応急対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 04:45 UTC 版)
災害の応急対応を規定しているのは災害救助法である。避難所、食事・炊き出し、物資の提供、仮設住宅、障害物の除去、遺体の埋葬などを定めている。そして、現場の実態に応じた弾力的運用をするために、災害救助法自体は簡素な条文のみで構成され、具体的には所管する厚生労働省の定める基準(一般基準)や都道府県が状況に応じて厚労省と協議して定める基準(特別基準)に依っていて、通知や事務連絡の形で出されている。例えば、2011年の一般基準では、食料費1人1日1,010円以内、避難所開設期間7日以内、仮設住宅費用1戸当たり2,387,000円以内とされた。しかし、これでは実情として非常に厳しいため、実際には特別基準に従って、7日を超える避難所運営、避難所の代替としてホテルや旅館の利用、仮設住宅費用の1戸当たり600万円程度への増額などが行われている。 ただし、弾力的運用が十分でないために、結果的に問題が生じたり、被災者の不満が募る事例も少なくない。特に、給付に関して、現金支給を求める声が非常に強いのに対して、国は「災害が発生すると物資が欠乏したり調達困難となるため、金銭がほとんど用をなさない」という理由からこれを認めず現物支給に拘っているという問題がある。また、現金支給に前例がないという誤解もあるが、実は1953年に水害被災者に対して生業資金として1世帯当たり1万円を支給した実例は存在する。こうした制度の問題を回避する取り組みとして、1993年の雲仙普賢岳噴火では国土庁と長崎県が長期避難者に対して食事現物支給か現金支給を選択する制度を実施したほか、2000年の有珠山噴火では北海道虻田町が避難者に生活費を支給する制度を実施した。これらはいずれも災害救助法の枠外で行われている。
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