群れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/26 02:15 UTC 版)
群れを作る動物
群れを作るかどうかは動物の種によって決まっている。また、常に全個体が一つの群れを作るもの、雌雄別に群れを作る、あるいは、どちらかのみが群れを作るなど、色々な型がある。また、生活史や季節によってある時期にのみ群れを作るものもある。このように群れの内容は実に多彩である。[注釈 1]
群れの外形
外から見た群れの形にも様々なものがある。
- 移動するもの:多数の動物が集まり、まとまって移動する。
- 移動しないもの:全体としてある位置にとどまるもの。
- 各個体が動かない。:集団繁殖する鳥・集団越冬する昆虫など。
- 個体はその範囲内で移動する。:巣とその周りのみを利用するアリなど。
また、群れには、構成メンバーが始終替わるものとほとんど替わらないものがある。前者の例としてはアユのような魚の群れなどがあり、群れは始終分裂したり融合したりし、その構成メンバーは固定していない。後者の例としてはサルの群れやハチの群れなどがあり、各個体の帰属する群れがはっきりしており、それ以外の群れには入れないばかりか、攻撃を受ける場合もある。このようなメンバーの固定した群れにおいて、内部に一定の組織的構造が見られた場合、その性質を社会性という。
血縁集団からなる群れ
ニホンザルの群れは数頭の雌とその子供たち、および、配偶者の雄によって構成されている。子供が雄であれば成長して群れを出、雌はそのまま残るので、この群れはほぼ母系の血縁集団である。ほぼ同様な群れはライオンなどにも見られる。社会性昆虫も巨大な家族の構成である。
繁殖のための群れ
同種の多数個体が集まって集団繁殖を行う例もある。例えば、ユビナガコウモリなどいくつかのコウモリは、一定地域の全個体が決まった洞窟に集まり、そこで繁殖を行う。海鳥にも集団繁殖をおこなうものがある。往々にして絶海の孤島が選ばれ、極端な場合はそこにその時期にゆけばその種の全個体を見ることができる。アホウドリなどはこの型に属する。
また、このような集団繁殖と言う様式では、卵などの子孫となる存在が一箇所に集中するため、たとえ天敵が食べようとしても食べきれないという理由が見出せる。集団や多産による生存戦略を選択している生物は多く、サケは産卵場所となる川への遡上の途中でクマに捕食されたりするなどしているが、それ以上に集団で押し寄せるため、幾らクマがサケを食べたとしても、その多くが繁殖に成功してきており、この優位性は人間が捕食側に加わっても、商業主義的な大々的な捕獲を展開する以前には成功していた(20世紀に入ってからは商業漁業で捕獲され過ぎと環境破壊とで人工繁殖が必要にはなったが)。イカなども集団繁殖で捕食者を上回る生存戦略を展開しており、サンゴの中には海面が染まるほど一斉に産卵するものもいる。
突発的な群れ
普段は群れで行動しない動物が、大発生に際して群れで動く例がある。有名なのは飛蝗で、単に群れを成すだけでなく、相変異によって体の形状や色、習性が変化することがある。同様の例がヤスデやヨトウガでも知られている。
複数種からなる群れ
一般に群れは単一の種から構成されるが、まれに複数種を含んで群れとして行動する例がある。例えば、ヤマガラ、シジュウカラなどのいわゆるカラ類は冬季に数種を含む群れを作り、集団で移動するのがよく見かけられる。
結果的に生じる群れ
その種の個体間に誘引などの要素がなくても、特定の環境条件を求めた結果として集まってしまう例もある。例えば、深海熱水鉱床に見られる動物群などがこれである。また、潮間帯の潮だまりで石をひっくり返すと多量のヤドカリが集まっている場合があるが、これは、彼らが物陰ではより長く立ち止まる性質があるためだと言われている。
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