主目標
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 15:02 UTC 版)
ニュートリノ振動は PMNS 行列およびニュートリノの質量固有状態間の質量2乗差によりパラメータ化される。ニュートリノの3つのフレーバーがニュートリノ混合に関わるものと想定すると、ニュートリノ振動に影響を与える6つの変数が導かれる。3つの角度 θ12, θ23, θ13 と CP 非保存位相 δ、そして3つの質量2乗差のうちの2つである。現在、これらのパラメータの値や相互の関係性を示唆するような強い理論的根拠は知られていない。 θ23 および θ12 はいくつかの実験により非零であることが観測されているが、θ13 については CHOOZ(英語版) 実験の感度限界内では、その上限が得られたに留まっている。より近年では、2012年に大亜湾原子炉ニュートリノ実験において θ13 が非零であることが 5.2σ の有意水準で観測された。その次の年には、T2K 実験により νμ → νe 遷移が観測され、7.3σ の有意水準で非検出仮説を棄却した。δ の測定はなされていない。二つの質量2乗差の絶対値は知られているが、片方がもう片方に比べて非常に小さいため、質量の順序は決定できていない。 NOνA は既存の検出器に比べて θ13 についての感度がオーダー1つ高くなる予定である。NOνA はフェルミラボの NuMI ビームに起きる νμ → νe 遷移を探索することにより θ13 を測定する。これが非零であることが NOνA により検出できたならば、δ と質量の順序を νμ → νe を観測することにより測定することができることになる。この遷移は、ニュートリノと反ニュートリノにおける振動を逆方向にしたものにあたるため、これを観測すれば δ を測定することができる。質量階層も、ニュートリノが地中を通過する際に振動する確率が MSW効果(英語版)によりニュートリノと反ニュートリノで異なるため決定できる。
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