ゆうい‐すいじゅん〔イウイ‐〕【有意水準】
有意水準 level of significance; significance level
詳しくは,検定の概念を参照のこと。
有意水準
作業仮説から帰無仮説と対立仮説が決められ,調査デザインに合った検定法が選択されると,次に決定すべきものは,有意水準である。
調査データに基づいて,帰無仮説が正しいという条件のもとで,ある検定統計量が計算されると,その統計量の分布は理論的に求められる。
パラメトリックな手法においては,例えば t 分布,χ2 分布,F 分布,正規分布がその代表的なものである。
ノンパラメトリックな手法においては,帰無仮説の下で生ずる全ての場合を数え上げることによりその分布が定められることが多い。
いずれの場合でも,ある 1 回の調査により得られたデータから統計量を計算し, その値以上の統計量が得られる確率(これを 有意確率 または P 値 という)を求めることがその本質である。
もし,有意確率がある値より小さければ,“H0 が正しい”ということが疑わしくなる。 ひいては H1 の正当性が支持されることになる。
では,どの程度に小さければ H0 を棄却(H1 を採択)したらよいかという基準が 有意水準 と呼ばれるものである。これを α で表す。
通常 α としては 0.05,0.01,0.001 のいずれかが用いられる。 α = 0.05 というのは,同じような状況下で検定を行うと 20 回に 1 回は決定を誤る危険性があることを意味する。 あるいは,1 回の決定で H0 が正しいにもかかわらず誤って H0 を棄却する確率が 0.05 であるということである。
この誤りを 第 1 種の過誤 と呼び,この誤りを犯す 危険率 と呼ぶこともある。
有意水準
母集団母数(パラメーター) 1は母集団を特徴づける数値である。統計的推定 2とはそのような母数を標本から推定する手続をいう。このような推定値は標本誤差 3の影響を受け、標本誤差の大きさの程度は一般的に標準誤差 4によって与えられる。時に信頼区間 5という用語が用いられ、あらかじめ定められた確率の下で推定値がその中に落ちると期待される範囲を示す。二つの数値の差が偶然によって生ずる確率が、有意水準 7と呼ばれる所与の数値より小さい場合、その差は有意差 6と呼ばれる。たとえば、偶然によって生じる確率が0.05未満の場合、その差は5%水準で有意であるという。標本誤差に加えて、観測誤差 8あるいは回答誤差 8も推定値に影響を与える。これらの誤差には通常、面接誤差 9が含まれるが、それは基礎データが収集される際に面接調査員によってもたらされる系統的誤差である。
有意
(有意水準 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/15 02:49 UTC 版)
有意(ゆうい、独: Signifikanz、英: significance)は、確率論・統計学の用語で、「確率的に偶然とは考えにくく、意味があると考えられる」[1]ことを指す。
- ^ デジタル大辞泉. “有意” (日本語). コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年2月10日閲覧。
- ^ 2015 T&F社のBASP誌がP値の使用禁止を発表 https://www.editage.jp/insights/a-taylor-francis-journal-announces-ban-on-p-values
- ^ JIS Z 8101-1 : 1999 統計 − 用語と記号 − 第1部:確率及び一般統計用語 2.53 有意水準, 日本規格協会, http://kikakurui.com/z8/Z8101-1-1999-01.html
- ^ a b 井上輝一 (2019年3月26日). “「“統計的に有意差なし”もうやめませんか」 Natureに科学者800人超が署名して投稿”. ITmedia. 2019年5月21日閲覧。
- ^ 2017 統計学の大物学者がP値の刷新を提案, Nature ダイジェスト
- ^ Wasserstein RL, Lazar NA著、佐藤俊哉訳 (2017年4月23日). “「統計的有意性とP値に関するASA声明(原題:The ASA’s statement on p-values: Context, process, and purpose. 2016; 70: 129-133. )”. The American Statistician. 2021年4月16日閲覧。
有意水準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 20:00 UTC 版)
有意水準α (0<α<1) は、どの程度の正確さをもって帰無仮説 H 0 {\displaystyle H_{0}} を棄却するかを表す定数である。有意水準αの仮説検定は、 p < α {\displaystyle p<\alpha } の時に H 0 {\displaystyle H_{0}} を棄却する。このとき、「統計量はα水準で有意である」という。有意水準αは仮説 H 0 {\displaystyle H_{0}} が正しいにも関わらず仮説検定で棄却してしまう確率(第一種の誤りを犯す確率)に等しい。日本工業規格では、「第一種の誤りの確率の上限値」と定義している。 有意水準 α {\displaystyle \alpha } の値としては、0.05 (5%) を用いるのが一般的であるが、そのとり方は学問・調査・研究対象によっても違いがあり、社会科学などでは0.1(10%)を用いる場合もあり、厳密さが求められる自然科学では0.01(1%)などを用いる場合もある。また、データ表示に当たっては有意性に段階をつけて複数の有意水準を同時に用いることもあり、たとえば0.05水準で有意ならば * 、0.01水準と0.001水準に対してはそれぞれ ** 、 *** と表示する。 有意であるからといって「偶然ではない」と断定できるわけではなく、「偶然とは考えにくい」という意味に過ぎない。したがって、たとえば有意水準5%で有意という場合には、「実際には偶然に過ぎないのに、誤って『意味がある』と判断している」可能性が多くて5%ある。 逆に、 p> α {\displaystyle p>\alpha } の場合は、「有意差があるとはいえない」とまでしかならない。
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