ヨウ素剤の事前配布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 08:47 UTC 版)
原子力災害の発生後では、混乱やインフラの寸断によってヨウ素剤の配布が困難であったり、優先的に飲ませるべき者、飲んだ方が良い者、飲む必要のない者、飲んではいけない者を医師等専門家の知見に基づいて判断することも困難となる事態が予想される。 そして、遅いよりは早い方が良いヨウ素剤の性質に鑑みて、事前に配布がなされるべきであることは自明である。事実、アメリカをはじめとする原子力発電所を稼働させている諸国において、近隣住民へのヨウ素剤の配布が行われていた。 日本では東日本大震災の教訓により、国(原子力規制委員会)が、平成25年6月に原子力災害対策指針を改正し、PAZ圏内(原子力発電所から概ね5キロメートル以内の地域)の住民に、安定ヨウ素剤を事前配布することとした。これを受けて、原発のある道府県では対象となる住民への安定ヨウ素剤が配布が始まった。 東日本大震災当時、ヨウ素剤は病院や市役所等に都市の夜間人口に対応できるだけの個数が用意されたが、大部分が使われることが無かった。今回、事前にヨウ素剤を配布したことにより、災害発生時に交通が麻痺していても、手元にあるヨウ素剤を服用できるようになった。ただし、服用は国・自治体からの指示を待つこととなっており、情報伝達・受信手段の確保は必須である。なお、日本国内でもサプリメントとしての購入は可能となっている。
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