馬淵川とは? わかりやすく解説

まぶちがわ〔まぶちがは〕【馬淵川】

読み方:まぶちがわ

渡辺喜恵子小説岩手県北部流れる馬淵川沿いの町舞台にした、一族四代にわたる年代記昭和34年1959刊行同年第41回直木賞受賞


まべち‐がわ〔‐がは〕【馬淵川】

読み方:まべちがわ

岩手県北部葛巻町あたりの北上高地に源を発し北流ののち北東流れ八戸市太平洋に注ぐ川。長さ142キロ


馬淵川

と緑が織りなす南部ふるさと
馬淵川は、岩手県下閉伊郡岩手郡の境にある袖山標高1,215m)にその源を発し高原状の北上山地脊梁奥羽山脈の山隘を北流し青森県至りその後三戸郡南部町付近でその流路北東転じ八戸市貫流して太平洋注いでます。流域面積2,050km2流路延長142kmの一級河川です。

青森県第2の都市八戸市街地中央を流れる馬淵川
青森県第2の都市八戸市地中央を流れる馬淵川

河川概要
水系馬淵川水系
河川名馬淵川
幹川流路延長142km
流域面積2,050km2
流域内人188千人
流域関係都県青森県岩手県

馬淵川流域図
○拡大図
1.馬淵川の歴史
"馬淵川は、豊臣秀吉全国統一最後の戦い九戸の乱」の舞台となりましたまた、江戸時代には舟運による水上交通発達していました
馬淵川の改修工事は、河口部付替え堤防築堤により、八戸臨海工業地域発展もたらしました。"

馬淵川の歴史


○馬淵川と全国統一
九戸城位置図
九戸城位置図
馬淵川は、秀吉全国統一最後の戦いとなった九戸の乱」(南部宗家跡目相続に不満を抱いた九戸政実(くのへまさざね)の謀反が、秀吉奥州平定軍との戦に発展した)の舞台となりました
九戸城は「水量豊富で流れ速い」馬淵川や、白鳥川淵川三方囲まれ台地築かれた城であり、まさに天然要害でした。


○馬淵川の改修工事
馬淵川は河口付近大きくカーブし新井田川合流して太平洋注いでいたことから、大雨のたびに二つ川の流れ押し合い八戸地域は洪水常襲地帯となっていましたこのため河口部抜本的な治水対策八戸臨海工業地帯発展目的とした河川改修工事昭和12年着工されました。
旧馬淵川河口と現在の河口
旧馬淵川河口現在の河口
途中戦争による休止ありましたが、この改修工事昭和30年にほぼ完工し、放水路開削により新井田川分離された馬淵川は、洪水による被害軽減され現在の八戸地域の発展もたらしてます。
なお、旧河口は現在、第一工業港として利用されています。


○馬淵川の舟運
馬淵川が物資輸送路として利用されるようになったのは、江戸時代からです。
舟による上流下流間の物輸送だけでなく、上流山地から切り出され木材を、筏を組んで流す輸送行われていました
そのため、流域要所要所川岸には船着場作られその周辺に家が建ち賑やかな町が生まれ原因となりました
特に馬淵川と新井田川河口部にある旧湊村では、漁業海上交通拠点であったことも加わり活気のある町()が形成されることとなりました
江戸時代中期には河口港大規模な整備行われてます。
2.地域の中の馬淵川
"馬淵川では、近年市民団体の活動活発化しています。市民生活密接な馬淵川は、水辺空間保全創造重要性高まっており、今後水辺環境ネットワーク構築していきます。"

地域社会とのつながり

○馬淵川の川づくり活動
市民団体による植樹状況
市民団体による植樹状況
現在、馬淵川では、河川フィールドとした市民団体の活動活発になっています。
植林河川清掃代表される自然環境の保護や、源流探訪などを通じた地域の歴史、自然、文化再発見などの活動が行われ、行政とも連携しながら、活発に川づくり活動展開している団体あります


○馬淵川に求められるもの
馬淵川の直轄管理区間(国土交通大臣直接管理している区間のこと)は、背後地のほとんどが八戸市市街地であり、まさに市民生活密接な空間となってます。
このため地域住民から河川有する豊かな自然環境保全や、市民ふれあいの場、憩い安らぎの場としての空間整備強く求められています。

○馬淵川のこれから
洪水対策施設のみならず環境学習や地域づくりの源となるよう、河川周辺の歴史的・文化的施設と一体となった水辺学習ネットワークづくりを行ってます。
八戸地区には「馬淵川は自然の教科書」を基本コンセプトとした「水辺の楽校(がっこう)」が、市民参加協力得て計画されており、子どもから大人まで、安全に河川親しめ学習できる空間創造していくこととしています。
3.馬淵川の自然環境
"馬淵川は山地河川属し下流域には沖積平野広がってます。
水環境としては、かんがい用水のために流量減少する時期があり、水質基準値以下で推移してます。
流域内には、景勝地点在し生物相が豊かです。"


○馬淵川の地形地質
馬淵川流域の上流部は、概ね山地河川属し山地面積は全流域面積の約93%を占めまた下流部は、八戸市及びその近郊農村形成する沖積平野広がってます。
流域の地質は、本川上流部古生層及び上流安比川流域第3紀火山噴出岩分布を除くと、ほとんどが第4紀火山噴出岩となってます。
流域内の平均降水量は、1,300mm程度あり、洪水原因は主に台風及び前線性の大雨よるものです。

○馬淵川の流量水質
流量冬季少なくまた、春から夏にかけては水田への用水のため流量減少します。
水質平成14年の尻内橋地点において、BOD75%値が1.3mg/L(基準値2.0mg/L以下)であり、近年はほぼ横ばい傾向あります

○馬淵川の自然環境
馬仙峡
馬仙峡
馬淵川の流域には、二戸市の折爪馬仙峡代表される景勝地点在し川下り川面から眺めれば、カワセミ飛びサギ大群出会うこともできます
また、生態系頂点君臨する猛禽類生息し生物相が豊かであることも伺えます。

名川町では、サケの遡上季節になればヤナ場が設置され、川の豊かな恵み感じ風景出会うことができます
4.馬淵川の主な災害


発生発生原因被災市町村被害状況
S42.9.22台風22号八戸市名川町人的被害1名
床上床下浸水22,100
農地被害38,000ha
H5.7.29前線低気圧名川町南部町床上床下浸水80
農地被害約1,100ha
H11.10.28低気圧八戸市五戸町人的被害2名
住家全壊6戸、半壊3戸
床上床下浸水320
農地被害約330ha
H14.7.11台風6号八戸市南部町人的被害1名
住家一部損壊2戸
床上床下浸水240
農地被害約800ha


H14.07.11洪水(八戸市根城)
H14.07.11洪水八戸市根城

5.その他

小説「馬淵川」「忍ぶ川
小説「馬淵川」は昭和34年第41回直木賞受賞作品です。作者渡辺喜恵子さんは秋田県生まれで、母の故郷である福岡町現在の二戸市)に疎開中に執筆しました。福岡町舞台として盛岡藩御用商人後妻となった士族の娘・さと子主人公に、幕末から関東大震災までの四代70年に渡る、みちのくの女たちの悲しい愛の物語です。
小説忍ぶ川」は昭和35年第44回芥川賞受賞作品です。作者三浦哲郎氏は八戸市生まれであり、父は二戸市出身です。
主人公故郷一戸に向かう新婚の旅、その新妻温かく迎え家族との出会い描いた小説です。

川の名前由来
馬淵川は、「マベチ」と「マベツ」の2つ呼び名ありましたが、「マベチ」に統一されました(青森県歴史散歩山川出版社)。馬淵川は、間別とも書きアイヌ語でmd-pet(澗・川)つまり、入り江港の川というところから呼ばれたいいます
また、源流部の村落名「谷(マ)をなして袖山尾根先端フチ迂回する所」という意味の馬淵が川の呼び名になったともいわれています。
このほか、名馬「俊涼」が主人想い、淵から入水したので「馬淵になったという伝説あります

(注:この情報2008年2月現在のものです)

馬淵川

読み方:マベチガワ(mabechigawa)

所在 岩手県青森県

水系 馬淵川水系

等級 1級


馬淵川

読み方:マブチガワ(mabuchigawa)

作者 渡辺喜恵子

初出 昭和33年

ジャンル 小説


馬淵川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 08:34 UTC 版)

馬淵川(まべちがわ)は、岩手県北部および青森県南部を流れる一級河川[1]。馬淵川水系の本流である。馬渕川と表記する場合もある[2]


  1. ^ 馬淵川水系(八戸圏域)河川整備計画 - 青森県
  2. ^ kasen.net (2003年6月1日). “馬渕川改修工事竣功記念碑”. kasen.net. 2010年11月3日閲覧。
  3. ^ 日本国語大辞典,世界大百科事典内言及, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,世界大百科事典 第2版,日本の地名がわかる事典,日本大百科全書(ニッポニカ),精選版. “馬淵川(まべちがわ)とは”. コトバンク. 2019年9月5日閲覧。
  4. ^ 伝説:マベツの伝次 | 葛巻町”. www.town.kuzumaki.iwate.jp. 2019年9月5日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l 国土交通省 東北地方整備局 河川コード台帳 [1] (PDF) 2016年1月28日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad 国土交通省 東北地方整備局 河川コード台帳(河川模式図編) (PDF) 2016年2月3日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l 青森県 馬淵川水系(八戸圏域)河川整備計画(平成15年10月) (PDF) 2016年2月3日閲覧。


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