中国地方整備局
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中国地方整備局(ちゅうごくちほうせいびきょく、英語:Chugoku Regional Development Bureau)は、国土交通省の地方支分部局である地方整備局の一つ。中国地方5県(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)を管轄する。港湾空港部については歴史的な経緯から下関市が九州地方整備局管轄となっているほか、鳥取自動車道の一部を新直轄方式で整備したため、兵庫県内の鳥取自動車道も中国地方整備局の管轄区域に含まれる。
注釈
出典
- ^ a b c d e f g 国土交通省中国地方整備局総務部. “中国地方整備局 沿革”. 2010年4月29日閲覧。
- ^ “鳥取自動車道(佐用本線料金所~鳥取IC) 鳥取河川国道事務所が管理します” (PDF). 国土交通省中国地方整備局鳥取河川国道事務所 (2010年3月26日). 2016年10月1日閲覧。
- ^ 地方整備局組織規則(平成13年国土交通省令第21号)別表第六、別表第七、別表第十、別表第十一、別表第十三
- ^ a b 地方整備局組織規則の一部を改正する省令(平成31年3月29日国土交通省令第21号)
- ^ a b 地方整備局組織規則の一部を改正する省令(令和2年3月31日国土交通省令第31号)
- ^ 地方整備局組織規則の一部を改正する省令(平成19年4月1日国土交通省令第52号)
- ^ 地方整備局組織規則の一部を改正する省令(平成21年3月31日国土交通省令第19号)
- ^ a b 地方整備局組織規則の一部を改正する省令(平成22年4月1日国土交通省令第23号)
- ^ 地方整備局組織規則の一部を改正する省令(平成23年3月31日国土交通省令第23号)
- ^ 地方整備局組織規則の一部を改正する省令(平成24年4月6日国土交通省令第46号)
- 1 中国地方整備局とは
- 2 中国地方整備局の概要
- 3 関連項目
中国地方整備局
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「国土交通省直轄ダム」の記事における「中国地方整備局」の解説
中国地方整備局管内では既設ダム・堰16基、再生事業中ダム2基を直轄管理・施工している。ただし河川法第17条の兼用工作物規定に基づき、坂根堰(吉井川)は農林水産省、および水道事業者の代理人である岡山県との共同事業として建設されている。 中国地方の河川総合開発は日本全国に先駆け山口県が、青森県とほぼ同時に開始した。県東部を流れる錦川に1940年(昭和15年)、日本最初の多目的ダムである向道ダムが本流上流部に建設され、続いて厚東川ダム(厚東川)や木屋川ダム(木屋川)が施工された。終戦後には岡山県も岡山三大河川の一つで県都・岡山市を貫流する旭川の総合開発に着手し、本流中流部に旭川ダムを建設した。1950年(昭和25年)の国土総合開発法施行による特定地域総合開発計画では大山出雲特定地域総合開発計画に基づき湯原ダム(旭川)が、錦川特定地域総合開発計画に基づき菅野ダム(錦川)が県営ダム事業として建設され、続いて佐波川水系、高梁川水系などでも佐波川ダム(佐波川)や河本ダム(西川)といった多目的ダムが建設されるなど、中国地方における初期の河川開発は地方自治体が積極的に進めていた。 一方、国直轄の河川総合開発は1947年(昭和22年)に内閣経済安定本部が中国地方最大の河川である江の川を調査対象河川に指定して、治水・灌漑・水力発電を目的とした多目的ダム群を建設する江の川総合開発計画を1949年(昭和24年)に策定したのが最初である。しかしこの計画は1952年(昭和27年)を以って打ち切られ、以後は河川改修を軸とした計画に縮小された(後述)。国直轄ダム事業が開始されたのは鳥取県西部を流れる日野川の支流・印賀川に1964年(昭和39年)より着手した菅沢ダムが初であり、日野川の治水や米子市周辺地域の灌漑、上水道供給を目的として1968年(昭和43年)に完成した。1964年の河川法改定で河川等級制度が導入され、中国地方では中国地方最大の都市・広島市を貫流する太田川水系が1965年(昭和40年)に一級河川の指定を受けたのを皮切りに、1968年の小瀬川水系まで13水系が一級河川の指定を受けた。一級河川指定に伴い各水系では水系全体の治水・利水事業計画である工事実施基本計画が旧建設省により定められ、多目的ダム事業もこの中で計画されたが、計画が加速するのは1972年(昭和47年)7月に発生した梅雨前線による集中豪雨・昭和47年7月豪雨による水害であった。この豪雨は島根県で斐伊川・宍道湖の氾濫により松江市中心部が1週間にわたり浸水被害を受けたほか、広島県では江の川の氾濫で三次市、太田川の氾濫で県北西部が洪水被害を受けるなど中国地方の主要河川の多くが氾濫し流域に大きな被害を与えた。 この豪雨災害を機に計画・施工されたダムとして尾原ダム(斐伊川)、志津見ダム(神戸川)、温井ダム(滝山川)、灰塚ダム(上下川)、島地川ダム(島地川)がある。このうち志津見ダムが建設された神戸川は計画策定当時は島根県が管理する二級河川であり、本来なら特定多目的ダムが建設されない河川であるが豪雨を機に計画された斐伊川放水路が斐伊川・神戸川間を連結するため両水系を一体化した治水事業を行う必要が生じ、沖縄県(後述)以外では唯一の例外として直轄ダムが計画された。一方で中国地方は広島市を始めとする都市部での人口急増、また水島臨海工業地帯を筆頭に瀬戸内海沿岸で工業地帯が続々誕生したことで水道需要が逼迫、こうした利水の観点からも特定多目的ダムを利用した河川開発が行われた。広島市の水がめとして江の川本流に土師(はじ)ダムが建設され、中国山地を貫くトンネルで江の川から太田川に導水された水は高瀬堰(太田川)を経由して広島市や呉市、さらに大きな河川が無く慢性的な水不足に悩まされる芸予諸島に送水された。また芦田川の八田原ダムと芦田川河口堰は福山市・福山臨海工業地帯、小瀬川の弥栄ダムは大竹市・岩国市の水がめとして機能している。 管内で計画・施工中のダムとしては旭川中上流部ダム再生事業がある。これは平成30年7月豪雨(西日本豪雨)による惨禍を機に旭川の治水安全度向上を図るため、岡山県が管理している旭川本流の既設2ダム、湯原ダムの貯水容量配分の変更と旭川ダムの放流施設増強が軸であり、県都岡山市などの治水安全度向上を目指す。国土交通省によるダム事業再検証の対象ダムは存在しない。しかしダム事業と移転住民の軋轢については苫田ダム(吉井川)と灰塚ダムで特に見られた。両ダムとも水没対象となる自治体・住民が官民一体となって激しい反対運動を繰り広げ、特に苫田ダムは1953年(昭和28年)に岡山県が吉井川総合開発事業として計画した吉岡ダム計画の後身として当初計画より上流の苫田郡奥津町(現在の苫田郡鏡野町)に計画されたが、1957年(昭和32年)に新聞報道でダム計画が知られると奥津町では激しい反対運動が勃発。1959年(昭和34年)には奥津町が苫田ダム阻止特別委員会条例を制定して移転を余儀なくされる470戸504世帯の住民と共にダム建設絶対反対を表明、1994年(平成6年)に条例が廃止され2001年(平成13年)に最後の地権者が補償に合意するまで計画構想発表から44年の歳月を費やした。また水源地域対策特別措置法(水特法)の指定対象外である温井ダムでは、移転住民達が建設省や下流受益地の広島県、広島市に対して山県郡加計町(現在の山県郡安芸太田町)当局と協力し対等な交渉を粘り強く行い、集団移転と地域活性化策の導入という要望を勝ち取った。この結果、温井ダムは広島県の主要な観光地に成長し、加計町の観光客数はダム完成後の2002年(平成14年)には前年比2.4倍、約50万人が訪問している。 なお、中国地方の一級河川において天神川、高津川、旭川、高梁川の各水系には直轄ダムが建設されておらず、このうち高津川水系には本支流を含めダムが一つも建設されていない。これは流域の水需要が他水系に比べ河川水のほか地下水などでも賄えるため逼迫しておらず、河川総合開発の必要性に乏しいためであり国土交通省が策定した高津川水系河川整備計画においても治水事業は堤防整備と河道掘削で対処すると明記され、ダム計画は将来的にも考えられていない。残る水系のうち天神川水系を除く河川では流域の地方自治体により旭川・湯原(旭川)、千屋(高梁川)などの補助多目的ダムが建設されている。中国地方の直轄ダムにおける技術的特徴としては、島地川ダム施工におけるRCD (Roller Compacted Dam-Concrete) 工法の導入が挙げられる。この工法は、セメント量を極力少なくした超固練りのコンクリートを、ブルドーザーや振動ローラといった重機で締め固める工法であり、アメリカ陸軍工兵司令部やパキスタンのタルベラダム(インダス川)放流トンネルで試験的に導入されていたが、島地川ダムにおいて、世界で初めて本格的な施工法として採用した。事業費削減や工期短縮に有用であり、日本におけるダムの主流な施工法の一つになっている。 所在水系河川ダム型式高さ総貯水容量着工完成分類水特法備考鳥取 日野川 印賀川 菅沢ダム 重力 73.5 19,800 1962 1967 特定 鳥取 千代川 袋川 殿ダム ロックフィル 75.0 12,400 1985 2011 特定 指定 鳥取 日野川 日野川 日野川堰 ラバーダム - - - 1994 鳥取 日野川 法勝寺川 法勝寺川堰 ラバーダム - - - 1986 島根 斐伊川 斐伊川 尾原ダム 重力 90.0 60,800 1987 2012 特定 指定 島根 斐伊川 神戸川 志津見ダム 重力 81.0 50,600 1983 2011 特定 指定 岡山 旭川 旭川 旭川ダム 重力 45.0 57,383 1949 1954 補助 再生事業中 岡山 吉井川 吉井川 坂根堰 堰 4.9 2,200 1966 1980 兼用 岡山 吉井川 吉井川 苫田ダム 重力 74.0 84,100 1972 2004 特定 9条等指定 岡山 旭川 旭川 湯原ダム 重力 73.5 99,600 1952 1955 兼用 再生事業中 広島 芦田川 芦田川 芦田川河口堰 堰 6.0 5,460 1969 1981 特定 広島 太田川 太田川 高瀬堰 堰 5.5 1,980 1970 1975 特定 広島 太田川 滝山川 温井ダム アーチ 156.0 82,000 1974 2001 特定 ダム湖百選 広島 江の川 上下川 灰塚ダム 重力 50.0 52,100 1974 2006 特定 9条等指定 広島 江の川 江の川 土師ダム 重力 50.0 47,300 1966 1973 特定 ダム湖百選 広島 芦田川 芦田川 八田原ダム 重力 84.9 60,000 1973 1997 特定 指定 広島 小瀬川 小瀬川 弥栄ダム 重力 120.0 112,000 1971 1990 特定 指定 ダム湖百選 山口 佐波川 島地川 島地川ダム 重力 89.0 20,600 1972 1981 特定
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