SPF
「SPF」とは・「SPF」の意味
「SPF」という言葉は、IT分野では電子メールの送信ドメインの詐称を検知する技術のことを、建築の分野においては北米産の針葉樹からつくられた木材のことを、そして、日焼け止め剤ではUV-Bに対する防止効果のことを意味している。IT分野において、「SPF」とは「Sender Policy Framework」の略称であり、送信ドメイン認証という、電子メールの送信元ドメインが詐称されていないかどうか、検知する技術のことを指している。電子メールにおけるサーバーセキュリティの一つと言えるだろう。Pobox.com社の創業者メンウェン・ウォン氏らによって提唱された言葉で、当時は「Sender Permitted From」の略称とされていた。
一般的に、迷惑メールの多くは送信元のアドレスを詐称して送られてくる。なぜなら、詐称することで、送信元が突き止められることを防げるようになるからだ。SPFは、このなりすましメールを防ぐための技術として誕生した。SMTP(Simple Mail Transfer Protoco)通信を使って電子メールを送る場合、送信者にはメールアドレスが二種類与えられる仕組みになっている。一つは、エンベロープFromというものだ。送信プロトコルのコマンドである、SMTPを利用して送信されるアドレスで、ここには正しい情報を記述しておく必要がある。もう一つは、ヘッダFromと呼ばれるアドレスで、ここには、実際の送信者とは異なる情報を記述することが可能になっている。つまり、SMTPではこの二つが必ずしも同じものである必要がないのだ。そのため、SMTPでは、送信元を詐称することが比較的容易にできてしまう、という仕組みが出来上がっていたのである。
クラウドサービスなど、外部に置かれたシステムを利用してメールを送信する場合、エンベロープFromアドレスは外部企業のものになる。一方で、メールの送信元を表記するために、ヘッダFromには自社のアドレスを用いる。つまり、送信者なりすましメールと同じような状態がつくられてしまうのだ。しかし、これは不正に行われている送信者なりすましメールとは、明らかに性質が異なるものである。そこで、メールに正当性があることを明らかにするために、「SPF」という仕組みが使われるようになった。SPFの仕様は、2006年にIETFでRFC4408として標準規格が定められた。その後、2014年にはRFC7208に改定される等、議論や検討が重ねられている。
SPFを有効にし、受信側にメールを届けるためには、送信側は自身のドメインにあるDNSサーバ上に、SPFレコードを記述する必要がある。メール送信を行うクラウドサービスのIP等、送信元としてもよいドメイン(Domain Name System)のIPアドレスを記述していくのだ。これによって、受信側は不正に送られてきたものかどうか、判別できるようになるという仕組みである。
建築の分野において使われる際は、「SPF」は木材の種類の事を指している。主に、木材枠組壁工法の一つである、ツーバイフォー工法において用いられている木材だ。さらに、SPFはホームセンターなどでも気軽に手に入るため、DIYにも適している木材としても知られている。なお、耐水性はあまりなく、虫にも弱いため、屋外での使用にはあまり向いていない。屋外に用いる際には、防腐対策を施し、定期的にメンテナンスを行う必要がある。「SPF」は、Spruce(トウヒ)、Pine(松)、そしてFir(もみ)という三つの種類の木材の頭文字をとったものだ。北米産の針葉樹で、どれも成長が早く、大量生産されているため価格が安い。さらに、密度が低いため、柔らかく、軽いという特徴も持ち合わせているのだ。国産の木材に例えると、ちょうどヒノキとスギの中間程度の柔らかさである。そのため、建築現場はもちろん、DIY初心者でも扱いやすい木材として知られている。なお、SPF材の規格サイズには様々なものがあり、角材はもちろん、板材まで豊富なバリエーションがある。ツーバイフォー工法で用いられる木材ということもあり、規格サイズの単位がインチになっていることがほとんどだ。「1×4」「2×3」などのように表記されている。
日焼け止め剤にも「SPF」という言葉が使われており、パッケージなどに記載されていることが多い。この場合、SPFは「Sun Protection Factor」の略称となる。太陽光線には紫外線が含まれており、適度に浴びることは健康上必要であるものの、浴びすぎることで、日焼けやシミ、しわの原因にもなることが知られている。紫外線は、波長の長さによってUV-A、UV-B、UV-Cという種類に分けられている。UV-Cはオゾン層で吸収されてしまい、ほとんど地表に届かない。そのため、この日焼けなどの肌トラブルに影響を与える波長は、UV-AとUV-Bだけということになるのだ。長波長のものはUV-A、中波長のものをUV-Bと呼んでいる。SPFは、このUV-Bという波長に対する防止効果を表している。UV-Bは、肌に炎症を引き起こしてしまう紫外線だ。主に肌の表面部分に届き、エネルギーが強いため、肌は炎症を起こしてしまうのである。紫外線を浴びた後に、肌が赤くなったりするのは、このUV-Bが原因で引き起こされる症状で、「サンバーン」とも呼ばれる。また、メラニンを増加させるため、シミやソバカスの原因とも言われている。
一方、日焼け止め剤で使われる表示には「pa」というものもある。これは、「Protection Grade of UVA」の略称で、UV-Aという波長に対する防止効果を表すものだ。SPFとは異なり、防止効果は「+」「++」「+++」「++++」という4種類で表現される。「+」の数が多くなるほど、防止効果が高くなるというものだ。UV-Aは、肌をすぐに黒くしてしまう紫外線である。さらに、肌の奥まで届くため、真皮にまで影響を及ぼしてしまうのだ。真皮にある弾性繊維を破壊し、肌のハリに影響を与えたり、シワやたるみなどの要因にもなっている。
「SPF」の熟語・言い回し
SPFを使ったフレーズとして、次のものが挙げられる。SPF 50とは
「SPF 50」は、「Sun Protection Factorの数値が50」という意味を持ち、日焼け止め剤で使われる言い回しである。「SPF」の後に数値が加わり、数値が高ければ高いほど、SPFの効果が高いということになっている。つまり、SPFの値は、何も塗らない時に比べると、赤くなるような日焼けを何倍防げるのか、ということを表しているのだ。例えば、何も塗らない状態だと20分で肌が赤く日焼けしてしまう人の場合を想定する。「SPF 50」の日焼け止め剤を使った場合は、20分×50=1,000分(16時間40分)、日焼けを防ぐ効果が期待できるという計算になるのだ。ただし、実際は、十分な量が塗られていない、塗りムラがある、汗で落ちてしまったなどの理由で、この数字と同じような効果が得られないことにも注意が必要だ。なお、SPFの数値が50以上になる場合は「50+」と表記する。50より大きな数値が付けられることはない。
一般的に、散歩や買い物などのような日常生活では10~20、屋外で行う軽いスポーツやレジャーの場合は20~30、そして炎天下におけるレジャーやマリンスポーツなどに対しては30以上であることが望ましいとされている。非常に紫外線の強い場所や、紫外線に特別敏感な人の場合は、50以上のものを使うと良いだろう。なお、常に数値の高いものを選んでおけば安心というわけではないため、状況に合わせて最適なものを選ぶ必要がある。数値の高いものを選ぶと、敏感肌や乾燥肌の人は特に肌に余計な負担がかかり、肌トラブルを招いてしまうこともあるからだ。
なお、紫外線は晴れの日や、日差しの強い季節だけでなく、雨の日や曇りの日でも降り注いでいる。そのため、スキンケアの観点からすると、日焼け止めは、一年を通して行うことが大切である。
エス‐ピー‐エフ【SPF】
エス‐ピー‐エフ【SPF】
読み方:えすぴーえふ
《South Pacific Forum》南太平洋諸国会議。南太平洋域内の政治的問題を討議する国際機構。1971年発足。2000年、太平洋諸国会議、太平洋諸島フォーラム(PIF)に改称。本部はフィジー。
エス‐ピー‐エフ【SPF】
SPF
読み方:エスピーエフ
SPFとは、電子メールの送信元ドメインを認証する方式のひとつである。SMTPの拡張仕様であり、RFC 4408として定義されている。
SPFでは、あるドメインに対して電子メールを送ることのできるアドレスを、メールサーバーの側であらかじめ送信者のIPアドレスとして管理している。管理よって認証されたアドレスがメールサーバーの保有している情報と整合した場合に限り、そのメールが正当なものとして送信される。これによって、送信者ドメインと関係のないメールを発信するスパムメールの多くを排除することができる。
参照リンク
RFC4408 - ~SPFドキュメント
- エスピーエフのページへのリンク