ブラック-ショールズ方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/06/06 23:54 UTC 版)
ブラック-ショールズ方程式(ブラック-ショールズほうていしき)とは、デリバティブの価格づけに現れる偏微分方程式(およびその境界値問題)のことである。様々なデリバティブに応用できるが、特にオプションに対しての適用が著名である。ブラック-ショールズ方程式はヨーロピアンオプション[1]のオプション・プレミアム[2]の計算には使用できるがアメリカンタイプのプット・オプション[3]には使用できない。ただし、ブラック-ショールズモデルにおけるアメリカンコールオプションの理論価格はヨーロピアンコールオプションの理論価格と一致する[4]。
|
- ^ 満期日のみ行使可能なオプション。
- ^ コール・オプションとプット・オプションの両方について。オプション取引参照。
- ^ 購入日から満期日までのいつでも権利行使することのできるオプション。その分、アメリカンプットオプションのプレミアムは割高になっている。 (※)S.M.ロス; 西村優子, 高見茂雄, 西村陽一郎訳 『ファイナンス~PVとオプション~』 同友館、2002年。ISBN 9784496034749。
- ^ Shreve (2004), section 8.5
- ^ Black and Scholes (1973)
- ^ Merton (1973)
- ^ 株価の変動の激しさ
- ^ 株価の平均増加率
- ^ 無裁定価格理論の項目を参照。
- ^ よって はトータルリターンを表している
- ^ Shreve (2004), pp. 237-238
- ^ C は自国通貨単位での価値額である。
- ^ Shreve (2004), p. 164
- ^ Shreve (2004), p. 163
- ^ Shreve (2004), p. 159
- ^ 過去に無い相場に遭遇したり、とりわけ統計的に検定除外されてしまうほどめったに発生しない局面でのリスク
- ^ このヘッジファンドは4年(1994-1998)で破綻した。資金の集中した時期から、ここへマイロン・ショールズも参加していた。また、資金運用にブラック-ショールズ方程式が活用されていた。ファンドの破綻した大きなきっかけは1998年のロシア財政危機であった。この規模の恐慌は方程式によると希であるはずだったが、実際それほど希ではない。
- ^ 文章や画像、音声といった、数値化のむずかしい情報。対義語は定量情報。
- ^ 将来何が起きるかは知りえないことを前提とした投資戦略
- ^ Heston (1993)
- ^ Merton (1976)
- ^ 簿外債務の原因となりうる市場外取引その他。山一証券を参照。
- ^ 年金積立金管理運用独立行政法人の資産運用法を参照。
- 1 ブラック-ショールズ方程式とは
- 2 ブラック-ショールズ方程式の概要
- 3 現実的でない仮定
ブラック–ショールズ方程式
(ブラック-ショールズ方程式 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/07 07:06 UTC 版)
ブラック–ショールズ方程式(ブラック–ショールズほうていしき、英: Black–Scholes equation)とは、デリバティブの価格づけに現れる偏微分方程式(およびその境界値問題)のことである。
- 1 ブラック–ショールズ方程式とは
- 2 ブラック–ショールズ方程式の概要
ブラック=ショールズ方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:16 UTC 版)
「金融経済学」の記事における「ブラック=ショールズ方程式」の解説
詳細は「ブラック-ショールズ方程式」を参照 1973年にフィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズは完全かつ完備な市場の下でのヨーロピアン型コールオプションについての価格付けに対する論文を発表した。同論文中のオプション価格を決定する偏微分方程式をブラック=ショールズ方程式(英: Black-Scholes equation)と言う。 完全市場の下で、配当が無く価格変動が幾何ブラウン運動に従う株式と利子率が時間を通じて一定な債券を想定する。この時、株式を原資産とする満期 T {\displaystyle T} 、行使価格 K {\displaystyle K} のヨーロピアン型コールオプションの t {\displaystyle t} 時点における株価 x {\displaystyle x} の下での価格 C ( t , x ) {\displaystyle C(t,x)} は裁定取引が存在しないという条件の下で次の偏微分方程式の解となる。 r C = ∂ C ∂ t + r x ∂ C ∂ x + 1 2 σ 2 x 2 ∂ 2 C ∂ x 2 {\displaystyle rC={\frac {\partial C}{\partial t}}+rx{\frac {\partial C}{\partial x}}+{\frac {1}{2}}\sigma ^{2}x^{2}{\frac {\partial ^{2}C}{\partial x^{2}}}} r {\displaystyle r} は債券の利子率で σ {\displaystyle \sigma } はボラティリティと呼ばれる株価の値動きの激しさを表すパラメータである。境界条件は C ( T , x ) = max { x − K , 0 } {\displaystyle C(T,x)=\max\{x-K,0\}} C ( t , 0 ) = 0 {\displaystyle C(t,0)=0} lim x → ∞ { C ( t , x ) − ( x − e − r ( T − t ) K ) } = 0 {\displaystyle \lim _{x\rightarrow \infty }\left\{C(t,x)-{\Big (}x-e^{-r(T-t)}K{\Big )}\right\}=0} である。この偏微分方程式をブラック=ショールズ方程式と言う。ブラック=ショールズ方程式の導出に当たっては、数学者の伊藤清らによって発展した確率微分方程式の理論が中心的な役割を果たしている。ブラック=ショールズ方程式は後退放物型方程式と呼ばれる偏微分方程式に当たるので解析的に解くことができ、その解は C ( t , x ) = x N ( d + ( T − t , x ) ) − K e − r ( T − t ) N ( d − ( T − t , x ) ) {\displaystyle C(t,x)=xN(d_{+}(T-t,x))-Ke^{-r(T-t)}N(d_{-}(T-t,x))} となる。ただし d ± ( τ , x ) = 1 σ τ [ log x K + ( r ± σ 2 2 ) τ ] , N ( y ) = 1 2 π ∫ − ∞ y e − z 2 2 d z {\displaystyle d_{\pm }(\tau ,x)={\frac {1}{\sigma {\sqrt {\tau }}}}\left[\log {\frac {x}{K}}+\left(r\pm {\frac {\sigma ^{2}}{2}}\right)\tau \right],\quad N(y)={\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}\int _{-\infty }^{y}e^{-{\frac {z^{2}}{2}}}dz} である。 多くの派生証券のペイオフがヨーロピアン型オプションを用いて複製可能なことから、ブラック=ショールズ方程式が登場して以降、多数の派生証券について無裁定価格付け理論を用いた価格付けがなされた。その意味でブラック=ショールズ方程式は数理ファイナンスという学問分野の起点となった。 ブラック=ショールズ方程式はフィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズによる1973年の論文によって導出されたが、その核となる無裁定価格付け理論はロバート・マートンの1973年の論文により現れている。よってオプションの価格付けに対する功績についての功績を称えた1997年のノーベル経済学賞はマイロン・ショールズとロバート・マートンの2名に与えられた(フィッシャー・ブラックは1995年に亡くなっており、ノーベル賞は物故者には授与されない)。
※この「ブラック=ショールズ方程式」の解説は、「金融経済学」の解説の一部です。
「ブラック=ショールズ方程式」を含む「金融経済学」の記事については、「金融経済学」の概要を参照ください。
ブラック-ショールズ方程式と同じ種類の言葉
方程式に関連する言葉 | ナヴィエストークス方程式 パンルヴェ方程式 ブラックショールズ方程式 大域平衡方程式(たいいきへいこうほうていしき) フリードマン方程式 |
- ブラック-ショールズ方程式のページへのリンク