有意水準とは? わかりやすく解説

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ゆうい‐すいじゅん〔イウイ‐〕【有意水準】

読み方:ゆういすいじゅん

統計上、ある事象が起こる確率が偶然とは考えにくい(有意である)と判断する基準となる確率。普通は5パーセント(0.05)、厳密を要する場合1パーセント(0.01)を使う。危険率


有意水準 level of significance; significance level

 統計的仮説検定を行う場合に,帰無仮説棄却するかどうか判定する基準。5% あるいは 1% がよく使用される。有意水準5% で検定を行うということは第 1 種の過誤をおかす危険率が 5% であることを意味する。すなわち,同様の調査検定を行うと,20 回に 1 回得られ結論誤っていることを表す。「有意水準 α で検定する有意な差が認められた」ということと,「危険率 α のもとで有意な差があるといえる」は同じような意味で使用される
詳しくは,検定概念参照のこと。

有意水準


 作業仮説から帰無仮説と対立仮説決められ調査デザイン合った検定法選択されると,次に決定すべきものは,有意水準である。
 調査データ基づいて帰無仮説正しいという条件のもとで,ある検定統計量計算されると,その統計量分布理論的に求められる
 パラメトリック手法においては例えt 分布,χ2 分布F 分布正規分布がその代表的なものである。
 ノンパラメトリックな手法においては帰無仮説の下で生ず全ての場合数え上げることによりその分布が定められることが多い。
 いずれの場合でも,ある 1 回調査により得られデータから統計量計算し, その値以上の統計量得られる確率(これを 有意確率 または P 値 という)を求めることがその本質である。
 もし,有意確率がある値より小さければ,“H0正しい”ということ疑わしくなる。 ひいては H1 の正当性支持されることになる。
 では,どの程度小さけれH0棄却(H1 を採択)したらよいかという基準が 有意水準 と呼ばれるのである。これを α で表す。
 通常 α としては 0.05,0.01,0.001 のいずれか用いられる。 α = 0.05 というのは,同じよう状況下で検定を行うと 20 回に 1 回決定を誤る危険性があることを意味する。 あるいは,1 回決定H0正しいにもかかわらず誤って H0棄却する確率が 0.05 であるということである。
 この誤り第 1 種の過誤呼び,この誤り犯す 危険率 と呼ぶこともある。

有意水準

母集団母数パラメーター) 1母集団特徴づける数値である。統計的推定 2とはそのような母数標本から推定する手続をいう。このような推定値標本誤差 3影響を受け、標本誤差大きさ程度一般的に標準誤差 4によって与えられる時に信頼区間 5という用語が用いられ、あらかじめ定められ確率の下で推定値がその中に落ちると期待される範囲を示す。二つ数値の差が偶然によって生ず確率が、有意水準 7呼ばれる所与数値より小さ場合、その差は有意差 6呼ばれる。たとえば、偶然によって生じ確率が0.05未満場合、その差は5%水準有意であるという。標本誤差加えて観測誤差 8あるいは回答誤差 8推定値影響与える。これらの誤差には通常面接誤差 9含まれるが、それは基礎データ収集される際に面接調査員によってもたらされる系統的誤差である。


有意

(有意水準 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/15 06:09 UTC 版)

統計学的有意(とうけいがくてきゆうい、: statistical significance)は、確率論統計学の用語で、「確率的に偶然とは考えにくく、意味があると考えられる」[1]ことを指す。科学分野での用語として、有意である(significant)とは「注目に値するほど大きい、ないしは重要である」という意味も持つ[2]


  1. ^ "有意". デジタル大辞泉. コトバンクより2022年2月10日閲覧
  2. ^ significant - Quick search results | Oxford English Dictionary”. www.oed.com. 2023年9月4日閲覧。
  3. ^ 2015 T&F社のBASP誌がP値の使用禁止を発表 https://www.editage.jp/insights/a-taylor-francis-journal-announces-ban-on-p-values
  4. ^ JIS Z 8101-1 : 1999 統計用語記号 − 第1部:確率及び一般統計用語 2.53 有意水準, 日本規格協会, http://kikakurui.com/z8/Z8101-1-1999-01.html
  5. ^ a b 井上輝一 (2019年3月26日). “「“統計的に有意差なし”もうやめませんか」 Natureに科学者800人超が署名して投稿”. ITmedia. 2019年5月21日閲覧。
  6. ^ 2017 統計学の大物学者がP値の刷新を提案, Nature ダイジェスト
  7. ^ Wasserstein RL, Lazar NA著、佐藤俊哉訳 (2017年4月23日). “「統計的有意性とP値に関するASA声明(原題:The ASA’s statement on p-values: Context, process, and purpose. 2016; 70: 129-133. )”. The American Statistician. 2021年4月16日閲覧。


「有意」の続きの解説一覧

有意水準

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 20:00 UTC 版)

有意」の記事における「有意水準」の解説

有意水準α (0<α<1) は、どの程度正確さをもって帰無仮説 H 0 {\displaystyle H_{0}} を棄却するかを表す定数である。有意水準αの仮説検定は、 p < α {\displaystyle p<\alpha } の時に H 0 {\displaystyle H_{0}} を棄却する。このとき、「統計量はα水準で有意である」という。有意水準αは仮説 H 0 {\displaystyle H_{0}} が正しいにも関わらず仮説検定で棄却してしまう確率(第一種の誤りを犯す確率)に等しい。日本工業規格では、「第一種の誤りの確率の上限値」と定義している。 有意水準 α {\displaystyle \alpha } の値としては、0.05 (5%) を用いるのが一般的であるが、そのとり方は学問・調査・研究対象によっても違いがあり、社会科学などでは0.1(10%)を用いる場合もあり、厳密さが求められる自然科学では0.01(1%)などを用いる場合もある。また、データ表示に当たっては有意性に段階をつけて複数の有意水準を同時に用いることもあり、たとえば0.05水準で有意ならば * 、0.01水準と0.001水準に対してはそれぞれ ** 、 *** と表示する。 有意であるからといって「偶然ではない」と断定できるわけではなく、「偶然とは考えにくい」という意味に過ぎない。したがって、たとえば有意水準5%で有意という場合には、「実際には偶然に過ぎないのに、誤って『意味がある』と判断している」可能性が多くて5%ある。 逆に、 p> α {\displaystyle p>\alpha } の場合は、「有意差があるとはいえない」とまでしかならない

※この「有意水準」の解説は、「有意」の解説の一部です。
「有意水準」を含む「有意」の記事については、「有意」の概要を参照ください。

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