シェイク (飲料)とは? わかりやすく解説

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ミルクセーキ

(シェイク (飲料) から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/03 01:17 UTC 版)

ストロベリー(イチゴ)のミルクセーキ

ミルクセーキmilk shake)は、牛乳アイスクリームバタースコッチ、キャラメルソース、チョコレートシロップ、フルーツシロップ、ホールフルーツなどの調味料甘味料をブレンドして、冷たい飲み物にした乳飲料の種類である。牛乳ではなく、アーモンドミルクココナッツミルク豆乳などの植物性ミルクなどをベースにして作られることもある。

ミルクセーキは20世紀初頭にアメリカで考案され、その後ミルクシェイクマシーン英語版電気ミキサーの導入により人気が高まった。アイスクリームショップは若者の出会いの場であり、ミルクセーキは若者の大衆文化によく見られるようになった。

名称

アイスクリームを使ったミルクシェイクと、その他のフレーバー付きミルクとの違いを表す用語は、地域によって異なる。アイスクリームをベースにしたミルクシェイクは、それと区別するために「シックシェイク(thick shake、濃いシェイクの意)」と呼ばれることがある。ニューイングランド地方やカナダ東部の一部では、「フラッペ(frappe; [fræp] FRAP)」という名称が使われており[1][2]、特にロードアイランド州では、コーヒーキャビネットのように「キャビネット(cabinet)」と呼ばれることがある[3][4]。粉末状である麦芽乳を加えたミルクシェイクは、麦芽乳の英語読みである「モルト(malt)」の名で呼ばれることがあり、また、ファーストフードチェーンのカルバーズ英語版が提供するような、逆さにしてもこぼれないほど濃厚なミルクシェイクは、「コンクリート(concrete)」という名称で知られている[5]

いくつかの法的管轄区域では、「ミルクシェイク」と呼べるための法的要件が規定されており、例えば乳脂肪分や無脂乳固形分の含有率が定められている場合がある。そのため、多くの飲食店では自社製品を「ミルクシェイク」とは呼ばず、単に「シェイク」と呼ぶことが一般的である。特に多くのファーストフードチェーンの発祥の地であるアメリカ合衆国では、乳製品に関する規制や法的基準は連邦レベルではなくごとに規制されており、チェーンの場合、ミルクシェイクの名称を使用するために事業展開をしている複数州全ての規制を満たす製品を開発したり、州ごとに違った製品を提供することを避けるために、ミルクシェイクという表現を含まない独自の名称や単にシェイクという名称を採用している[6]。「ミルクシェイク」という表現を使用していないファーストフードチェーンには、ウェンディーズ(製品名は「フロスティ」)、バーガーキングデイリークイーンデルタコマクドナルド(製品名は「マックシェイク」)、シェイク・シャックソニック・ドライブインなどがある[6]

歴史

1911年からミルクシェイクマシーン英語版または「ドリンクミキサー[注 1]」と呼ばれる卓上据え置き型の電動ブレンダーが市場に出回り、さまざまなフレーバーのシェイクの準備が容易になった[7][8]

「ミルクシェイク」という言葉が初めて印刷物に登場したのは1885年のことで、ミルクシェイクは生クリームウイスキーを使ったアルコール飲料を指しており[9]、「滋養があり体によいエッグノッグ・タイプの飲料で、強壮剤としてもお楽しみ(ごちそう)としても提供されていた」と記されていた[10]。しかし1900年初頭頃には、この言葉は麦芽乳と、チョコレートストロベリーバニラといった風味がついたシロップを使った飲み物を指すように置き換わった[9]。1922年までには、ウォルグリーンが既に人気を博していた牛乳、チョコレートシロップ、麦芽乳パウダーで作られていたモルト・ミルクに、新たにアイスクリームを加えたシェイクの宣伝を始めるとこの飲料は大人気を博し、「新しいおやつとしてアイスクリーム入りのミルクシェイクを求める人々」が現れ始めた[9][10][11]。1930年代までには、ミルクシェイクはモルトショップ(当時の典型的なソーダファウンテン)で人気の飲み物となり、そこは「学生たちのたまり場、交流の場」として使われるようになった[10]

また、電動ミキサーとミルクシェイクの歴史は相互に関連している。電動ミキサーが普及する以前は、ミルクシェイク系の飲み物はエッグノッグのように、砕いた氷と牛乳、砂糖香料を手でシェイクしたものだった。1911年に米キッチン家電メーカーのハミルトンビーチ英語版社によってミルクシェイクマシーン英語版または「ドリンクミキサー[注 2]」と呼ばれる卓上据え置き型の電動ブレンダーが開発され、ミルクシェイクのブレンドを容易かつ迅速に行えるようになった[12]。1922年、スティーブン・ポプラウスキーが底面モーター式ブレンダーを発明したことで、ミルクシェイクはホイップ、エアレーション、泡立てたような現代的な形になり始めた。

作り方

ミルクセーキの製法はいくつかある。

いずれの方法でも、材料(種類によって違うので後述)を攪拌して作る。また、冷やして飲むためにと一緒に攪拌することもある(この場合、氷の融解を計算に入れ、牛乳を用いずに練乳を用いることもある)。

種類

フレンチスタイルとアメリカンスタイル

牛乳、卵黄砂糖バニラエッセンスを混ぜて作るものは「フレンチスタイル」と呼ばれる。牛乳を用いずに、コンデンスミルクと細かく砕いた氷(クラッシュアイス)を用いる場合もある。

牛乳アイスクリーム、バニラエッセンス、チョコレートシロップ果物のシロップを混ぜて作るものは「アメリカンスタイル」と呼ばれており、こちらはシェーキシェークシェイク)とも呼ばれる。ファーストフード店などにおいて「○○シェイク」とも提供されているものは、これである。アイスクリームの分量が牛乳よりもはるかに多いため、半ば凍った状態で供されることが多く、フレンチスタイルのミルクセーキよりもカロリーが高い。

なお、「フレンチスタイル」「アメリカンスタイル」のどちらも、日本国内においては総称として、ミルクセーキ(英語のmilk shakeに由来)と呼ばれる傾向がある。

その他

他に、チョコレートストロベリー(イチゴ)など(それらを原料としたシロップなどの場合もある)を配合することで味付けされたものも飲まれている。また、卵黄だけではなく全卵を用いる作り方も知られている。牛乳を温めて作られるものは、ホットミルクセーキと呼ばれる。

カクテルとして

エタノールを含まないノンアルコールカクテルの1つとして作られる。上記にもある通り、日本ではなまってミルクセーキと呼ばれるようになったので、バーでもミルクセーキと呼ばれる。元々はバーテンダーなどがシェーカーでシェークして作っていたためにShakeと付くものの、現在ではミキサーで作るようになった。

標準的なレシピ

作り方

ミキサーに、牛乳、砂糖、鶏卵(全卵)を入れ、そこに適量のクラッシュドアイスを加えて混ぜる。それをゴブレット(容量300ml程度)に注げば完成である。

長崎市のミルクセーキ

ツル茶んの長崎風ミルクセーキ

長崎市では、ミルクセーキは砂糖練乳かき氷を入れてシャーベットにした食べ物である。そのため、「食べるミルクセーキ」とも呼ばれている。市内にある九州最古の喫茶店「ツル茶ん」が考案したもので、暑い夏に涼めるように開発されたものである[13]

主な市販品

現行商品

缶飲料

  • ダイドー - 【コクグランタイム】濃厚リッチミルクセーキ
  • 宝積飲料[1] - パレード ミルクセーキ(広島と岡山・東京・大阪の一部の100円自販機で見かけることが多い)

ペットボトル飲料

ファストフード

製造販売終了商品

脚注

注釈

  1. ^ 米キッチン家電メーカーのハミルトンビーチ英語版社が特許を保持する商標名。
  2. ^ ハミルトンビーチ社が特許を保持する商標名。

出典

  1. ^ milk shake. The American Heritage Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000
  2. ^ The Difference between a Milkshake and a Frappe”. Yankee Magazine. 2016年6月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年6月2日閲覧。
  3. ^ What Is a Milkshake? And How Is It Different from a Frappe or a Cabinet? | America's Test Kitchen” (英語). www.americastestkitchen.com. 2025年7月24日閲覧。
  4. ^ Cabinet” (英語). Dictionary of American Regional English. 2021年2月7日閲覧。
  5. ^ American Dialect Society CABINET, CONCRETE, FROSTED, VELVET Text accompanying illustration on a poster advertising Hood's Ice Cream (observed in Hancock Pharmacy, State and Hancock Sts., Springfield, Mass., September 30, 1952).
  6. ^ a b Billet, Alexander (2023年9月9日). “Why You're Technically Not Able To Order A Milkshake At McDonald's” (英語). daily meal. 2025年8月2日閲覧。
  7. ^ Hamilton Beach Brands Holding Company - About Our Company - Our History”. www.hamiltonbeachbrands.com. 2025年8月2日閲覧。
  8. ^ Lohman, Sarah (2023年10月2日). “How the Coachella Valley became known for its dates” (英語). High Country News. 2025年8月2日閲覧。
  9. ^ a b c The All-American Milkshake” (英語). The Dairy Alliance. 2025年8月2日閲覧。
  10. ^ a b c Flexner, Stuart Berg (1982) Listening to America, Simon & Schuster: New York, p. 178, ISBN 0671248952
  11. ^ Ried 2009, pp. 14–15.
  12. ^ Ried 2009, p. 14.
  13. ^ まさに長崎発祥!の3大グルメ&スイーツ ながさき旅ネット

参考文献

関連項目


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