天塩川とは? わかりやすく解説

てしお‐がわ〔てしほがは〕【天塩川】

読み方:てしおがわ

北海道北部北見山地天塩岳に源を発し北流して天塩町日本海に注ぐ川。長さ256キロ日本第4位。


天塩川

拓けゆく大地のいぶきを伝え朔北大河天塩川
天塩川は、その源を北見山地天塩岳発し士別市及び名寄市剣淵川名寄川等の支川合流し山間平野流下して音威子府狭窄部を経て中川町至り、さらに天塩平野入って問寒別川等の支川合わせて天塩町において日本海に注ぐ、流域面積5,590km2流路延長256kmの一級河川です。

名寄市中心部を流れる天塩川
名寄市中心部流れる天塩川

河川概要
水系天塩川水系
河川名天塩川
幹川流路延長256km
流域面積5,590km2
流域内人94,000
流域関係都県北海道

天塩川流域図
○拡大図
1.天塩川の歴史
"天塩川の名前は、アイヌ語の「テッシ・オ・ペッ(・多い・川)」が語源であり、岩がのような形で川を横断していたという地形由来してます。また、天塩川流域探査し松浦武四郎出会った音威子府村川筋住んでいたアイヌ長老の話から、北海道という名が誕生しました。"

北の大河 天塩川と武四郎

天塩川流域に関する詳細な調査は、江戸幕府の命を受けた松浦武四郎最初で、幕末安政四年(1857年6月のことでした。

松浦武四郎像(天塩町鏡沼公園)
松浦武四郎
天塩町鏡沼公園
四郎の天塩川探査要した日数は、往復24日間。道らしい道はなく、終始川筋を舟でゆくほかなく、河口上流も、自然のままの状態でした。川は洪水などで絶えその様相が変わり流域ではアイヌ集落もまれで、行けども行けども人の背丈をこえる密林流木倒木の中、おびただしいやあぶに責め立てられるありさまでした。

四郎そんな中数百メートルごとに方位計り、距離と地形記録しました。墨しかない当時考えると、その帳面から守るだけでも大変な苦労だったことが想像できます。その調査記録要約刊行したものが「天塩日誌」です。「天塩日誌」は、それまで知られることのなかった蝦夷地最北端内陸部様子詳しく観察し川の流れ深さ川岸様子、自然や生き物アイヌ語地名とともに記してます。そこには、アイヌの人々の生活の様子とともに前人未踏の天塩川の自然を彷彿させます

北海道命名の地の碑(音威子府村)
北海道命名の地の碑(音威子府村
また武四郎その中で音威子府村川筋住んでいたアイヌの家に宿泊し、アエトモという長老から話を聞きホッカイドウという名の発想しました。武四郎アイヌ言葉を十分理解していましたが、「カイナー」(男の意、カイチーが女の意)という言葉不思議に思っていました。アエトモは「カイ」とはこの国に生まれた者、ナは敬語であると武四郎話し、武四郎はこれをもとに、「北加伊道」と命名しその後「加伊」を「海」にあて「北海道」という名が誕生しました音威子府村では「北海道命名の地」を宣言しており、天塩川の川辺には碑が建立されています。

恩根内テッシ(美深町)
恩根内テッシ(美深町
また、天塩川の名前は、アイヌ語の「テッシ・オ・ペッ」-を捕る仕掛け)・多い・川-が語源となっており、岩がのような形で川を横断していたという天塩川独特の地形由来してます。四郎は、「大岩両方より出来り、テッシの形に成たり、むかし鬼神作りしと云い、此川の惣名テッシホは此処より起りし名と言えり」と日記記載するなど、多く神話伝説残してます。このようにテッシは天塩川の特徴的な景観であり、豊かな河畔林など良好な自然環境形成されています。
2.地域の中の天塩川
"天塩川は、河口から約158kmもの区間横断工作物がなく、テッシや豊かな河畔林など良好な河川環境有していることからカヌーが盛んです。流域の市町村が一体となってカヌーイベント「ダウン・ザ・テッシ・オ・ペッ」が毎年開催され、全国から多数カヌー愛好者集まりにぎわい見せてます。"

天塩川下り日本最長カヌーツーリング>

ダウン・ザ・テッシ・オ・ペッ
■ダウン・ザ・テッシ・オ・ペッ
天塩川では、カヌーが盛んであり、全川にわたって各所にカヌーポートが整備されています。河口から約158kmにわたり堰等の横断工作物設置されていないことから、天塩川の上流から河口までカヌーで下る日本最大規模の「ダウン・ザ・テッシ・オ・ペッ」が平成4年度から毎年開催されています。その他各種のカヌーツーリングが開催され全国から多数カヌー愛好者集まりにぎわい見せてます。

美深アイランド
美深アイランド
また天塩川では、昭和9年以降本格的な治水事業開始され洪水被害軽減のために蛇行箇所切り替え洪水流れ良くする捷水路工事多数行われてます。これにより発生した旧川原始の天塩川の姿を物語貴重な水辺空間となっており、一部旧川では、水辺空間利用した公園整備進み人々憩いの場として活用されています。


チョウザメ
チョウザメ
天塩川中流部美深町に残る三日月湖美深アイランド呼ばれており、カヌー発着場美深町による「チョウザメ館」、道の駅美深アイランド」などの整備が行われ、多く人々賑わってます。チョウザメ館」では、かつて原始の天塩川をさかのぼっていたとされるチョウザメ三日月湖使って養殖し自然繁殖向けた研究活動が行われています。


天塩港シジミ祭り
天塩港シジミ祭り
上流岩尾内ダム湖では、湖畔でのキャンプ釣り湖面利用したレクリエーションなどに多く人々訪れてます。下流部においても、河口部旧川跡を利用しキャンプ場オートキャンプ場原生植物の散策道等の鏡沼海浜公園整備されており、多く人々交流憩いの場として利用されています。また天塩川及び鏡沼海浜公園舞台天塩港シジミまつりや、天塩川花火大会川下り等が開催され多く人々参加してます。
3.天塩川の自然環境
"日本最北大河天塩川は、その源を北見山地天塩岳発し北流しながらいくつかの狭窄部を抜け日本海注いでます。流域の上流部は天塩岳道立自然公園下流部利尻礼文サロベツ国立公園指定され、緑豊かな自然と動植物見られる河川として知られています。"

と緑が豊かに息づく天塩川

日本最北大河、天塩川はその源を北見山地天塩岳発し北流しながらいくつかの狭窄部を抜け日本海注いでます。流域の上流部は天塩岳道立自然公園下流部利尻礼文サロベツ国立公園指定され、緑豊かな自然と動植物見られる河川として知られています。南北長い天塩川には、中心の天塩川本流両側から多く支流合流し、まるでの羽のような形をしています。
オジロワシサケの産卵床(美深町)
オジロワシサケ産卵床美深町

また下流部には、北海道最北端広がる23,000haに及ぶ広大なサロベツ湿原があり、湿原内ではハマナスエゾスカシユリノハナショウブなど100種類以上にも及ぶ花が咲き乱れます。特に、6月から7月にかけて開花するエゾカンゾウ鮮やかな黄色見事な景色演出し多く観光客訪れてます。また特筆すべき種としては、ナガバノモウセンゴケトウキョウトガリネズミコモチカナヘビ等が生息・分布しています。湿原内にはペンケ沼、パンケ沼湖沼分布し水鳥の中継地としても重要です。パンケ沼本川下流の气水域では、ヤマトシジミが行われています。

サロベツ原野を上空から望むエゾカンゾウトウキョウトガリネズミ
サロベツ原野上空から望むエゾカンゾウトウキョウトガリネズミ

4.天塩川の主な災害


発生発生原因被災市町村被害状況
昭和48年8月台風前線 朝日町下川町
名寄市中川町
幌延町
家屋浸水 1,460
全半壊 6戸
農地被害12,775ha
昭和56年8月低気圧台風前線 剣淵町美深町
中川町天塩町
幌延町豊富町
家屋浸水 523
農地被害18,600ha


(注:この情報2008年2月現在のものです)

天塩川

読み方:テシオガワ(teshiogawa)

所在 北海道

水系 天塩川水系

等級 1級


天塩川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 08:31 UTC 版)

天塩川(てしおがわ)は、北海道北部の上川総合振興局留萌振興局宗谷総合振興局の各管内を流れ日本海に注ぐ一級河川。天塩川水系の本流である。北海道遺産環境省による日本の重要湿地500の指定地[1]


  1. ^ 「重要湿地」 No.008 天塩川環境省(2021年7月14日閲覧)
  2. ^ 士別市の天塩川第二頭首工まで。
  3. ^ a b 安間ほか(2005), p. 16.
  4. ^ a b 杉原.新目(2017), p. 4.
  5. ^ 凍った河川の秘密に迫る「北海道道 天塩川~"氷の一本道"の秘密~」NHK総合28日(水)後7:30『毎日新聞』朝刊2021年5月27日(北海道面テレビ番組紹介欄)
  6. ^ 迫力満点!音立て砕ける氷板 天塩川にも春、中川町民歓声”. 北海道新聞 (2018年3月31日). 2018年4月7日閲覧。
  7. ^ a b 北海道の地名, p. 137.
  8. ^ a b c アイヌ語地名リスト ツキサ~トヨコ P81-90P”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年11月24日閲覧。
  9. ^ a b 北海道の地名, p. 144.
  10. ^ 北海道庁『北海道名勝誌』(1911年)75-76頁
  11. ^ 島村英紀、森谷武男『北海道の地震』北海道大学図書刊行会、1994年、43頁。 
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am 天塩川水系河川整備計画(案) 3.附図』(PDF)(プレスリリース)北海道開発局https://www.hkd.mlit.go.jp/as/tisui/ho928l000000057x-att/ho928l00000005aa.pdf2017年10月10日閲覧 
  13. ^ a b c d e 藤井 郁夫. “f01北海道” (PDF). PDF版 橋の情報と資料. 中日本コンサルタント. 2017年10月14日閲覧。





天塩川と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「天塩川」の関連用語

天塩川のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



天塩川のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
国土交通省河川局国土交通省河川局
Copyright© 2024 MLIT Japan. All Rights Reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの天塩川 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS