北海道開発局
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北海道開発局(ほっかいどうかいはつきょく、英語: Hokkaido Regional Development Bureau)は、国土交通省の地方支分部局。
- 1 北海道開発局とは
- 2 北海道開発局の概要
北海道開発局
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北海道開発局管内では直轄ダムが運用中18基、施工中2基、再生・再開発事業中4基の計24ダムを管理・施工している。北海道開発局は国土交通省の地方支分部局として国土交通省の発足時に統合されたが、農林水産省の地方農政局機能も担当している。このため土地改良法に基づく国営農業水利事業によって建設された大夕張ダムと川端ダム(夕張川)も直轄管理しているが、両ダムは農林水産省直轄ダムとしての扱いを受け、国土交通省直轄ダムには該当しない。 北海道は1950年(昭和25年)5月に北海道開発法が施行され、同法に基づき北海道開発庁(1950年6月)と北海道開発局(1951年7月)が設立。以後数次にわたる北海道総合開発計画に沿って河川総合開発事業を展開していた。1952年(昭和27年)からの第一次北海道総合開発計画において道内最大の河川・石狩川水系の河川総合開発事業が初めて盛り込まれ、利水目的の事業として雨竜川の鷹泊ダムが1953年(昭和28年)に完成するが、治水目的として計画されたのが三笠市を流れる幾春別(いくしゅんべつ)川の桂沢ダムと、空知川支流芦別川の芦別ダムである。電源開発などとの共同事業で計画された両ダムは、双方をトンネル導水路で連結して治水のほか上水道供給、灌漑、水力発電を目的とし、1957年(昭和32年)に道内初の直轄ダムとして完成した。 以後石狩川水系の河川開発は石狩川改修全体計画(1953年)、石狩川水系工事実施基本計画(1965年)に基づいて進められ金山ダム(空知川)、大雪ダム(石狩川)、漁川ダム(漁川)が建設されたほか、札幌冬季オリンピック開催を控え人口の増加が顕著となった札幌市の治水安全度と上水道供給向上を図るため豊平川流域の総合開発も計画され、豊平峡ダム(豊平川)が建設された。しかし1981年(昭和56年)の台風14号と寒冷前線による豪雨は石狩川流域で過去最悪となる大洪水を引き起こし、治水計画は根本からの見直しが図られた。この結果、全ての主要支流においてダム計画が立案され、定山渓ダム(小樽内川)、滝里ダム(空知川)、忠別ダム(忠別川)、夕張シューパロダム(夕張川)が完成、新桂沢ダム(幾春別川)、三笠ぽんべつダム(奔別川)が計画・施工されている。このうち夕張シューパロダムは大夕張ダム、新桂沢ダムは桂沢ダムのダム再開発事業として施工されており、夕張シューパロダムは北海道最大規模のダムとして2015年(平成27年)完成した。ただし夕張シューパロダム完成に伴い大夕張ダムは水没し、桂沢ダムも新桂沢ダムが完成すれば水没する運命である。 石狩川以外では日本第4の大河である天塩川水系で本流に岩尾内ダムが1971年(昭和46年)に、支流名寄川流域にはサンルダム(サンル川)が2019年(平成31年)にそれぞれ完成。十勝川水系では電源開発による十勝糠平系電源一貫開発計画により糠平ダム(音更川)などの水力発電事業が先行していたが、1962年(昭和37年)の大水害を契機に十勝川水系の総合開発計画が実施され、本流に十勝ダム、支流札内川に札内川ダムが完成したほか、十勝川中流部の洪水流下阻害要因となっていた千代田堰堤地点の流下能力強化を図るため放水路である千代田新水路と、水路の水位調節を図る千代田分流堰が2006年(平成18年)に完成した。またオホーツク海に注ぐ常呂川では北見市などの治水安全度と上水道供給向上を目的に鹿ノ子ダム(常呂川)が、日高では沙流川流域に二風谷ダム(沙流川)、清流として知られる後志利別川には美利河ダムがそれぞれ完成している。留萌川水系では1988年(昭和63年)の洪水で留萌市全世帯の4分の1が浸水した大水害を契機にダム計画が進められ、支流のチバベリ川に留萌ダムが完成している。 施工中のダムとして石狩川水系では新桂沢、三笠ぽんべつの2ダム、沙流川では支流の額平川に平取ダムがあるが、国土交通省によるダム事業再検証の対象となりその後事業が再開になった経緯がある。石狩川水系で最初に河川総合開発に着手しながら治水目的を有するダムが存在しなかった雨竜川流域においても、2000年以降頻発する水害に備えるため北海道電力が管理する雨竜第一ダム(雨竜川)と雨竜第二ダム(ウツナイ川)に治水目的を付加する雨竜川ダム再生事業が2018年(平成30年)より事業が着手された。具体的には雨竜第一ダムでは貯水池である朱鞠内湖の容量配分を変更し治水容量を新設、雨竜第二ダムでは2.4メートルダム本体をかさ上げして貯水池である宇津内湖の容量を増やし、増加分を治水容量に充てるというものである。 ダム事業に対する地元との摩擦については二風谷ダムにおいて萱野茂と貝沢正が起こしたダム建設差し止め訴訟が知られる。ダム建設差し止め自体は却下されたがアイヌ民族の先住性が裁判で認められ、1997年(平成9年)には差別的法律であった北海道旧土人保護法の廃止とアイヌ文化振興法の制定につながった。なお、北海道開発局が管轄する一級河川のうち渚滑川、湧別川、網走川、釧路川、鵡川、尻別川の各水系には直轄ダムが建設されておらず、このうち渚滑川と釧路川は本支流の何れにもダムが全く建設されていない。 水系河川ダム型式高さ総貯水容量着工完成分類水特法備考石狩川 芦別川 芦別ダム 重力 22.8 1,598 1947 1957 石狩川 漁川 漁川ダム ロックフィル 45.5 15,300 1971 1980 特定 天塩川 天塩川 岩尾内ダム 重力 58.0 107,700 1963 1970 特定 石狩川 雨竜川 雨竜第一ダム 重力 45.5 244,700 1939 1943 再生事業中 石狩川 ウツナイ川 雨竜第二ダム 重力 35.7 21,600 1939 1943 再生事業中 石狩川 幾春別川 桂沢ダム 重力 63.6 92,700 1947 1957 再開発中 石狩川 空知川 金山ダム 中空重力 57.3 150,450 1959 1967 特定 ダム湖百選 常呂川 常呂川 鹿ノ子ダム 重力 55.5 39,800 1972 1983 特定 十勝川 札内川 札内川ダム 重力 114.0 54,000 1981 1998 特定 天塩川 サンル川 サンルダム 台形CSG 46.0 57,200 1988 2019 特定 石狩川 小樽内川 定山渓ダム 重力 117.5 82,300 1974 1989 特定 石狩川 幾春別川 新桂沢ダム 重力 75.5 147,300 1985 2023 特定 桂沢ダム再開発 石狩川 石狩川 大雪ダム ロックフィル 86.5 66,000 1965 1975 特定 石狩川 空知川 滝里ダム 重力 50.0 108,000 1979 1999 特定 9条等指定 石狩川 忠別川 忠別ダム 複合 86.0 93,000 1977 2006 特定 指定 十勝川 千代田新水路 千代田分流堰 堰 - - 1995 2006 十勝川 十勝川 十勝ダム ロックフィル 84.3 112,000 1970 1984 特定 沙流川 沙流川 二風谷ダム 重力 32.0 31,500 1973 1997 特定 指定 沙流川 額平川 平取ダム 重力 56.5 45,800 1973 2021 特定 指定 後志利別川 後志利別川 美利河ダム 複合 40.0 18,000 1975 1991 特定 指定 石狩川 豊平川 豊平峡ダム アーチ 102.5 47,100 1965 1972 特定 ダム湖百選 石狩川 奔別川 三笠ぽんべつダム 台形CSG 53.0 8,620 1985 2030 治水 石狩川 夕張川 夕張シューパロダム 重力 110.6 427,000 1991 2015 兼用 9条等指定 大夕張ダム再開発 留萌川 チバベリ川 留萌ダム ロックフィル 41.2 23,300 1984 2009 特定
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