国家学会雑誌国家(即天皇全能主義主張する。また同月皇学称する一派惟神学会組織し機関誌『随有天神かむながら)』を発行するこうした動きと時を同じくして教育勅語渙発される。 1890年明治23年10月明治天皇教育勅語下す先に帝国憲法により法理上から国体根本示したのにくわえ、さらに教育上から諭すものであり、ここに道徳的な国是定め国体に関して不動解釈与えた教育勅語明治天皇意思より出たといっても、その一方で国粋主義流行結果でもある。またその後国粋主義涵養する原動力ともなる。勅語宣わく「朕おもうに、わが皇祖皇宗、国をはじむること宏遠󠄁に、徳をたつること深厚なり。わが臣民、よく忠に、よく孝に、億兆こころを一にして、世世その美をなせるは、これ我が国体の精華にして、教育淵源また実にここに存す」という。ここにおいて教育勅語基礎として国体論ずることが盛んになり、勅語衍義などの解説書続々発表される

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「帝国憲法と教育勅語」を含む「国体」の記事については、「国体」の概要を参照ください。

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