子実体の成分とは? わかりやすく解説

子実体の成分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 15:06 UTC 版)

ハナビラタケ」の記事における「子実体の成分」の解説

水分含量は86.1-87.8パーセントで、子実体発育段階による含量変動小さい。乾燥重量当たりの粗タンパク質は13.4-33.2パーセント、粗脂肪は1.4-1.7パーセント、粗灰分は2.8-3.2パーセント炭水化物は61.9-82.4パーセントであり、子実体発育に伴い炭水化物増加する一方、粗タンパク質・粗脂肪および粗灰分減少する無機成分含量は1.45-1.69%であり、子実体原基あるいは幼い子実体では比較少なく成熟した子実体増加する主成分カリウムで、ついでリンマグネシウムカルシウムナトリウムなどが含まれている。低分子炭水化物含量は6.2-15.4パーセントで、トレハロースマンニトールグルコースフルクトースおよびアラビトール同定されたが、主なものトレハロースマンニトールであり、子実体発育に伴い、これら二種類の糖の含量増加するという。有機酸含量は2.6-3.7パーセントで、子実体発育に伴い減少する傾向があり、リンゴ酸クエン酸フマル酸、ピログルタミン酸、コハク酸シュウ酸、乳酸、α-ケトグルタル酸酢酸およびギ酸検出されリンゴ酸クエン酸フマル酸、ピログルタミン酸およびコハク酸などが主要な成分である。遊離アミノ酸含量は0.49-1.07%パーセントで、子実体発育に伴い減少する傾向があり、主成分はグルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸、チロシン、アルギニン、アラニンおよびセリンである。 脂質成分としては中性脂質(50.8-54.7パーセント)とリン脂質(37.7-41.0パーセント)が多く糖脂質比較少ない(7.6-11.2パーセント)。中性脂質主成分はトリアシルグリセリド(63.3-67.5パーセント)であり、それに次いでステロールエステル(英: Sterol ester)(12.9-15.1パーセント)が多くその他にステロール(8.6-11.6パーセント)、ジアシルグリセリド(4.0-4.8パーセント)、モノアシルグリセリド(1.0-1.5パーセント)などが含まれている。リン脂質主成分ホスファチジルエタノールアミン(60.4-68.9パーセント)であり、次いでホスファチジルコリン(18.3-20.4パーセント)、カルジオリピン(8.0-10.6パーセント)・リゾホスファチジルコリン(4.8-6.0パーセント)である。子実体原基と幼い子実体および成熟子実体比較すると、脂肪酸組成は総脂質中性脂質糖脂質およびリン脂質いずれの間でも顕著な差はないという。なお、主要脂肪酸リノール酸オレイン酸、およびパルミチン酸である。 日本産栽培品は β-(1-6)分岐(1-3)-D-グルカン構造を持つ多糖類含有している。この化合物は抗がん活性免疫増強活性有するとされており、ヒトの健康対すハナビラタケ機能性注目されている。抗がん活性の面からは、マウスのザルコーマ180に対す経口投与によって腫瘍抑制効果延命効果認められており、抗転移作用血管新生の抑制作用 もある。免疫活性の面では、血液中の免疫グロブリンEIgE)の顕著な減少や、ナチュラルキラー細胞機能増大などの効果があったという。また、生体内確認されたものではないが、II型インターフェロンインターフェロンγ産生促す作用もある。 子実体抽出物から多糖類除去した分子画分も、マウス胆嚢がん細胞に対して抗腫瘍活性を示すと報告されている。 凍結乾燥したハナビラタケ子実体超微粉末(平均粒径 4μm)をマウス(KK-Ay 系)に投与したところ、血糖降下作用インスリン分泌促進およびダイエット効果認められたとの知見もある。ただし、これらの効果が、ハナビラタケ含有するβ-グルカン起因するのか他の成分起因するのかは、現段階では不明であるという。 ハナビラタケの子実体にまた、ハナビラタケリド(Hanabiratakelide)と呼ばれるフタリド化合物含有されている。ハナビラタケリドには、水酸基位置異にする三種異性体ハナビラタケリドA、B、およびC)が知られるが、これらはいずれも、生体内において、ビタミンCよりも強力な活性酸素阻害活性発揮するまた、マウスマクロファージ細胞系RAW264によるリポ多糖類刺激一酸化窒素プロスタグランジンE2産生に対して阻害活性示し消炎効果がある。さらに結腸がん細胞系Caco-2およびColon26細胞増殖は、ハナビラタケリド処理により著しく抑制される。 このほか、2000年8月栃木県下で採集され子実体由来栽培品を材料として、セスキテルペノイドの一種である(3R*, 3aS*, 4S*, 8aR*)-3-(1′-ヒドロキシ-1′-メチルエチル)-5,8a-ジメチルデカヒドロアズレン-4-オール見出されている が、生体対するその活性などについてはまだ検討進んでいない。また、同時に(5β, 6α)-6,11-ジヒドロキシユーデスマンが単離されたが、これは放線菌一種Streptomyces sp.)と共通する化合物である。 ハナビラタケ属の一種培養菌株が、混入した雑菌生育抑制することをきっかけにして見出されたスパラッソール(Sparassol):メチル-2-メトキシ-6-メチル安息香酸)は、枯草菌トドマツ枯れ病菌対す抗菌活性有するまた、ハナビラタケ属によって腐朽された木材からは、スパラッソール誘導体であるオルセリン酸メチルおよびメチルジヒロドキシメトキシメチル安息香酸塩(修飾基の位置などの詳細な構造解析はまだ完了されていない)が見出されており、ともに、キュウリ黒星病(Cladosporiurn cucurnerinurn)に対してスパラッソールよりも高い抗菌活性有するほか、灰色かび病菌Botrytis cinerea)の分生子からの発芽伸長著しく抑制するという。これらの抗菌性物質は、野外におけるハナビラタケ生存戦略一環として、他の木材腐朽菌類との競合有利にするために役立っていると推定されている。

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