北京時代とは? わかりやすく解説

北京時代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 10:15 UTC 版)

魯迅」の記事における「北京時代」の解説

帰国後は、杭州紹興中学校教師として生物学教師として過ごし1912年中華民国政府成立すると、教育部事務官職位に就き北京移り住んだ北京での最初数年間は、依然として隠遁者演じており、もっぱら中国文学典籍研究没頭することで忙し日々送っていた。袁世凱軍閥主導権を争う混乱した政治状況失望したからといわれる。しかし、彼の文学への野望は、文学革命によって再び蘇った日本留学時代友人であった銭玄同から要望され雑誌新青年』の1918年5月号に、小説狂人日記』を発表した。『新青年』は、「民主科学」をスローガンとして1915年創刊され文学革命中核となった魯迅は、この小説の中で、表では礼節説く儒教」が裏では生命抑圧者として「人を食」ってきたことを指摘し、「真の人間」となることを説いた井ノ口後掲書は指摘する同書続けて、「儒教」という暗黒伝統社会とその一員である自己否定することで、未来の子供たちには自分たちがこれまで経験したことのない人間らしい生活を準備しようとする魯迅精神彼の進化論横たわっているとする。 翌1919年には、『孔乙己』と『』の2つ小説寄稿した。『狂人日記』がその一人称用いた文体食人批判という内容社会衝撃与えたが、口語文としての技法物語構成において未熟だったに対して、『孔乙己』と『』は、文体構成とも優れており、魯迅作家として実質的なデビューは『孔乙己』と『』であると後掲藤井書は指摘する作家魯迅の最も優れた小説は、第1集の『吶喊』と第2集の『彷徨』に含まれている。散文詩集『野草』とあわせて、これらの作品は、彼の創作力が最も充実していた北京在住時代書かれている。また彼は、中国語小説では一般的でなかった語りモデルを、自作において様々に試みている。代表作阿Q正伝』(1921年)では章回小説スタイル一見踏襲しながら、国民性中に潜む卑怯や惰弱軽率阿Qという形象結晶させ、また、孔乙己』(1919年)、『傷逝』(1925年)では物語主体である「私」物語内容対す認識責任あり方問い物語聞く読者知識人層)にも同じ問い突き付けた1920年秋から1926年夏まで、北京大学ついで北京女子師範学校講師をつとめ、中国小説史を講じる一方、『祝福』をはじめとする短編小説散文詩執筆発表した。しかし、1925年には北京女子師範大学学園紛争起こり学生処分反対する魯迅処分派の論者大論争を展開、これを機に彼は雑文論争文)に力を注ぐうになる1926年3月日本内政干渉強硬な態度を採るよう政府求めよ抗議する学生市民対し軍隊発砲して47名が死亡する3.18事件」が起きると、魯迅政府激しく批判した。これに対し軍閥政府魯迅含め50数名指名手配者としてリストアップした。彼は、日本人ドイツ人経営する病院潜伏余儀なくされた。 避難生活5月には終わるが、その年8月北京離れ福建省にある厦門大学中国文学教授として迎えられた。しかし、当時人口117000人足らずの厦門は、魯迅にとって居心地良いものでなく、翌1927年1月には、北京女子師範大学教え子であった許広平のいる広州移り中山大学文学系の主任教務主任の職に就いた広東省省都である広州当時人口81万人中国5番目の大きさ都市であった中山大学助手となった許と、郊外新築マンション別室ながらも同じユニット住み始めた。ただし、この町でも反共クーデター起こり多く学生達が逮捕され虐殺されてゆく中、精一杯抗議として、中山大学の職を辞した

※この「北京時代」の解説は、「魯迅」の解説の一部です。
「北京時代」を含む「魯迅」の記事については、「魯迅」の概要を参照ください。

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