資本資産価格モデルとは? わかりやすく解説

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資本資産価格モデル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/22 06:11 UTC 版)

資本資産価格モデル(しほんしさんかかくモデル、: Capital Asset Pricing Model, CAPM、シーエーピーエム、キャップエム)とは、金融資産の期待収益率のクロスセクション構造を記述するモデル。1960年代ウィリアム・シャープ[1]John Lintner英語版[2]Jan Mossin英語版[3]により独立に発表された[注釈 1]。CAPMの下では金融資産の期待収益率の共変動[注釈 2]市場ポートフォリオ(時価総額加重平均型株価指数)の期待収益率の変動で説明される。後述のようにCAPMに代替する資産価格モデルも多数登場しているが、金融経済学において最も基本的な資産価格モデルの一つであり、CAPMによって定式化された概念は学術研究のみならず金融実務や個人投資の手法等にも広く浸透している。特にウィリアム・シャープはCAPMの導出も含めた資産価格理論研究への貢献により1990年ノーベル経済学賞を受賞している。

概要

CAPMによれば、金融市場における任意の金融資産

CAPMにおける資本市場線

リスク・リターン平面において、無リスク資産の位置する点と市場ポートフォリオの位置する点を結んだ直線を資本市場線(: capital market line)と呼ぶ。CAPMが成立しているならば、全ての投資家の選ぶポートフォリオは必ず資本市場線上にある。

右の図は資本市場線を表したもので、黒い線が資本市場線であり、青い線がリスク資産のみからなる効率的フロンティアである。図における

CAPMにおける証券市場線

X軸にCAPMのベータ、Y軸に期待収益率を取った座標平面をベータ・リターン平面という。ベータ・リターン平面において、切片を無リスク資産の金利とし、ベータが1で期待収益率が市場ポートフォリオの期待収益率である点を通る直線を証券市場線(: security market line)と言う。CAPMが成立しているならば、あらゆる金融資産とあらゆるポートフォリオはベータ・リターン平面上で必ず証券市場線上に位置する。

右の図は証券市場線を図示したものである。図においてa portfolio outperforming the marketと記されている点はCAPMにおける理論値より高い期待収益率となったポートフォリオのベータ・リターン平面上での点で、a portfolio underperforming the marketと記されている点はCAPMにおける理論値より低い収益率となったポートフォリオのベータ・リターン平面上の点である。各ポートフォリオの位置する点を通り、切片を無リスク資産の金利とする直線(青い点線)の傾きはそれぞれのポートフォリオのトレイナーの測度と一致する。また各ポートフォリオの位置する点から証券市場線への差(赤い点線)はそれぞれのポートフォリオのジェンセンのアルファと一致する。

証券市場線に位置する点のトレイナーの測度はマーケットリスクプレミアムであり、ジェンセンのアルファは0であることから、これら2つの指標が理論値から異なるということはCAPMからの逸脱を表していると言える。また個別の金融資産で考えた場合、ベータ・リターン平面において証券市場線より上に位置する資産はCAPMにおける理論値より割安に値付けられていて、証券市場線より下に位置する資産は割高に値付けられていることも言える。

ゼロベータCAPM

CAPMにおけるゼロベータポートフォリオ。図中のmarket portfolioが市場ポートフォリオ、zero-beta portfolioがゼロベータポートフォリオのリスク・リターン平面上での座標である。minimum variance flontier of risky assetsはリスク資産のみからなる最小分散フロンティアである。

CAPMには無リスク資産の存在が仮定されている。しかし1972年フィッシャー・ブラックは無リスク資産の存在を仮定しないCAPMとしてゼロベータCAPM(: zero-beta CAPM)を導出した論文を発表した[11]。ゼロベータCAPMの下で金融市場における任意の金融資産

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資本資産価格モデル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/03 15:53 UTC 版)

確率的割引ファクター」の記事における「資本資産価格モデル」の解説

資本資産価格モデルを表現する確率的割引ファクター一つの例は市場ポートフォリオ収益率r m {\displaystyle r_{\mathrm {m} }} 、無リスク金利r f {\displaystyle r_{\mathrm {f} }} とすれば次のように表されるm = 1 1 + r f − E [ r m ] − r f ( 1 + r f ) V a r ( r m ) ( r m − E [ r m ] ) {\displaystyle m={\frac {1}{1+r_{\mathrm {f} }}}-{\frac {E[r_{\mathrm {m} }]-r_{\mathrm {f} }}{(1+r_{\mathrm {f} })\mathrm {Var} (r_{\mathrm {m} })}}(r_{\mathrm {m} }-E[r_{\mathrm {m} }])}

※この「資本資産価格モデル」の解説は、「確率的割引ファクター」の解説の一部です。
「資本資産価格モデル」を含む「確率的割引ファクター」の記事については、「確率的割引ファクター」の概要を参照ください。

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