孔乙己(コンイーチー)
作者魯迅
収載図書ちくま文学の森 9 怠けものの話
出版社筑摩書房
刊行年月1989.3
収載図書魯迅文集 1
出版社筑摩書房
刊行年月1991.3
シリーズ名ちくま文庫
収載図書集英社ギャラリー「世界の文学」 20 中国・アジア・アフリカ
出版社集英社
刊行年月1991.6
孔乙己
孔乙己
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/18 02:45 UTC 版)
『孔乙己』(こういっき、コンイーチー)は、中国の作家、魯迅によって1919年に雑誌『新青年』に発表された短編小説。のちに魯迅の最初の作品集である『吶喊』(1923年)に収録された。
日本におけるタイトル及び主人公の呼び名は、古い時代の翻訳では日本音の「こういっき」が用いられたが[1]、21世紀には中国語読みに近い「コンイーチー」が用いられるケースが出ている[2][3]。
概要
『孔乙己』は五四運動前、『狂人日記』についで書かれた魯迅二篇目の白話小説である。 主人公の孔乙己は秀才に受からなかった文人として描かれている。貧しい庶民ばかりが来る酒屋で、知識人の身なりで唯一現れる「孔乙己」だが、その知識は「茴香豆の『回』という字の何種類かある書き方」のような時代遅れな知識で、尊厳はなく酒屋の人々に嘲笑されている。ただ孔乙己は酒好きで筆耕の料金が入るとすぐに来るが、最終的には窃盗を働いて見つかり、半殺しにされて障害者になり、掛け売りの代金を残したまま姿を消してしまう。歴史学者の宮崎市定は、孔乙己は野垂れ死にしたのであろうと推定している。[4]
発表当時、中国では科挙制度の影響で古典だけは読めるが実際の生活上の技術を持たない読書人が社会問題になっていた。当作は、孔乙己をこのような笑い草にされながらも哀れな下層の人間像として描き、人と人の間の無関心を暴き出している。
舞台となった店
木口堅太郎によれば、舞台となった酒屋は紹興の魯迅の実家の前にある店で、酒屋が客にも飲ませるいわゆる角打ちの店であるという。つまみが茴香豆や竹の子の煮付けなど簡素なものばかりなのはそのせいで、紹興酒の老酒を飲ませていたようである。[5]
社会的影響
当作は長らく中国本土の高級中学(日本の高等学校普通科に相当)と初級中学(日本の中学校に相当)の「語文」(国語)の教科書に採用されている。1993年度から2003年度には、香港中学会考の中国語の教材にも収録されていた。
小説の中で孔乙己は書物を窃盗する人物として描かれていることから、現在でも中国では「孔乙己」は書店や図書館で本を窃盗する人物の代名詞として用いられる[6]。
2023年には中国での就職難に伴い再評価されている[3]。大学を卒業してもホワイトカラーには就職できないが肉体労働はつきたくないという主人公に共感を覚えた若者により「孔乙己文学」と呼ばれるインターネットミームも登場した[3]。
脚注
- ^ 魯迅 孔乙己 井上紅梅訳 - 青空文庫(1932年の改造社『魯迅全集』が底本)
- ^ 「新・古典座」通い — vol.19 2013年3月〈後編〉 - 光文社古典新訳文庫ウェブサイト
- ^ a b c INC, SANKEI DIGITAL (2023年6月5日). “【中華考現学】百年後によみがえった魯迅作品 天沼 康 - 月刊正論オンライン”. 産経ニュース. 2024年1月19日閲覧。
- ^ 宮崎市定『科挙』中公文庫
- ^ 木口堅太郎「<随想>"居酒屋孔乙己"のことなど」法政大学国文学会・日本文學誌要、巻64、P105-P107,2001-07-14論文のページ
- ^ “重庆"孔乙己"偷书三千册”. 新浪网
関連項目
- 孔乙己文学
- 科挙
外部リンク
- 魯迅 孔乙己 井上紅梅訳 - 青空文庫(1932年の改造社『魯迅全集』が底本)
孔乙己(コンイーチー)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 09:55 UTC 版)
「吶喊 (魯迅)」の記事における「孔乙己(コンイーチー)」の解説
初出は1919年9月出版の4月号『新青年』(6巻4号)。 科挙のための知識という現実には役にたたない知識を持ち、秀才試験に受からなかったあぶれ者の孔乙己を描く。 ユーモアとペーソスに満ち、孫伏園(中国語版)(『晨報副刊』の編集者)によると、魯迅が自分で一番好きな作品と言った。
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