ヨウ素剤
チェルノブイリ原子力発電所事故などの様に大気中に大量の放射性ヨウ素が放出された場合、呼吸・飲食により人体内に放射性ヨウ素が摂取されると、甲状腺に集まり甲状腺被ばくを受ける。
これを予防するために、ヨウ化カリウムの錠剤薬品(これをヨウ素剤と呼ぶ)を服用すると、血液中のヨウ素量(安定ヨウ素)が増加するので、その結果、放射性ヨウ素の比率(割合)が減少し甲状腺に蓄積する量が減少する。
原子力発電所の事故に備えて、関連する地方自治体には十分なヨウ素剤が備蓄されている。これは、特に幼児や小児が放射性ヨウ素を摂取した場合、甲状腺の被ばくが最も重用視されるからである。
日本人では一日100mgのヨウ化カリウム(KI)錠剤を服用すると、摂取した放射性ヨウ素の90%以上は甲状腺に到達する前に排泄されるといわれている。
ヨウ素(安定ヨウ素)は、昆布などの海藻類に多く含まれているので、この海藻類を食べることにより甲状腺中のヨウ素(安定ヨウ素)量を多くすることも同じ効果があるといわれている。
安定ヨウ素剤(ヨウ素剤)
ヨウ素剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/22 09:20 UTC 版)
ヨウ素剤(ヨウそざい、英: Iodine tablet)は、ヨウ化ナトリウムやヨウ化カリウムの製剤として内服用丸薬、シロップ薬、飽和溶液 (saturated solution of potassium iodide: SSKI)、粉末状の塩等として製剤される他、アルコール溶液やポリビニルピロリドンとの錯体として製剤される。
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- 1 ヨウ素剤とは
- 2 ヨウ素剤の概要
- 3 シンチレーション剤
- 4 脚注
- 5 外部リンク
- ヨウ素剤のページへのリンク