史上初の爆撃機1,000機による空襲とは? わかりやすく解説

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史上初の爆撃機1,000機による空襲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/09 04:18 UTC 版)

ケルン爆撃」の記事における「史上初の爆撃機1,000機による空襲」の解説

史上初の爆撃機1,000機による空襲は1942年5月30日から31日にかけての夜に行われたイギリス空軍ミレニアム作戦 (Operation Millennium) と呼んだこの大空襲主目的は、以下の2つであった大空襲による破壊によりドイツ継戦諦めさせるか、少なくともドイツ士気大い損なうこと。 空軍爆撃機軍団戦争へ勝利重要な貢献できることを示すこと。これは特に空軍爆撃機軍団司令官であったアーサー・ハリスにとって、戦略爆撃概念戦時内閣認めさせるために有用なプロパガンダであった実際1941年には爆撃精度のあまりの低さから、爆撃機軍団部隊分割し、たとえば大西洋の戦いなど緊急性の高い戦域回される有様であった。 この時点空軍爆撃機軍団には約400機しか配備されておらず、戦前双発爆撃機からハンドレページ ハリファックスアブロ ランカスターといったより効率的な4発重爆撃機への機種転換途上であったハリス作戦訓練部隊 (Operational Training Unit; OTU) の爆撃機兵員動員し空軍沿岸コマンド空軍訓練コマンドから250機をかき集めることで1,000機の爆撃機隊を編成することができた。しかし、イギリス海軍空襲直前になって沿岸コマンド所属機参加許可しなかった。海軍本部は、大西洋の戦いにおいてUボートの危険は差し迫っており、プロパガンダという理由部隊引き抜くには弱すぎると判断したのであるハリス方々駆け回り飛行訓練生を教官一緒に搭乗させることで49機以上の爆撃機確保し最終的に1,047機を空襲参加させた。これはそれまで空襲2.5倍の参加機数である。うち58機はポーランド人部隊から参加した爆撃機加えて地上攻撃のために113機の戦闘機随伴しドイツ夜間戦闘機飛行場攻撃した。 もともとハリスケルンではなくハンブルク第一目標としていたが、ハンブルク天候悪く選択肢とならなかった。イギリス空軍爆撃機軍団オペレーションズ・リサーチ部門長であったバジル・ディキンズ博士は、ジーによる航法支援圏内にあるケルンを選ぶよう勧めハリスはこれを受け入れた。 ボマー・ストリーム戦術使用されたのもこのときが初めてで、この空襲採用され戦術のほとんどはその後2年間に渡って空襲作戦基礎戦術であり続けたまた、一部戦術終戦まで使用され続けた。ボマー・ストリーム戦術いわゆる飽和攻撃であり、カムフーバー・ライン同時に多数爆撃機通過することによってドイツ地上要撃管制圧倒しドイツ夜間戦闘機撃墜され爆撃機の数を許容できる程度抑えることを期待するものであった当時最先端技術一つであった電波航法支援システム ジーにより、爆撃機決められ経路決められ時間と高度で飛行することができた。イギリス空軍の夜間爆撃作戦過去か月渡って実施されていたが、その経験から敵の夜間戦闘機高射砲による損失機数、空中衝突による損失機数を統計的に推定することができた。前者最小化するには、密集陣形が有効であった防空にあたるドイツ夜間戦闘機管制員が迎撃指示出せるのは1時間あたり最大6目標程度であり、高射砲手も同時に多数標的集中砲火浴びせることはできなかったからである。戦争初期において、許容可能な作戦時間4時程度考えられており、この空襲では90分間すべての爆撃機ケルン上空を航過して爆撃行った最初爆撃機5月31日0時47分にケルン上空到着した。ごく短時間濃密な爆撃を行うことにより、ドイツ空軍ロンドン大空襲行ったようにケルン消防隊圧倒して被害拡大させる効果があると考えられた。 空襲では、主目標868機、その他の目標15機が投入された。投下され爆弾総重量は1,455トン上りその3分の2が焼夷弾であった。これにより2,500件の火災発生、うちドイツ消防隊が「大火災」と分類したものが1,700であった消防士消火活動通りの幅のおかげもあって火災旋風発生こそ防がれたが、それでもなお被害大半爆風ではなく火災よるものであった。非居住建物合計12,840棟が被害を受け、そのうち3,330棟が全焼、2,090棟が深刻な被害を受け、被害が軽いものは7,420棟に及んだそのうち商工業施設2,560であった全焼した建物には、行政官庁7棟、公共施設14棟、銀行7棟、病院9棟、教会17棟、学校16棟、大学施設4棟郵便および鉄道施設10棟、歴史的建造物10棟、新聞社2棟ホテル4棟映画館2棟デパート6棟が含まれていた。軍事施設のうち損害受けたのは高射兵舎1つだけであった民家中心とした居住建物への被害はさらに大きく全焼13,010棟、深刻な被害受けたものが6,360棟、被害が軽いものに至って22,270棟に上った。ヘルマン・クラーセンは空襲によりケルン荒廃する様子1942年から終戦に至るまで記録し1947年に「劫火中に歌う ケルン - 古都廃墟Singing in the furnace. CologneRemains of an old city.)」と題する展覧会と書籍で発表した。 この空襲におけるイギリス空軍損失機数は43であった一方ドイツプロパガンダ放送では44撃墜主張していた)。これは空襲参加した1,103機の爆撃機のうち3.9%にあたる。ケルンまたはその近郊22機が撃墜され、うち16機は高射砲、4機は夜間戦闘機、2機は衝突墜落した。このほか2機のブリストル ブレニム軽爆撃機夜間戦闘機飛行場攻撃の際に撃墜された。他の乗員爆撃機から脱出させるため犠牲になった飛行士官レスリー・トーマス・マンサーにヴィクトリア十字章追贈された。 投入兵力機種および機数合計機数第1航空団 ウェリントン爆撃機156156第3航空団 ウェリントン爆撃機134スターリング重爆撃機88222第4航空団 ハリファックス重爆撃機131ウェリントン爆撃機9機ホイットレイ爆撃機7機 147第5航空団 ランカスター重爆撃機73マンチェスター爆撃機46ハンプデン爆撃機34153機 第91作戦訓練部隊 ウェリントン爆撃機236ホイットレイ爆撃機21257機 第92作戦訓練部隊 ウェリントン爆撃機63ハンプデン爆撃機45108飛行訓練コマンド ウェリントン爆撃機4機 4機

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