いぼ‐がわ〔‐がは〕【揖保川】
揖保川
兵庫県の西部に位置する揖保川は、兵庫県一宮町の藤無山に源を発し、途中引原川、栗栖川、林田川等を合わせながら山崎町、新宮町、龍野市等を貫流し河口付近で中川を分脈して瀬戸内海播磨灘に注ぐ流域面積約810km2、幹川流路延長約70kmの河川です。 |
播磨灘にそそぐ揖保川 |
河川概要 |
| ○拡大図 |
2.地域の中の揖保川 |
"古くから舟運による経済交流が生まれ、地場産業が発達した経緯や、住民による治水(畳堤)など地域社会との繋がりが大きい河川です。下流では「揖保川河川防災ステーション」が設置されており、平常時は住民との交流の場として利用されています。" |
清流がはぐくむ地場産業 揖保川は豊かな清流により流域をうるおし、数々の産業を育てています。 中でも特筆すべきものには「素麺(そうめん)」と「醤油(しょうゆ)」があります。 品質の良い播州小麦、赤穂(あこう)の塩、それに揖保川がもたらす伏流水。さらに瀬戸内海性気候の雨の少ない風土は、素麺づくりの条件を総て備えています。 これら地場産業を育てたものに揖保川の舟運がありました。赤穂からの塩など材料の搬入や製品を大阪、京都などの大消費地へ送り出すのにも舟運は大きな役割を果たしました。
この畳堤は当初はコンクリートの壁で洪水を防ぐこととしていましたが、「普段、揖保川の景観が見えるようにしてほしい」という住民からの強い要望によりコンクリートの枠だけをつくり、洪水時には各家庭から畳を供出してはめ込むことで氾濫を防ぐという、全国でも珍しい堤防です。最近は洋間の増加などで、家庭の畳も少なくなったり寸法が合わなくなってきたいるため、龍野市では防災倉庫に畳を備蓄するなどして防災に備えています。
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3.揖保川の自然環境 |
"河口部に干潟がひろがりトビハゼや貴重な植生が多数見られます。また全国ワースト3の水質が浄化事業等により清流としてよみがえり、40年ぶりに鮎の遡上が見られました。" |
貴重な干潟、よみがえる清流 |
揖保川の河口部周辺ではフクド、アイアシ、ナガミノオニシバなどの貴重な植物が多く見られます。これらは感潮域の泥湿地(干潟)という全国でも減少が危惧されている環境で、優先する植物そのものが絶滅危惧種であり揖保川の自然を特徴づける存在だけでなく、近畿でも有数の規模と特異性をもつ塩沼(えんしょう)植物群落群として極めて重要なものです。このような環境によりミサゴ(貴重種)などの鳥類、トビハゼ、イドミミズハゼ(以上、貴重種)などの魚類がエサ場などに利用しているほか、多くの昆虫、底生動物が生息しています。 かつて揖保川下流の水質は全国でもワースト3にも入る汚れのひどい川でしたが、「清流ルネッサンス21」と名付けられた浄化事業と下水道整備などにより劇的に改善し、近畿でも有数の清流を取り戻しました。 揖保川はアユ釣りのメッカとして全国的にも知られ、上流部では30cmを越える「尺アユ」が釣り上げられています。下流部の水質改善により平成9年には約40年ぶりに天然アユの遡上が確認されました。 |
4.揖保川の主な災害 |
播磨の暴れ川
以後、江戸期を通じて主に河口周辺の甚大な洪水被害が記録されています。 近代、明治から大正期における揖保川の水害は、記録に残るものだけで20回に及びます。その中で明治25年7月23日の水害では、下流部一帯に被害が集中し、最大の浸水深が約3mにも達したと記録されており、死者6名、被害家屋10,793戸に及ぶ大被害でした。
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
揖保川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/29 07:31 UTC 版)
揖保川(いぼがわ)は、兵庫県の南西部を流れる一級水系の本流である。加古川・市川・夢前川・千種川と並び播磨五川と呼ばれている。流域面積は播磨五川のうち加古川に次ぐ広さ。
- ^ “下水道” (PDF). 市政の概要 平成27年版. 姫路市. 2015年10月7日閲覧。
- ^ a b c “日本の川 - 近畿 - 揖保川 - 国土交通省水管理・国土保全局”. www.mlit.go.jp. 2019年9月7日閲覧。
- ^ a b c “しそうSNS・E-宍粟::宍粟の地名(由来) - 地名の由来「揖保川」 その1 地名”. しそうSNS・E-宍粟. 2019年9月7日閲覧。
- ^ 三階校舎ひとのみ 救助隊、手つけられず『朝日新聞』1976年(昭和51年)9月14日朝刊、13版、23面
- ^ 揖保川水系の流域及び河川の概要(案)2.2 河川の自然環境 p6-p9 国土交通省河川局 2007年1月19日、2021年3月4日閲覧
- ^ 久後地平、兵庫県生物学会編、「揖保川の水生昆虫」『兵庫県生物学会65周年記念誌 豊かな兵庫の自然力 - 生物の多様性と人々の営み -』、神戸新聞総合出版センター、2011年、98-99頁
- ^ http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?centerLat=35.32598012806091¢erLon=134.51094210147858&zoomLevel=18&did=std
- ^ 宍粟50名山 氷ノ山(三ノ丸)(ひょうのせん さんのまる) しそうツーリズムガイド 兵庫県宍粟市・しそう森林王国観光協会
- ^ ひょうごの川自然環境アトラスWEB版 揖保川水系編 p.5 兵庫県土整備部土木局河川計画室 2009年 底生生物とあるが、ここにある種はすべて昆虫である。
- ^ 猪名川の水質改善幅が4年連続で全国第1位~令和2年近畿地方一級河川の水質現況を公表~ (PDF) 国土交通省 近畿地方整備局
- ^ 河口洋一, 三橋弘宗, 田中哲夫, 三橋亜紀「兵庫県周辺地域におけるイワナの潜在生息域の推定」『国際景観生態学会日本支部会報』第6巻第3号、日本景観生態学会、2001年、122(p.119-122)、doi:10.5738/jale.6.119、ISSN 1345-532X、NAID 130004174924。
- ^ 兵庫県版レッドリスト2017(哺乳類・爬虫類・両生類・魚類・クモ類)23 ニッコウイワナ (PDF) 兵庫県 農政環境部 環境創造局 自然環境課
- ^ ひょうごの川自然環境アトラスWEB版 揖保川水系編 兵庫県県土整備部土木局河川計画室発行 兵庫県立人と自然の博物館監修 2009年3月。一方で河口らの論文で当川同様イワナの放流個体が捕獲されたとある市川では、ひょうごの川自然環境アトラスでは生息する種のリストに入っていない https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks13/documents/ichikawa-hon.pdf
- ^ ついに釣り上げた,揖保川でアリゲーターガー捕獲 神戸新聞NEXT(2017年5月11日)2017年5月12日閲覧
揖保川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/11 14:39 UTC 版)
当初は、コンクリートの堤防を嵩上げする計画があったが、昭和22年に地域住民より景観上の問題提起があり、調整を行った結果、畳堤の採用を行った経緯がある。関西自然に親しむ風景100選にも選ばれている。
※この「揖保川」の解説は、「畳堤」の解説の一部です。
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