尻別川とは? わかりやすく解説

しりべつ‐がわ〔‐がは〕【尻別川】

読み方:しりべつがわ

北海道南西部流れる川。支笏(しこつ)湖西岸にある標高1046メートルフレ岳に源を発し日本海に注ぐ。長さ126キロ


尻別川

羊蹄山清水集めた清流尻別川
尻別川は支笏湖流域との分水界となるフレ岳西方に源を発し流域のほぼ中央にそびえる羊蹄山大きく迂回し幾多支川合流して日本海注ぎます流路延長126流域面積1,640 km2後志地方最大河川で、清澄豊富な多様な生物生息生育環境保全し農耕地潤し狭窄部の激流発電用として利用され5町2村の人々の生活を支えてきた母なる川です。

蘭越町市街地を流れる尻別川
蘭越町市街地流れる尻別川

河川概要
水系尻別川水系
河川名尻別川
幹川流路延長126km
流域面積1,640km2
流域内人38,000
流域関係都県北海道

尻別川流域図
○拡大図
1.尻別川の歴史
"尻別川は清流河川であり、今後もこの水質保持していく必要があります。かつて洪水被害相次いだが、河川改修安全度向上し、更にアユカワヤツメ産卵床保全するなど、多自然型川づくり推進されています。尻別川は水量安定しており、古くから水力発電が行われ、現在、6箇所発電用取水堰あります。"

特有の歴史先人の知恵活用


蘭越町市街地を流れる尻別川
蘭越町市街地流れる尻別川
尻別川は北海道南西部位置し、その源を支笏湖流域との分水界をなすフレ岳西方発し喜茂別町から羊蹄山麓の東方北西流向転じながら倶知安町至り、更に真狩川昆布川等の支川合わせながらニセコ狭窄部を流下して蘭越町至ってます。この場所より河積を増大しながら流向北西変え目名川等の支川合わせ日本海注いでます。尻別川はこのような地形流下する中で、羊蹄山などの湧水集め清流河川となっており、今後もこの豊かな水質保持する必要があります


明治30年頃の実情では尻別川はサケ・マス等のが豊富で、「春マス時期には仕事前に川に網を掛け昼休み上げにいくとマスドッサリ掛かっている。」「ヤマベ小川にもたくさんいて、簡単にザルですくえた。」「ヤツメウナギ昼休みにとりにいき、石油缶一杯とることもある。川底ヤツメがたくさんいて、海の底昆布動いている様であった。」「川に棒を立てて倒れない程、サケ・マス等の多くいた。」等と言われるほどで、当時の生活に不可欠な存在とされていました
大正2年頃の話では洪水毎年5月一杯まで続き堤防が無いことから、一度洪水になると、家屋天井まで浸水し屋根裏上って避難したと言われています。改修工事進める際には治水安全度確保もとより自然環境との調和配慮した多自然型川づくり推進しアユカワヤツメ産卵床保全するなど、動植物生息環境配慮した河川改修努めてます。

昭和37年洪水 蘭越町 名駒地区尻別川のアユとカワヤツメ
昭和37年洪水 蘭越町 名駒地区尻別川のアユカワヤツメ

尻別川流域での水稲試作明治10年頃で、現在の米所である蘭越方面比較早い時期試作され、明治30年代には僅かであるが水田化進んでいました。なお、その他の地域は「水田不適地」のレッテル張られるほどで、度重なる水害見舞われることもあり、尻別川のは「無用の長物扱いとされた時期があるものの、川の水量が安定していることから、尻別川を利用して水力発電が行われ、現在では6箇所発電用取水堰設置されています。

蘭越取水堰
蘭越取水堰
2.地域の中の尻別川
"尻別川の清流はらんこし米や馬鈴薯農作物のほか、サクラマスアユ生産など、地域の産業経済潤してます。また、ラフティングカヌーランラン公園ふきだし公園など、川を通じた人々交流図られています。"

地域社会とのつながり

ふきだし公園
ふきだし公園
尻別川は羊蹄山湧水などが集まり水質きわめて良好であります京極町には羊蹄山湧水利用したふきだし公園」が在り環境省名水100選認定される等、全国的に有名な観光地として注目集めてます。
羊蹄山湧水良好な水質保持している尻別川は、流域代表するらんこし米や馬鈴薯アスパラ等の農作物育ち日本海沿岸サクラマス種苗河川であることやアユ・カワヤツメの内水面漁業営まれていることで、地域の産業経済潤してます。


流域を代表するらんこし米サクラマスの遡上
流域代表するらんこし米サクラマス遡上

尻別川の高水敷蘭越町の「ランラン公園」や倶知安町の「尻別川リバーパーク」等がパークゴルフ等のスポーツ河川敷散策河川行われるイベント会場として利用され地域住民健康増進世代間や他市町村との交流図られるとなってます。

河川敷利用(ランラン公園(左)・尻別川リバーパーク(右))
河川敷利用(ランラン公園(左)・尻別川リバーパーク(右))


全道鮎釣り大会
全道鮎釣り大会
特に尻別川と住民とのふれあいでは「全道鮎釣り大会」「尻別川手作りカヌー下り」等の尻別川で行われるイベントをはじめ、ニジマス・オショロコマ等の稚魚放流真狩川河川公園での水生昆虫交流学習会等があげられます。


ラフティングのようす
ラフティングのようす
また、流域では清流である尻別川を舞台としたラフティングカヌーアユ釣りなどのアウトドアスポーツ盛況であり、雄大な自然を資源とした観光産業においても大きなウェイト占めてます。
一方では尻別川の利用における河川ルールづくりを関係団体等において、積極的に作業中であるとともに恐さ知って川と親しめるような利用者意識啓発進めていくこととしおります
3.尻別川の自然環境
"尻別川は羊蹄山ニセコ山系などの豊かな自然と優れた自然景観恵まれイトウはじめとする動植物多数生息してます。この良好な生息環境水質含め自治体地域住民NPO法人等と協力し保持するように努めていきます。"


オニスゲ(左)・ハマハコベ(右)
オニスゲ(左)・ハマハコベ(右)
尻別川流域羊蹄山ニセコ山系はじめとする豊かな自然と優れた自然景観恵まれ動植物生育にも好適な地であり、その種類も豊富です。
河川水辺の国勢調査にて尻別川で確認され動植物は、植物では羊蹄山などを中心に高山植物植生しており、尻別川を中心とする河川敷生育する植物ハマハコベオニスゲ等の着目種です。


代表種:イトウ
代表種イトウ
動物ではイトウアユカワヤツメ(魚類)のほか、コテングコウモリ(哺乳類)、エゾサンショウウオ(両生類)、コハクチョウカンムリカイツブリ(鳥類)、カワシンジュガイ(底生動物)などの着目すべき種が確認されています。
特にイトウは尻別川を代表する重要な種に位置付けており、地域住民関心高く種の保護団体組織されているほか、河川管理者としても生息配慮した事業展開をしていくこととしています。



カヌーによるゴミの清掃風景
カヌーによるゴミ清掃風景
また、尻別川はアウトドアスポーツ等での利用が盛んであることから、河川環境保持するための利用者へのアピール住民参加などによるゴミ清掃活動推進するとともに関係自治体流域住民NPO法人とともに河川利用について検討していきます。 尻別川は、今後清流維持しながら良好な河川環境保持するように努めていきます
4.尻別川の主な災害


昭和50年8月洪水尻別川左岸蘭越地区
昭和50年8月洪水尻別川左岸蘭越地区


発生発生原因被災市町村被害状況
昭和50年8月台風6号流域内5町2床上浸水95
床下浸水313
昭和56年8月台風15号流域内5町2床上浸水111
床下浸水207


(注:この情報2008年2月現在のものです)

尻別川

読み方:シリベツガワ(shiribetsugawa)

所在 北海道

水系 尻別川水系

等級 1級


尻別川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/30 00:47 UTC 版)

尻別川(しりべつがわ)は、北海道胆振総合振興局管内および後志総合振興局管内を流れ日本海に注ぐ一級河川。尻別川水系の本流である。




  1. ^ 国土交通省 水質ベスト5の変遷
  2. ^ 北海道開発局, 国土交通省. “尻別川” (日本語). 北海道開発局. 2019年9月6日閲覧。


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