松浦川

日本の川

松浦川

豊かな自然・人と調和した　松浦川

松浦川は、その源を佐賀県杵島郡山内町青螺山に発し、山地部を縫って幾多の支川を合わせて北流し、相知町で東松浦東部の山岳地帯から流れ出た厳木川を合流し、唐津平野に出て半田川さらに河口部において町田川を加え玄界灘に注ぐ、幹川流路延長47ｋｍ、流域面積446km2の一級河川です。

唐津市を中心を流れる松浦川

河川概要

水系名 松浦川水系 河川名 松浦川 幹川流路延長 47km 流域面積 446km2 流域内人口 97,818人 流域関係都県 佐賀県

○拡大図

１．松浦川の歴史

"水と土の神様成富兵庫茂安が造った桃の川水路では、上流部で井堰を造り水位を上げて水路に取水し、戸立てと呼ばれる水量を分けるシステムを用いて、地域に配分します。また、水路と本川が交差させるために、サイホンの原理を利用した木製の水路である”馬の頭サイホン”が用いられました。現在、戸立てや馬の頭サイホンはコンクリートで作り直されていますが、なおも活躍しています。"

松浦川の歴史と先人の知恵

・馬の頭サイホン 馬の頭サイホンの流入口 松浦川は渓流をなしていて、土地の方が川より高いため、その周辺では耕地に揚水することが困難であり、稲作が出来ずにいました。そこで、江戸時代に水と土の神様と呼ばれていた成富兵庫茂安(なりとみひょうごしげやす)は桃の川の水路を造りました。桃の川水路では、上流部で井堰を造り水位を上げて水路に取水し、戸立てと呼ばれる水量を分けるシステムを用いて、地域に配分します。そこで、水路と本川が交わってしまうので考えられたのが、馬の頭サイホンです。これは、サイホンの原理を利用した木製の水路です。これを用いることにより、本川より高いところに水を配分することが出来るようになりました。現在、戸立てや馬の頭サイホンはコンクリートで作り直されていますが、今もなお活躍しています。 ・井堰 大黒井堰 土地より河川が低い松浦川には、土地利用のための井堰が数多く点在しています。その中でも灌漑用の堰である大黒井堰(だいこくいぜき)があります。これは、1595年に当時の唐津藩主寺沢志摩守(てらさわしまもり)が田代可休(たしろかきゅう)に命じて建造された構造物です。この工事は工事中に何度も堰が流される難工事であったが、川の中に中島を作って水流を二分し、一方に導水口を設けると大水の害を避けることで無事に完成に至ったと言われています。なお、現在でも当時の姿をとどめています。

２．地域の中の松浦川

"アザメの瀬は、川の氾濫を許容し、かつての湿地的環境を再生させることを目的とし自然再生事業に着手しました。 単に失われた湿地を自然をとり戻すのではなく、川や湿地が人々の暮らしの中に生き生きとよみがえってくるような、自然と人間の「共生」を目指します。"

地域に根付く松浦川 ・過去の主な改修 塩水の逆流防止のための松浦大堰（3.0km付近）、厳木川の水を調整する厳木ダム（14.6km付近）、川の蛇行部をショートカットし洪水の軽減を図った駒鳴捷水路(こまなきしょうすいろ)（20.4km）の事業が行われた。 松浦大堰 厳木ダム 駒鳴捷水路 ・水辺の楽校 桃の川親水公園利用状況 カッパの里利用状況 松浦川の流域には、親水公園等川にふれることの出来る場所が多くあります。その中でも伊万里市(いまりし)にある桃の川親水公園は、治水安全度の向上と併せて、松浦川の豊かな自然環境の保全・再生・創出をはかる事業になっています。例えば、豊かな生物環境を創出する「自然環境ゾーン」、イベントやレクリエーション利用が図れる「活動ゾーン」とに分け一般の方にとって幅広く利用がなされるように配慮し、流域住民が河川に親しみやすい公園となっています。また、北波多村(きたはたむら)にあるカッパの里では、徳須恵川のオープンスペースとして河川空間を活用し、カヌーおよび手作りイカダ体験により河川と親しめる施設となっています。 ・流域住民の利用状況 町切(ちょうぎり)三連水車の取替やきゅうらぎ川あゆまつりなど住民が参加するイベントが行われています。

３．松浦川の自然環境

"松浦川は、下流部が松浦大堰による湛水域となり、開放水面と単調な河川敷植生が特徴的になっています。徳須恵川、厳木川の支川を含めた中上流域では、早瀬や淵が連続する自然の河川環境が今も残る河川です。河川敷は、メダケやオギ群落で占められることが多く、中上流域にかけてはツルヨシやオオタチヤナギ群落が多くなり、魚類では、清流で生息するアユやメダカが全川で確認されます。　"

・アザメの再生事業 アザメの瀬再生事業 松浦川ではアザメの再生（自然再生事業）が計画されています。近年河川沿いの氾濫原的な湿地が、圃場整備や河川改修によって減少し、これにより氾濫源的湿地に依存する魚類の減少に伴いそれらの生物と接する機会が減少してきました。そこで、アザメ地区では自然再生事業に着手し、現地地盤を掘り下げ、平常時には湿地的環境が維持され、出水時には流水する環境を進めています。今後、コイ・フナ・ドジョウなどの魚類の産卵場・生息場となっていきます。そして、地域住民と生物が実際ふれ合う触れ合いの場として利用されていきます。 ・自然環境の特徴 カワセミ キバチ 松浦川の河口には玄海国定公園があり、虹の松原(にじのまつばら)や鏡山(かがみやま)等の自然豊かな地域が点在しています。また、河口域は川幅が広く、干潟が露出する場所であり、渡鳥の越冬地になっているほか、カワセミ・ミサゴなどの貴重鳥類も見られます。中流はのどかな田園風景が広がり、水際にはヨシ群落やツルヨシ群落が見られます。上流は黒髪山(くろかみやま)、八幡岳(はちまんだけ)、天山(てんざん)など緑豊かな自然公園に囲まれ、川は蛇行し瀬や淵が形成されており、河床には岩盤が露出しています。 徳須恵川(とくすえかわ)の下流は、穏やかな流れで川沿いには水田が広がり、中流・上流域では山地が川べりにまで迫っており、メダケ林が群生しています。厳木川(きゅうらぎかわ)では貴重な魚の九州産ギバチが確認されています。また、アユや鮭の遡上も見ることができ、綺麗な川だと言えます。

４．松浦川の主な災害

発生日 発生原因 被災市町村 被害状況 昭和28年6月 梅雨前線 唐津市、東松浦郡、西松浦郡 死者41名、 浸水家屋30,537戸 昭和42年7月 梅雨前線 唐津市、伊万里市、東松浦郡、西松浦郡 死者19名、 浸水家屋9,335戸、 浸水面積1,451ha 昭和47年7月 梅雨前線 唐津市、伊万里市、東松浦郡、西松浦郡 死者2名、 浸水家屋2,913戸 昭和55年8月 梅雨前線 唐津市、伊万里市、東松浦郡、西松浦郡 死者1名、 浸水家屋771戸、 浸水面積1,262ha 平成2年7月 梅雨前線 唐津市、伊万里市、東松浦郡、西松浦郡 浸水家屋480戸、 浸水面積1,145ha

（注：この情報は2008年2月現在のものです）

河川・湖沼名辞典

松浦川

読み方：マツウラガワ（ｍａｔｓｕｕｒａｇａｗａ）

所在 佐賀県

水系 松浦川水系

等級 1級

ウィキペディア

松浦川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2024/01/05 23:10 UTC 版)

松浦川（まつうらがわ）は、佐賀県北部を流れる松浦川水系の本流で一級河川。