国・自治体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 04:45 UTC 版)
災対法では、災害の応急対応はまず市町村が責任を負うことと規定している(災対法5条、62条など)。市町村長には、関係機関や住民に災害の通知をする責務(56条)、避難勧告や避難指示、警戒区域の設定を行う権限(60条、63条)、災害拡大防止のために物件を取り壊すよう要求する権限(59条、64条)が与えられている。また、都道府県は、市町村の後方支援や調整を担い(68条)、災害救助法に基づく事務も担うほか、被災により市町村が機能しなくなった場合には措置を代行することが認められている(73条)。 国は都道府県や市町村の更なる後方支援を担う(災対法77条)。また、国の機関である気象庁は気象・地震・火山などについて予報や警報を発表する義務を負っている(気象業務法)。 災害時、市町村は市町村長を本部長とする災害対策本部を設置し、災害対応の司令塔の役割を担う(災対法23条)。これに関連して国は、大規模災害で国の関与が必要な場合は防災担当などの国務大臣を本部長とする非常災害対策本部を(24条)、さらに激甚な災害の場合は内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を設置する(28条の2)。なお、市町村や都道府県が設置する「警戒本部」「復興対策本部」などは災対法に基づかない任意のものである。 総合的な防災方針を決める仕組みとして防災会議と防災計画がある。これらはトップダウン式で、国が中心的な役割を担い、その方針に基づいて都道府県、さらに市町村が計画立案・実施する構造である。国は中央防災会議を置いて防災基本計画を策定、中央省庁は防災業務計画を策定する。都道府県は都道府県防災会議を置いて都道府県地域防災計画を策定、市町村は市町村防災会議を置いて市町村地域防災計画を策定する。トップダウンによる弊害も指摘される一方、年に一度見直される防災計画に期待される市民のチェック機能が働いていないという指摘もある。
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