九頭竜川とは? わかりやすく解説

くずりゅう‐がわ〔クヅリユウがは〕【九頭竜川】

読み方:くずりゅうがわ

福井県北部流れる川。源を岐阜県境の油坂峠付近に発し坂井市日本海に注ぐ。長さ116キロ上流には九頭竜峡などがあり、また鉛・亜鉛森林などの資源が豊富。


九頭竜川

伝説生きている青き川
九頭竜川は、福井県岐阜県境の油坂峠標高717m)に発し九頭竜峡谷を経て大野盆地北流し大野市勝山市との境付近で左支川真名川合わせ永平寺町鳴鹿にて福井平野入り、そこから西流します。そして、福井市高屋において左支川日野川合流し流れ北西転じ三国町日本海注いでます。途中支川合わせる流域面積2,930.0km2流路延長116.0kmの北陸地方屈指の大河となります

九頭竜川・日野川に囲まれた福井市街地
九頭竜川・日野川囲まれ福井市街地

河川概要
水系九頭竜川水系
河川名九頭竜川
幹川流路延長116.0km
流域面積2,930.0km2
流域内人666,225
流域関係都県福井県岐阜県

九頭竜川流域図
○拡大図
1.九頭竜川の歴史
"九頭竜川は北陸地方屈指の大河川であるとともに、この地域代表する母なる川」として縄文弥生時代から現代まで人々の生活密接な関わり持ち親しまれています。"

 
九頭竜川流域は、本州日本海側のほぼ中央にあり、福井県嶺北地方位置してます。流域主流である九頭竜川は幹川流路延長116kmを有し北陸地方屈指の大河川であるとともに、この地域代表する母なる川」として古くから人々の生活密接な関わり持ち親しまれきました
恐竜の足跡の化石(勝山市)
恐竜の足跡化石勝山市
九頭竜川がもたらす、みのり豊かな自然環境の中で生活していた古代人足跡は、出土した縄文・弥生時代土器石器あるいはそして古墳など様々な遺跡として、今に伝えられています。珍しいものとしては、昭和57年勝山市北谷町杉山の手層群で、約1億2千年前の恐竜化石発見されたことが挙げられます。この地は大和京の都近く北陸玄関口であったため、都の影響を受けつつも、風土調和した文化育み、人を育て歴史刻んできました

また、九頭竜川は交通路としても利用され山間部物資下流部さらには河口三国湊集積され東北蝦夷北海道)、あるいは大坂などにも運ばれました。一方東北蝦夷大坂などから物資三国湊集まり、川を上って方々越前の里へと運ばれました。こうして、流域の町やは川を軸に深い結びつきを持つようになり、遠く地域とも関わり持ち文化交流なされるようになっていきました
紫式部の像(武生市)
紫式部の像(武生市
そして、流域からは娘時代武生過ごした紫式部などを輩出する一方近松門左衛門松尾芭蕉など多く文人歌人がこの地を訪れ、この地方文化全国広めていったのです。
このように流域内には九頭竜川、日野川足羽川三大河川はじめとする河川人々との関わりを示す歴史文化などが、様々な形態で川にまつわる文化遺産として残されています。
2.地域の中の九頭竜川
"九頭竜川の豊かで良質なは、コシヒカリ代表される福井平野米作り利用され、またお盆時期になると河原では精霊迎え灯籠流しといった信仰行事が行われ、地域社会と密接につながってます。"


灯籠流し (永平寺町 九頭竜川河原)
灯籠流し (永平寺町 九頭竜川河原
永平寺町の九頭竜川河原武生市では、毎年お盆祖先の霊を迎えて供養し幾日家族とともに過ごすものとして精霊迎え行いお盆過ぎればお送りするという信仰行事が行われます精霊迎えには、川を通ってこの世へ来る霊もあり、川端出て祖先の霊を迎えたり、山に行って祖霊を背に乗り移し、家の盆棚なり仏壇にこれを迎え入れたります。そして、精霊送りには、灯籠流し精霊舟流し行って祖霊死者の世界送り返します
また、九頭竜川の名前の由来一つ伝えられている黒龍大明神伝説や、真名川名前の由来になった真名姫の伝説などの、流域河川まつわる民話伝説数多く残ってます。

毛谷黒龍神社 (福井市毛谷)舟橋黒龍神社 (福井市舟橋)
毛谷黒龍神社 (福井市毛谷舟橋黒龍神社 (福井市舟橋


真名姫立像(大野市)
真名立像大野市
そして、干ばつ苦し人々雨乞い祭りや、また、大雨の時は川が氾濫し被害出ないように、が止むよう祈りをこめて伏せが行われていましたこのように、九頭竜川流域には、禊ぎ水神祭りや雨乞い祭りなどや川・まつわる祭り数多く伝承されています。

福井が生んだ「コシヒカリ」
福井生んだコシヒカリ
また、九頭竜川の豊かで良質なコシヒカリ代表される福井平野米作りに、伏流した地下水豆腐、そば、地酒醤油作りにと、密接に地域社会つながってます。
こうした事から、九頭竜川は古くから現在に至るまで地域社会人々精神社会物質社会において非常に大切な役割担ってます。
3.九頭竜川の自然環境
"九頭竜川の中流域は、「アラレガコ生息地」として天然記念物の指定受けてます。絶滅危惧種希少種危急種多く見られこうした事からも九頭竜川が豊かな自然に溢れている事がうかがえます。"

九頭竜川流域平成6年度に行われた植生調査結果によると、101科638種の植物植生し、河川敷代表的な植物種としては、上流部水際ではツルヨシ・タチヤナギ・カワヤナギがみられ、下流部水辺ではヨシ・ヒメガマ・マコモ、高水敷ではオギ・ススキ・ヨモギ・チガヤなどがあげられます。
確認され特定種としては、絶滅危惧種フジバカマ危急種のタコノアシ・ツクシガヤ・ミクリ・キンガヤツリ・ミズネコノオです。
動物環境では、平成5年度に行われた調査で、1434122種の鳥類確認されました。
代表的な鳥類としては、冬季カモ類・カイツブリ類・カモメ類などが水面利用してます。また、ガン類・ワシタカ類が採食地・休息地として中州高水敷利用してます。
確認され特定種としては、国指定天然記念物でかつ希少種のコクガン・マガン・ヒシクイの3種希少種のチュウサギ・コハクチョウ・オシドリ・コアジサシ・オオジシギの5種、危急種としては、カンムリカイツブリ・チュウヒ・ミサゴ・オオタカの4種で、このうちオオタカ絶滅指定種です。
獣類水生ほ乳類モグラ目コウモリ目およびネズミ目のうち、ネズミ科を除くと1118種の分布確認されています。
昆虫類平成9年水辺国勢調査で、2綱17231科1,578種が確認され春季および夏季にはコウチュウ目秋季にはチョウ目占め割合高くなります
九頭竜川・日野川足羽川など九頭竜川流域生息する魚種は、平成5年度の調査では58種が確認されました。
上流域には、イワナアマゴニジマスアユアブラハヤアジメドジョウカジカなどが生息しており、中流域には、フナヤツメ、カワヤツメアユタビラヤリタナゴニゴイカマツカシマドジョウヨシノボリカマキリカジカなどが生息してます。カマキリ福井では「アラレガコ」と呼ばれ、九頭竜川中流域代表種であり、カジカ科属する頭の大きハゼ似た底生魚です。九頭竜川の大野市花房町から福井市舟橋新までの区間は「アラレガコ生息地」として天然記念物の指定受けてます。


アラレガコ
アラレガコ

下流域には、カワヤツメナマズニゴイヒガイなどのほか、ボラスズキヌマガレイコノシロなどの汽水性の魚類がみられ種類も豊富です。
このように多く動植物豊かな九頭竜川の恩恵受けて生命育んでます。
4.九頭竜川の主な災害

発生発生原因被害状況
昭和28年9月23日25日台風13号前線ともなった台風13号による暴風雨で、九頭竜川流域日野川及び嶺南地方南川北川大災害となり、4市7町38災害救助法発動された。日野川では各所破堤越水したが特に日野川右岸三郎丸地先破堤によって福井市西北部一部泥海化した
昭和36年9月14日16日台風18号第二室戸台風台風18号)によって、水源山間部豪雨見舞われ、九頭竜川本川下流布施田および中角日野川深谷計画高水位越え大洪水となった福井敦賀では明治30年以来最低気圧観測し台風接近時の強風によっても大きな被害発生した
流失損壊家屋125棟、床上浸水家屋1740棟、床下浸水家屋2621棟。
平成10年9月22日台風7号台風7号による豪雨朝日町織田町宮崎村で、46棟が床上浸水し、60棟が床下浸水被害受けた日野川深谷地点警戒水位越えた天王川越水した。

(注:この情報2008年2月現在のものです)

九頭竜川

読み方:クズリュウガワ(kuzuryuugawa)

所在 埼玉県

水系 荒川(東京都埼玉県)水系

等級 1級


九頭竜川

読み方:クズリュウガワ(kuzuryuugawa)

所在 福井県

水系 九頭竜川水系

等級 1級


九頭竜川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/06 02:54 UTC 版)

九頭竜川(くずりゅうがわ)は、日本福井県嶺北地方を流れる一級河川。九頭竜川水系の本流。流域面積2,930km2は福井県の面積の約70%にあたり、県のシンボルの一つとされている[1]


  1. ^ 福井ふるさと百景 命を育む母なる大河 九頭竜川 (PDF) - 福井県
  2. ^ 九頭竜川の名の由来”. www.kkr.mlit.go.jp. 2019年9月6日閲覧。
  3. ^ 「福井県の九頭竜川(くずりゅうがわ)について、九頭竜にまつわる神話、民話、伝説にはどんなものがあるのか。九つの頭にそれぞれ何か意味があるのか、宗教との関わりなども含めて知りたい。」(福井県立図書館) - レファレンス協同データベース
  4. ^ a b c d e 知ってる?有名な日本酒の名前の由来”. @DIME (2022年2月23日). 2022年7月24日閲覧。
  5. ^ a b 福井の銘酒「黒龍」の蔵を訪ねる1”. All About (2006年8月11日). 2022年7月24日閲覧。
  6. ^ a b 【20歳以上限定】日本酒ブランド「黒龍」、食と酒を楽しむ大人の観光施設「ESHIKOTO」を福井にオープン!”. マイナビニュース (2022年6月9日). 2022年7月24日閲覧。
  7. ^ 3度の災禍を乗り越えた「不死鳥の街」”. ナショナルジオグラフィック日本版 (2019年5月29日). 2022年1月13日閲覧。
  8. ^ あの駅には何がある? (37) 災禍頻発でも不屈の精神、福井市の中心軸は福井城 - 福井駅(前編)”. マイナビニュース (2021年5月3日). 2022年1月13日閲覧。
  9. ^ 「北陸三県に豪雨禍」『朝日新聞』昭和23年7月26日.2面
  10. ^ 「福井・岐阜にも豪雨禍 真名川などはんらん」『日本経済新聞』昭和40年9月16日夕刊,7面
  11. ^ 競艇沿革史 武生三国モーターボート競走施行組合”. 日本財団図書館. 2020年10月7日閲覧。
  12. ^ “石原慎太郎氏25年ぶり作詞 五木ひろしが作曲&歌唱”. スポーツニッポン. (2016年2月15日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/02/15/kiji/K20160215012044570.html 2022年7月24日閲覧。 
  13. ^ “五木ひろし、石原慎太郎氏作詞の新曲「思い出の川」を披露”. サンケイスポーツ. (2016年4月12日). https://www.sanspo.com/article/20160412-GIFCLHYNQJLEZOZ7R2XCZYGYNE/ 2022年7月24日閲覧。 
  14. ^ “嵐が大トリ、紅組トリは石川さゆり 紅白曲順発表”. 日刊スポーツ. (2016年12月25日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/1756574.html 2022年7月24日閲覧。 
  15. ^ 石川さゆりが“毎年違う”「天城越え」アピール、坂本冬美は姪っ子との秘話明かす”. 音楽ナタリー (2016年12月29日). 2022年7月24日閲覧。
  16. ^ “福井)五木ひろしさん「九頭竜川」歌碑 大野市に建立”. 朝日新聞デジタル. (2018年10月11日). https://www.asahi.com/articles/ASL9X7347L9XPGJB00S.html 2022年7月24日閲覧。 



九頭龍川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/03 22:55 UTC 版)

九頭龍川(くずりゅうがわ)は、埼玉県東松山市を流れる荒川水系の一級河川


  1. ^ 埼玉県地域防災計画 資料編:第3編(風水害編) (PDF) p. 501(p. 19) - 埼玉県 .(2016年3月)、2016年6月13日閲覧。
  2. ^ 荒川水系 荒川中流右岸ブロック河川整備計画 (県管理区間) (PDF) p. 20 - 埼玉県 .(2006年2月)、2016年6月13日閲覧。
  3. ^ 河川の堤防 - 近世以前の土木・産業遺産、2016年6月13日閲覧。
  4. ^ 和田吉野川 - 和田川の合流から相上堤まで - 有限会社フカダソフト(気まぐれ旅写真館)、2016年6月13日閲覧。
  5. ^ 熊谷市指定無形民俗文化財 相上神楽 - 熊谷市立江南文化財センター(熊谷デジタルミュージアム)、2016年6月13日閲覧。


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